エイチ・ツー・オーリテイリング業績からわかる、アクセス重視の消費者ニーズ。

阪神百貨店のロゴby courtesy of Simon

 

エイチ・ツー・オーリテイリングの2013年4月~6月(第一四半期)業績が、発表されました。

 

エイチ・ツー・オーリテイリングは26日、中核事業子会社の阪急阪神百貨店の4~6月期の売上高が、前年同期比17%増の942億円になったと発表した。昨年11月に増床開業した阪急うめだ本店が66%増と全体の売上高をけん引した。(2013年7月27日付 日経新聞朝刊)

 

エイチ・ツー・オーリテイリングのIRサイトにわかりやすい表が掲載されていたので、転載しておきます。

 

エイチ・ツー・オーリテイリングの業績エイチ・ツー・オーリテイリングIRサイトより

 

全体を見ると、業績はすこぶる良い模様。アベノミクスによる資産効果が、百貨店事業の売上拡大に大きく寄与しているのは間違いありません。面白いのは、各店舗の売上変動です。

 

【エイチ・ツー・オーリテイリングの主要店舗の売上変動】

[阪急うめだ本店]66%増

[阪神梅田本店]二桁減

[博多阪急]7%増

[西宮阪急]2%増

[千里阪急]1%増

[阪急メンズ東京]5%増

※阪急阪神百貨店全体 17%増

 

阪神梅田本店だけが、大きく減少しています。この要因は、もちろん

 

阪急うめだ本店の改装

グランフロント大阪オープン

 

により、既存顧客が奪われたことでしょう。(あくまで推測)これまで阪神梅田本店のデパ地下を利用していた顧客が、より魅力的な店舗の多い阪急うめだ本店やグランフロント大阪での買い物ついでに、食料品まで買うようになり、わざわざ阪神まで足を運ばなくなったでしょう。

 

一方、阪急うめだ本店の改装により売上減少の懸念があった西宮阪急は、売上を維持するどころか依然拡大を続けています。西宮阪急は、阪急西宮北口駅前にあり、5分ほど阪急電車に乗れば、阪急梅田駅に到着します。阪急うめだ本店と西宮阪急は、電車を使えば地理的にとても近いのです。だから、商圏が重なっていると言えます。なのに、西宮阪急は、阪急梅田本店に顧客を奪われていません。その理由は、

 

より近く便利だから

 

ではないでしょうか。5分電車に乗ることさえ面倒であり、さらに電車に乗ってまで混んでいる阪急うめだ本店で買い物をするよりは、より空いている西宮阪急で買い物をする方がいい。こういう顧客が、西宮阪急には多いのだと思います。個人的な印象ですが、西宮阪急には小さな子供連れの家族とシニア層が多いので、こういう消費者層は、より近くのお店を選ぶ傾向が強いのでしょう。

 

顧客を奪われた阪神梅田本店と、顧客をいまだ拡大している西宮阪急。一見、全く異なる業績ですが、その背後には共通点があります。それは、

 

アクセスの良さを重要視する消費者が増えた

 

ということ。つまり、消費者ニーズとして、より近くのお店で買い物をしたいという願望が、以前よりも強くなったのではないでしょうか。だからこそ、わざわざ阪神に行くのをやめて、阪急うめだ本店やグランフロント大阪で買い物を済ませるのであり、電車で5分の距離の阪急うめだ本店ではなく、より近い西宮阪急で買い物をするのだと思います。

 

販売商品に大きな差がないならば、消費する場所として近さが大きな選択理由になっているように思えます。

 

☆今日のまとめ☆

阪神梅田本店の売上大幅減と西宮阪急の売上増からわかることは、近さを重視する消費者が増えているということ。

 

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☆  今日のこぼれ話☆

この結果起こることは、駅前などの一等地の家賃がさらに高くなるということだと思います。

ますます商売のハードルが高くなっているのですね。

 

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