天ぷら定食まきのの強さと弱点(その1)

まきのの定食メニュー

前から気になっていたのが、トリドールが運営する天ぷら定食まきの。590円という圧倒的な安さで提供する天ぷら定食が行列を作り、この行列がさらに集客するという好循環を生み出していました。今年になり、100円値上げしてからは、一旦客足は遠のいたものの、690円でも安いことが再認識されたのか、行列が戻るどころか、パワーアップしています。そこで、今回たまたま週末のランチ時に近くを通ったので、利用してみました。

すでに行列が出来おり、並ぶこと約15分。店内に入ってから支払が終わるまでに気付いた、まきのの強さと弱点についてまとめてみたいと思います。

【まきのの強さ】

[1]コスパの高さ

[2]ライブ感のある調理現場を楽しめる点

[3]ホスピタリティの高さ

[4]回転率を高める工夫

[5]コストを下げる工夫

1について、これは特に説明を要しないでしょう。6揚げたての天ぷらが揚げた順に出てくるシステムは、一見天ぷら専門店風です。しかし、価格は690円から。このギャップがコスパの高さであり、行列が生まれる一大要因なのは間違いありません。

2について、カウンター中心の客席からは、天ぷらを揚げる風景を一部始終見ることができます。見られることをウリにしているのでしょう、揚げる野菜が並べられているほど。この風景を見ているだけでも楽しめます。単に料理を食べる場所だけでなく、調理風景を楽しめる空間なのです。安心・安全を気にする大人だけでなく、子供にも人気があるのではないでしょうか。調理場を見せる店作りは、トリドールの主力業態・丸亀製麺でも採用されています。丸亀製麺の成功要素を、まきのにも取り入れたのでしょう。

3について、こちらはソフト面。まきのでは、ご飯・味噌汁のおかわり自由なのですが、無くなりそうになれば、店員から声を掛けてくれます。おかわりをしにくい雰囲気が全くないのです。このおかわりのしやすさは、他のおかわり自由業態には見られないことかもしれません。また、終始笑顔で接客されたという印象があります。安い=サービスが良くないという定説(?)を覆すという意味で、とても気持ちのいいお店なのです。このホスピタリティの高さは、リピーターを作る要因になっていることでしょう。

4について、主力メニューが一番安い690円のまきの定食だけに、回転率を高めなければ、収益を拡大できません。そこで採用されているのが、メニューの共通化。数種類の定食メニューを提供しているのですが、その違いは天ぷらの違いだけ。ご飯・味噌汁は全く同じです。また、すべてが一枚のお盆の上に乗っています。もちろん、そのお盆も全定食共通。だから、来店客の退店後、バッシング(終わった食器の片付け)はお盆を片付けるだけで終わり。テーブルをひと拭きした後、新しい定食セットを用意すれば、次の来店客を座席に迎えることができます。その結果、来店客の退席から次の来店客の着席までの時間をかなり短縮でき、回転率を高めることができます。ちなみに揚げたての天ぷらは、立ち飲みの串カツ屋で使われるようなアルミのバットに、その都度乗せられていきます。

まきのの定食パターン

5について、コストを下げる努力は、上記の食器の共通化だけでなく、調理器具にも見られます。例えば、炊飯器。通常の飲食店では、業務用の大型炊飯器が利用されます。しかし、まきので使われているのは、恐らく家庭用の一升炊きの炊飯器。これが5台以上、厨房に備え付けられていました。恐らく、業務用で一気に炊くよりも、ロスが小さくて済むのでしょう。このようなコスト削減の結果、690円の天ぷら定食でも利益を出せるのだと思います。

これらまきのの強さを見ると、収益が頭打ちの丸亀製麺の次を担う、主力業態になりそうな予感がします。しかし、そう簡単に行かない弱点も垣間見えます。次回は、その弱点について述べようと思います。

☆今日のまとめ☆

まきのの強さは、コスパの高さ、ライブ感を楽しめるオープンキッチン、ホスピタリティの高さ、工夫による回転率の高さとコスト削減ではないか。

 

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☆  今日のこぼれ話☆

天ぷらを食べる機会は本当に少なくなったので、本当においしい天ぷらをいただけました。

ちなみに、私は野菜定食を注文。

えび天付きのまきの定食がほとんどと思いきや、野菜定食を頼む人も結構いましたよ。

一品多いからかな。

 

まきのの野菜かき揚げ

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