阪急うめだ本店が教えてくれる、滞在時間と売上の関係

阪急32番街

by courtesy m-louis

 

またまた阪急百貨店うめだ本店についてですが、今回は滞在時間について取り上げたいと思います。以前にもお伝えしたように、改装リニューアルによって、滞在時間は2.8倍になりました。しかし、その割に売上は伸びていません。

 

興味深いのは、購入単価と買い上げ率。購入単価は、リニューアル前と比べて4%しか増加していないのです。一方の買い上げ率は、75%にまで上昇しています。つまり、来店客100人のうち、75人は何かしら買ったということです。この2つの数字からわかることは、

 

衝動買いをした人は少ない

 

ということです。滞在時間が増えれば、欲しい商品が目に入る確率は高まります。よって、購入単価も増加しそうなもの。しかし、実際にはたったの4%しか増えていないということは、欲しい商品と出会えなかったか、我慢したかのいずれかになります。実際に阪急うめだ本店では、価格を別にして魅力的な商品が多いので、購入を我慢した来店客は相当いたのではないでしょうか。それほど、財布の紐が固いということでもあります。

 

買い上げ率が向上したということは、それだけ目的来店が増えたということになるでしょうか。公式サイトの情報や電車内の吊り広告、そしてDM(これが本当に多い)など、来店前にわかる売場の情報が増えました。その結果、目的来店が増えたとしても、何ら不思議ではありません。

 

目的来店が増え、衝動買いが少なくなった結果、滞在時間の上昇が売上にほとんど寄与しなくなったのです。同じことが他の小売業態にも当てはまるならば、店内をできるだけ長く回遊してもらうような施策は、売上増加に結びつかないことになります。もっと言えば、目当ての物を見つけるのに時間の掛かる大型店自体が、消費者ニーズにそぐわないのかもしれません。品揃えを増やすことで売上が伸びる確率は、相当低下したと考えることができます。

 

☆今日のまとめ☆

阪急うめだ本店では、リニューアルによって滞在時間が大幅に伸びた一方で、購入単価は微増にとどまっている。

一方で、買い上げ率は75%まで上昇している。

この数字からわかることは、衝動買いが少なくなり、目的来店が増えたということ。

滞在時間を長くなる大型店や品揃えの豊富さは、決して売上増加に結びつくわけではないとも言えるだろう。

 

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☆  今日のこぼれ話☆

何も買わずに店を出ることの多い私は、買い上げ率の残り25%に含まれることになりますね。

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