日本食いしんぼ学会の調査結果、飲食店選びで口コミよりも重要なこととは?
日本食いしんぼ学会が、飲食店と食メディアに関する調査結果(PDF)を発表しました。日経MJで日本食いしんぼ学会が取り上げられていたことにより、この組織の存在について知りました。会長はなんと、ラー油とハイボールの子安さん。食ビジネスに携わった身として、とても興味深い団体です。
そして、調査結果はとても意外なものでした。概要をまとめると、次のようになります。
【外食探しとメディア利用に関する調査結果(日本食いしんぼ学会調査)】
[生活者が欲している情報]飲食店のメニュー・価格帯・場所などの事実が圧倒的に多い。他人の意見はほとんど重視されず。ただし、リアルの友人・知人の意見は信頼できる。
[メディア利用]ぐるなびや食べログなどのネット系メディアの利用は多いものの、フェイスブックやツイッターなどのSNSは、店選びにほとんど活用されていない。
[お店選びに重視する点]料理メニュー71%、価格帯70%、場所60%、店の雰囲気51%、他人の評価21%
[ゼロからのお店探しで使われるメディア]ぐるなび52%、知人・友人37%
[比較検討時に使われるメディア]ぐるなび42%、お店のホームページ39%
[最終決定時に使われるメディア]お店のホームページ41%、ぐるなび32%
驚いたのは、食べログよりもぐるなびの方が支持を受けている点。これからわかるのは、知らない消費者の意見よりもお店からの公式情報の方が信頼できるということです。それだけ、事実を重視するということになります。考えてみれば、食べログは、評価を数値化してわかりやすいものの、その評価自体が好みに左右されるもの。数字を鵜呑みにして、苦い経験をした人が多いのかもしれません。
このように、利用者の口コミはさほど活用されておらず、一方でお店関連の情報、特に事実が重視されています。では、その事実が豊富に発信されているかと言えば、そうとは思えません。
例えば、メニュー。和民のような大手チェーンは、メニュー全体を公式サイトに掲載していますが、単独店のバルなどで全メニューを画像付きでサイトに載せている店舗は、まだまだ少ないと言わざるを得ません。一部メニューのみが画像付きで公開されていても、それで事実を知りたい消費者ニーズを満たすことは難しいでしょう。もっと言えば、食べログ評価の上位店でも、ホームページさえないお店が多々あるのです。これでは、最終決定の材料不足として、候補から弾かれかねません。
お店側の言い分もわかります。以下のような理由で、事実の公開が遅れているように思えます。
【飲食店がお店関連の事実を公開していない理由】
[1]ホームページ作成・維持にコストが掛かるから
[2]情報公開により競合に真似されるリスクを負うから
1は、いくら安くなったとは言え、まだまだ高いのは事実。ただ、容易に更新できる仕組みさえあれば、大きなコストは初期投資だけで済ませることができるのではないでしょうか。プロの綺麗な画像を少し載せるよりも、自分で撮影した味のある画像をタイムリーに掲載する方が、より事実を伝える力があると思います。手間が掛かるのは避けられませんが、これができるかどうかで、繁盛店になるかどうかが決まると思えば、しない手はありません。
2について、これが一番悩む点でしょう。自社のメニューを詳細に公開すれば、競合店舗に真似されかねません。お店の雰囲気も然り。しかし、消費者は、そのメニューや雰囲気で利用するお店を決めているのです。なにせ、事実を最重視しているのですから。ただ、メニューを見て真似されるなら、競合店関係者がお店を利用すれば、真似されることになります。そう思うと、このリスクは意外に小さいのかもしれません。
このように考えると、メニューや雰囲気などお店の事実をネット上で公開することは、コストは掛かるものの、それ以上の効果が期待できるのではないでしょうか。さらに、このコストをいかに下げるかで、店舗収益に大きな違いが生まれるように思えます。
☆今日のまとめ☆
消費者の飲食店のお店選びで重視しているのは、お店関連の事実情報である。
一方で、事実をホームページで豊富に公開しているお店は、まだまだ少ない。
公開することは高いコストや競合が真似をするリスクを伴うが、それ以上の効果が期待できるだろう。
マーケティング・ビジネスのヒントに関するブログも書いています
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
ちなみに、私の飲食店決定方法は、グルメ本や友人の紹介でお店を知り、食べログ・ホームページで最終決定するという方法です。
口コミは読みますが、じっくり読むのは事実の部分。
メニューのボリューム感や新鮮さなど。
サービス面は、店員さんや忙しさに影響されるので、さほど重視しませんね。
☆ 最近気になる商品☆
先日、たまたまネットで見つけたのが、こちらのPBビール。
イオンのビールに新しい銘柄が登場しているようです。
ただ、私は見たことがありません。
恐らく、限定販売なんでしょうね。
セブンの100%MALTに対抗した商品なのでしょうか。