RF1と柿安惣菜部門の既存店売上が真逆な理由とは?

RF1の紙袋

 

百貨店で総菜事業を展開するロック・フィールドの業績が、かなり好転しています。牽引するのは、メインブランドのRF1。一方、既存店売上が低迷しているのが、同業の柿安。特に総菜部門は、第二四半期(6月~8月)の既存店売上が、昨年を大きく下回っています。興味深いのは、昨年都の比較。昨年の既存店売上では、RF1は苦戦していたのに対し、柿安総菜部門はプラスを獲得していました。

 

【RF1と柿安総菜部門の6月~8月既存店実績比較】

[RF1]すべて大きく前年割れ→すべて前年比プラス

[柿安総菜部門]7月のみ前年割れ(ただし99.25%)→すべて大きく前年割れ

柿安月次売上はこちらのPDFより

RF1月次売上はロック・フィールドサイトより

 

つまり、RF1は大きく業績を改善させているのに対し、柿安総菜部門は大きく悪化させているのです。この違いは、両者の特徴から生まれているのではないでしょうか。違いをまとめると、次のようになります。

 

【RF1と柿安総菜部門の違い】

[RF1]低単価品の販売を継続しつつ高単価品を導入、複数割引を実施→客単価引き上げを目指す

[柿安総菜部門]閉店間際の割引率を高く設定し、客数増加を目指す

 

客単価引き上げ路線のRF1が消費者の支持を受けて、割引率の高い柿安総菜部門が支持を失っているからこそ、両者の業績に違いが生まれていることがわかります。

 

柿安の既存店売上が落ちていることは、客数が伸びていない証拠。これまでデパ地下で総菜を買わなかった人が、デパ地下に来ていないことを示しているのではないでしょうか。

 

逆に、客単価引き上げに成功したのが、RF1。従来のRF1ユーザーが、景況感の回復により、より高い商品にシフトしていると予想されます。さらに、300円以下の低単価商品を継続販売することにより、柿安など比較的単価の低い洋風総菜ユーザーを、RF1は獲得しているのではないでしょうか。つまり、

 

単価の高い商品→既存ユーザーの単価引き上げ効果

単価の低い商品→競合店ユーザーの獲得効果

 

というダブルの効果により、RF1は既存店売上高が好転しているものと思われます。

 

何が言いたいのかと言うと、アベノミクスによる景況感の好転により、百貨店の客数は増えないものの、既存顧客はよりグレードの高い商品=単価の高い商品にシフトしているんじゃないかと、思うのです。百貨店を見る限り、物価上昇が収益拡大につながっているのではないでしょうか。もちろん、立地によって大きな違いがありますが。

 

☆今日のまとめ☆

デパ地下総菜店の双璧であるRF1と柿安総菜部門の既存店売上高が、対照的な結果となっている。

低単価商品とともに高単価商品を販売するRF1は、既存ユーザーが高単価商品にシフトするだけでなく、競合店ユーザーの獲得に成功しているのではないか。

一方、依然割安感をウリにする柿安総菜部門は、RF1に顧客を奪われているのではないか。

百貨店を見る限り、物価上昇が収益拡大につながり、アベノミクスは成功しているように思われる。

 

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☆  今日のこぼれ話☆

大企業のボーナスが増えたことも大きいでしょう。

逆に言えば、冬のボーナス如何によっては、百貨店の売上状況も大きく変化するかもしれません。

 

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