上野のデニーズ

 

前回に引き続き、デニーズ復活について取り上げたいと思います。セブン&アイ・フードシステムズの社長は、成城石井を復活させた辣腕経営者。QSCの改善は重要ですが、それだけでデニーズの業績が継続的に好転したわけではありません。そこには、大久保社長の戦略があり、日経MJに取り上げられていました。とても興味深かったので、備忘録も兼ねて、まとめておきたいと思います。

 

【デニーズを復活に導いた経営戦略】

[商品]あえてセントラルキッチンを持たず、メーカーの設備・技術を活用して、商品開発の自由度を高める→来店頻度の向上

[販売]店舗従業員に権限を大幅に移譲し、士気を高める→接客サービスの向上

[客層]シニア・女性をターゲット

[地域]近くて便利な立地で、高級レストランと差別化

 

商品開発は、セブン&アイグループの流儀に則って、メーカーと一緒にチームで行うようです。セブンプレアムのPB開発と同じやり方ですね。さらに、初期投資が大きく、機械設備の制約を受けるセントラルキッチンを持たないことで、メニュー開発の自由度を高めることができます。その結果、頻繁なメニュー改定・新メニューの発売が可能になり、顧客の飽きを防止できます。これは、利用機会の増加、客数増につながります。

 

販売に関しては、店舗従業員に権限を大幅に移譲することで、実際に顧客と接する店舗の意向を取り入れているそうです。その結果、顧客に合ったサービスが提供できるだけでなく、従業員の士気を向上させることができ、その結果、サービス向上につながります。

 

客層は、シニア・女性をターゲットとすることで、客単価の引き上げに成功。高めのメニューを中心にすることで、コンビニとの競合を回避できます。興味深かったのは、オフィス街にある店舗の夕方時には、30~50代の女性一人客が大部分を占めているという点。消費意欲の高いシニア層だけでなく、比較的購買力のある働く女性も主要ターゲットになっているようです。

 

地域戦略では、高品質・高単価メニューで競合する高級レストランと、立地の便利さで差別化。立地のいい成城石井が、ワインやチーズを重点的に扱うことで、デパ地下から顧客を奪ったのと同じパターンのようです。(日経MJ)記事では高級レストランとされていますが、どちらかというと少し高級な洋食店の方が合っているかもしれません。洋食を食べたい時に、営業時間が短く遠くの洋食店に行くなら、近くのデニーズにしよう、と考える消費者を容易に想像できます。

 

これらの戦略が実にうまくいったのは、少々高くてもいいものを購入したいシニア層の増加という外部環境の変化があったからでしょう。さらに、アベノミクスによる消費マインドの好転も、大きく寄与したように思えます。

 

当たり前のことですが、何か新しい商売を考える場合、どこから顧客を奪うのか、どうやって奪うのか、という視点が重要ということを再認識しました。

 

☆今日のまとめ☆

デニーズが復活したのは、QSC改善の他に商品・客層・販売・地域戦略により差別化に成功したから。

シニア・女性をメインターゲットにすることで、高単価メニューを可能にし、便利な好立地により洋食店・高級レストランとの差別化に成功した。

また、セントラルキッチンを持たないことで、逆に高頻度のメニュー改廃が可能になり、利用頻度の向上・客数増をもたらした。

各店舗に権限を大幅に移譲することで、顧客に応じたサービスを可能にするだけでなく、士気を高め、サービス向上につながった。

 

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☆  今日のこぼれ話☆

デニーズの新商品・タワーパンケーキが売れているようですね。

食べたいけど、近くに店舗がない。