【528号】技能を証明するバッジ、求人難に悩む中小企業が活用するには?

メリットバッジ(技能章)By Kimli

 

◎本日のニュース

1)見出し
Merit Badges for the Job Market

【出典】
http://goo.gl/9kLKl

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2)要約
ボーイスカウトのメリットバッジ(技能章)に似たバッジを、
求職者に与えようという考えが、多くの教育改革者の間で
唱えられている。このバッジは求職者の専門を示し、
求人面接の際に活用できる。

このようなバッジが提案される背景には、
一般的な教育システムが、変化の速い現在の労働市場で
機能していない現実がある。世帯収入よりも
上昇率の高い授業料を支払っても、卒業後仕事がある保証がなく、
また大学のカリキュラム自体も、偏りを増し企業の要望から
かけ離れている。

具体的には、モジラ財団がバッジ発行の仕組みを設計している。
それは、ウェブサイトを持つ人なら誰でも、
偽造ができないデジタルバッジを発行できるという仕組みである。
企業は、クリック一つで、求職者の専門技能を知ることができる。
MITが無料オンライン講座修了者にバッジを発行するなど、
エリート大学による実験も進む。

しかし、問題点も指摘されている。バッジが乱発されることで、
資格としての効果が無くなる恐れがある。
また、不正ができない仕組みを作っても、
求職者がバッジを不正に深刻するかもしれない。
さらに、既存の教育機関がバッジを発行すると、
職業訓練ばかりが重視され、新しいアイデアの追求が
疎かになる恐れがある。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Like Boy Scout merit badges for professionals,
these marks of achievement would show competence
in specific skills, and they could be granted by
any number of institutions.

4)キーとなる英文の和訳
専門を示すボーイスカウトの技能章のように、
これらの達成を示す標章は、特別な技術を持っていることを示す。
それらの商標は、多くの機関によって発行される。

5)気になる単語・表現
merit badge 名詞 技能章
mark 名詞 印、標章
competence 名詞 能力

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
職業上の資質を示すバッジが提唱されたのは、
教育機関(特に大学)と企業にギャップが
発生しているからである。そのギャップとは、
1.教育機関→従来のカリキュラムが高い授業料で提供される。
2.企業→教育機関で学んだことが仕事で役立たない。
である。その結果、卒業しても仕事が無いという事態が起こる。
反格差デモは、このギャップが要因で起こったとも言える。
また、このギャップは、企業・求職者双方に、次の問題を引き起こす。
1.企業→求職者が戦力になるかどうかわからない。
2.求職者→大金を掛けて高等教育を受けても、仕事があるとは限らない。
この双方の問題を解決するのが、職業上の資質を示すバッジである。

記事によると、このバッジは、ウェブページを持つ人なら
誰でも発行できる。ただし、大半は教育機関や企業だろう。
教育機関や企業で学んだ内容を証明するものとして、
修了者にバッジが発行される。このバッジ発行システムを設計しているのは、
モジラ財団(The Mozilla Foundation)。
ウェブブラウザー・ファイヤーフォックスを開発する団体である。
モジラ財団の協力のもと、ジョンD&キャサリン・マッカーサー財団は
200ドルの補助金計画を発表した。この計画に対し、
300以上の団体が応募したという。

高等教育機関も、バッジシステムの実験を行なっている。
例えば、MIT(the Massachusetts Institute of Technology)は、
無料のオンライン講座を修了した生徒に、有料でバッジを発行している。
有料だが、正規に入学して学ぶ費用と比較すると、破格に低い。
高い授業料を支払わずとも、就職・転職に有利な知識・技能を
学ぶことができることとなる。

企業と求職者の問題を解決するバッジであるが、
日本の中小企業の雇用に活用できると私は考える。
中小企業の雇用において、企業・求職者は次のような問題を抱えている。
1.中小企業→高い給与を提示できないため、有能な人材を獲得できない。
2.求職者→給与が低いだけでなく、大企業へ転職などキャリアアップは難しい。

この問題を、バッジが解決できないだろうか。バッジが証明するのは、
1.これまで獲得した資格
2.社会人時代の実務経験
3.学生時代・社会人時代に経験した課題とその解決手法
など。一言で言うと、企業が雇用の際に知りたい求職者の能力である。
これらの資格・経験・スキルを、分類し定義付けできれば、
バッジとして発行できる。発行するのは、教育機関と企業である。

このバッジを利用する中小企業側のメリットは、
まず求職者の能力がある程度わかるということである。
「ある程度」としたのは、一つのバッジが証明する能力の幅があるため。
また、いつバッジを取得したかによっても、その示す能力に差が出るだろう。
さらに、中小企業がバッジを発行することによって、
求職者に従業員のキャリアップに熱心な企業であることを証明できる。
バッジを発行してくれるとわかれば、キャリアップを目指す求職者は、
安心してその企業の求人募集に応募できる。

求職者側のメリットは、これまでに取得した資格や経験・スキル全てが、
就職・転職時に活かせることである。バッジさえ取得できれば、
無駄になることはない。さらに、バッジを取得できる中小企業に
入社することによって、さらにバッジを取得でき、
キャリアップを目指すことができる。

経験・スキルの定義付けやその証明など問題はあるが、
職業上の能力を示すバッジを発行することによって、
積極的に活動するインセンティブを学生・社会人に与えることができる。
また、バッジを活用することで、中小企業から大企業への転職が
容易になるかもしれない。そうなれば、優秀な人材の採用によって、
中小企業にイノベーションが起こる可能性は高まるだろう。

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《今回のヒントのまとめ》
1)職業上の資質を示すバッジの発行が、
教育改革者の間で唱えられている。このバッジがあれば、
高い授業料を払って高等教育を受けなくとも、
企業に採用されやすくなる。企業にとっては、
戦力になる人材を見極めやすくなる。

2)この仕組みを日本の中小企業の雇用にも活用できないだろうか。
中小企業の雇用には、低い給与のために優秀な人材を獲得できない
企業側の問題と、中小企業では給与が低いだけでなく、
大企業への転職などキャリアップが望めないという
求職者側の問題がある。

3)バッジによって、求職者がこれまで取得した資格・実務経験・
スキルなどを証明できれば、中小企業は求職者の能力をある
程度見極めることができる。また、バッジを発行することによって、
従業員のキャリアップに熱心な企業であるとアピールできる。

4)求職者は、これまで取得した資格・経験・スキルを就職・
転職時に、活用できる。また、バッジを発行する中小企業に
入社することによって、さらにバッジを取得でき、
キャリアップできる。

5)バッジを活用することで、中小企業から大企業への転職が
容易になれば、中小企業で働こうと考える優秀な人材が
増えるかもしれない。そうなれば、中小企業でも
イノベーションが起こりやすくなる。

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編集後記
バッジを活用しすぎると、仕事に関連することしかしない
という弊害も起こりかねません。
例えば、大学の授業を受けずに、資格専門学校に通うなど。
アカデミックな学習をどのように実務に活かすのか。
大学側に回答が求められているように思えます。

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
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