小型輸入車人気から考える、売れる商品設計と販売方法

フォルクスワーゲンのアップ

by courtesy of Autoviva

 

今日は時間が無いので、手短に。昨年末頃の日経新聞に、今年のヒット商品に関する連載で、小型輸入車が取り上げられていました。

 

東京都港区にある独フォルクスワーゲン(VW)販売店。週末の店内は、若者から高齢者まで幅広い層の客でにぎわっている。「小型車を検討しています」。輸 入車は初めてという女性客(28)のお目当ては小型車「up!(アップ)」と「ゴルフ」。この2車種はVWの2013年国内販売台数のうち合計4割強を占 めるヒットとなった。(2013年12月27日付 日経新聞朝刊)

 

輸入車が売れている点だけを考えると、アベノミクスによる資産効果が要因のように思えますが、実際はそうではありません。商品設計と販売方法で、消費者ニーズを満たしたからです。小型輸入車人気の要因は、他ジャンルの商品開発・販売方法にも適応できるので、とても勉強になります。

 

その商品設計・販売方法における人気の要因をまとめると、次のようになります。

 

【小型輸入車が売れた商品設計・販売方法における要因】

[商品設計]低価格、憧れのブランド

[販売方法]身近なショールームの設置(販売はしない)

 

商品設計では、いくら輸入車と言っても、割安感を出すことが人気の大きな要因になったようです。それだけ、消費者のコスパへの意識が強いという表れです。ただし、一方で、輸入車の持つ憧れが大きな役割を果たし、

 

憧れの商品がこの価格で手に入る嬉しさ

 

という感情が働いたことになります。価格だけで言えば、スズキやダイハツ・ホンダの軽の方が優れていますが、これら国産ブランドには、輸入車にある憧れがありません。憧れがあるからこそ、国産車ほど価格を下げなくても、売れたことになります。

 

販売方法では、販売をしないショールームを設置することで、身近に輸入車に触れられる環境を作り出したようです。例えば、六本木のメルセデス・ベンツコネクション。こちらのショールームにはカフェも併設されており、カフェ目的の来店客が、ベンツに触れる機会を提供しています。この結果、従来の販売店方式ではリーチできなかった層の興味創出に成功し、客数拡大=売上増加に結びつなげています。小売店が忌み嫌うショールーム化を敢えて行えるのは、メーカーだからこそです。

 

この小型輸入車の商品設計・販売方法を真似するとすれば、次のようになるでしょうか。憧れのブランドの作り出す一方で、価格は低く抑える。また、販売したい気持ちを抑え、敢えて販売をしないショールームを作り出す。後者だけ見れば、グランフロントのパナソニックセンターが、好例となりますね。

 

☆今日のまとめ☆

小型輸入車人気はアベノミクスの結果ではなく、商品設計・販売方法に工夫を凝らしたから。

憧れの商品を割安に提供するとともに、販売しないショールームを設置し、見込み客を増やした結果なのである。

 

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☆  今日のこぼれ話☆

あえてショールームを作るというのは、今後のトレンドになるように思えてなりませんね。

 

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