セブン・ファーストリテイリング提携のナナクロ衣料品PBは売れるのか?

ユニクロ

 

7月最後の日経朝刊は、企業間の提携ニュースが2本も一面に掲載されていました。一つは、出光と昭和シェルの経営統合。提携ではなく、統合ですから、大きなニュースです。ただ、成熟産業内での経営統合は別に目新しいわけではありません。特に、製油など規模の経済が働く産業ならば、競合同士が手を組んだ方が無駄な競争を避けられ、利益率も確保できます。売上がそう伸びない以上、利益を上げるには利益率をいじくるしかありませんから。

 

もう一つの提携ニュースは、セブンとファーストリテイリングの業務提携に関する記事。トップ記事は出光・昭和シェルの経営統合なので、出光・昭和シェル事案の方がニュース性は大きいのですが、セブン・ファストリの提携記事も、比較的大きな文字で、しかも縦書という目立つスタイルで印刷されているので、とにかく目立ちます。しかも、いずれも業界のシェアトップで勝ち組。勝ち組同士の提携で、さらにこれまで誰も想定すらしなかったので、驚いた人も多かったでしょう。ネット上でも、この勝ち組同士の提携に強い興味を示す人が多いようですが、こういう時ほど冷めた目で見るのも大事。

 

記事を詳しく読んでみると、まずは衣料品の新ブランドを立ち上げるとのこと。セブン&アイの衣料品と言えば、昔カリスマバイヤーの藤巻さん(残念ながら亡くなられましたが)がテコ入れしたカテゴリーです。しかし、ファッションの伊勢丹で結果を出した藤巻さんすら、セブンの衣料品ではうまくいかなかったようです。また現状もさほど売れていないようで、GMSのイトーヨーカドーの業績は、セブンアイ全体と比較して芳しくありません。

 

そして、セブンとファーストリテイリング提携の第一弾は、衣料品PBの開発のようです。新たなブランドを構築するらしいですので、ユニクロブランドではない模様。ユニクロのSPA方式のノウハウを活用するようです。恐らく、コストパフォーマンスの高い下着などを作るのでしょう。でも、それが売れるかというと、また別問題。私は、結構苦戦するんじゃないかと思います。

 

そう思うのは、甲子園のイトーヨーカドーに行けばわかります。この店舗は、ららぽーとというSC内の立地のため、周りには衣料品ブランドが勢揃い。4大ファストファッション(ZARA・H&M・GAP・ユニクロ)が一箇所で買い物できるとあって、コストパフォーマンスの高い衣料品を買う絶好の場所なのです。そのためか、イトーヨーカドーの衣料品フロアは、週末でも比較的閑散としています。もちろん、イトーヨーカドーの一番集客力の高いフロアは、食品売場。ららぽーと甲子園内、唯一のスーパーであり、来客者のほとんどが利用しているはず。しかし、イトーヨーカドーの中には、もう一つ比較的集客力の高い売場があるのです。それば、ベビー売場。ただし、そのブランドは、イトーヨーカドーではなく、赤ちゃん本舗。ベビー専門店の赤ちゃん本舗だからこそ、集客に成功しているのでしょう。イトーヨーカドー内のベビー売場ならば、結構苦戦しているはず。この事例が示すのは、

 

消費者は購入品目によってブランドを使い分けている

 

ということではないでしょうか。

 

ならば、イトーヨーカドーで、ファーストリテイリングが開発した衣料品PBが、売れることにはなりません。衣料品が欲しい人なら、ユニクロなど衣料品専門店に行くに決まっています。「イトーヨーカドー=服を買う場所」では決してないのです。

 

ただし、このPB開発が成功する方法がないわけではありません。それは、

 

セブンプレミアム・ユニクロのダブルブランド

 

で販売するという方法です。缶コーヒーブランドのボス・ジョージアで採用したのと、同じやり方。ユニクロにはないセブンオリジナルの商品ならば、このダブルブランドで成功する可能性は高いのではないでしょうか。

 

日経MJがこの提携を「ナナクロ」と呼んでいますが、「ナナクロ」では難しいと思いますよ。

 

☆今日のまとめ☆

消費者は、購入品目によって小売ブランドを使い分けている。

よって、ファーストリテイリングの高いSPA方式を採用しても、イトーヨーカドーで衣料品PBは思ったほど売れないのではないか。

ただし、セブン・ユニクロのダブルブランドならば、売れる可能性は高いだろう。

 

アメリカビジネスの最新事情メルマガはこちら

ワインを知れば、おもしろい

WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません

日々気づいた雑感はTwitterで発信中

すいません、Facebookはほぼ引退しました

年5%で資産運用する方法はこちら

 

 

  • 今日のこぼれ話☆

またまた、更新が遅くなりました。

しかも、今回は途中まで執筆(大げさ)して、一週間後に再開したので、文章が少し変かもしれません。

ご了承下さい。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です