ドゥブルベ・ボレロのノッチェラートが日経プラスワンで1位に輝いた理由とは?
今週の日経ブラスワン(NIKKEIプラス1)には、チョコレートケーキのランキングが掲載されています。このランキングを見るのは、毎週末の楽しみ。家族であれこれ批評しながら見ているのですが、今回のには少し違和感があるのです。それは、知らないお店が多いから。
もちろん、私や家族が、プロの専門家ほどスイーツの知識・情報があるわけではありません。それでも、売れているスイーツや有名なお菓子は、それなりに知っています。それにもかかわらず、掲載店舗・掲載商品のうち、知らないお店・商品が多かったというのが、率直な感想です。
そこで、このランキングの選定方法を、改めて確かめてみました。選定方法は、ランキング掲載面の下の方に掲載されています。まとめると、次のようになります。
【日経プラスワンのチョコレートランキング選定方法】
[1] 対象は、大手百貨店または取り寄せて購入できるチョコレートケーキ
[2] 大手百貨店の売れ筋、専門家の推薦などにより22商品を候補に選出
[3] 実際に試食して、順位を決定。
[4] 選者は、ショコラコーディネーター、大手菓子メーカーのチョコ担当、フードジャーナリスト、大手百貨店食品営業部マネージャー、フードライター、スイーツコーディネーター、お菓子研究家、スイーツライター、スイーツ専門コミュニティサイト主催者、フードアナリスト協会理事の10人
1から順に見てみると、大手百貨店に出店していなくて、通販で購入できないお店は対象外になっています。ケーキは賞味期限が短いため、そう簡単に通販ができないと考えると、対象店舗・対象商品はかなり限定されていると言えます。
さらに2を見ると、その対象の狭さがさらにわかります。紙面掲載の10商品は、22商品の中から選ばれたことになります。つまり、22商品に選ばれさえすれば、ほぼ50%の確率で掲載されることになります。1位に輝いたドゥブルベ・ボレロのノッチェラートは、22商品の中で、1番に選ばれたということになります。決して、日本でナンバーワンというわけではないのです。
3に関して、点数を付ける評価基準は明らかにされていません。甘さ控えめが高得点なのかもしれませんし、コクのある甘さが高得点なのかもわかりません。また、各評価基準にどの程度ウェイトが掛けられたのか、各評価基準の1位とそれ以外とは点数差はどの程度なのかも開示されていません。
最後の4に関して、料理研究家以外の9人の方はプロなので、何かしら企業との利害関係があるということになります。つまり、自分と取引関係にあるお店の商品については、少々点数が甘くなってもおかしくありません。このように感じるのは、大手百貨店の食品営業部マネージャーがコメントしている商品は、すべてその百貨店に出店しているブランドだからです。会社員という立場上仕方ないことかもしれませんが、ケーキそのものを評価したわけではないようです。
各商品に寄せられた商品説明・コメントを見ると、さらに疑問が浮かびます。というのも、
他の商品と比較した商品説明・コメントがほとんどないから
です。例えば、ドゥブルベ・ボレロのノッチェラートには、商品説明・コメントから以下のような特徴が読み取れます。
【ドゥブルベ・ボレロのノッチェラートの特徴】
[1] 断面は5層構造
[2] 純度の高いチョコレートを使用
[3] しっとり焼き上げたスポンジ
[4] ジャマイカ産のラムを使用
[5] スポンジの間にはヘーゼルナッツ風味の濃厚なチョコレートクリームをたっぷり挟む
[6] ミルクチョコレートを絡めた香ばしいナッツを表面に飾る
[7] 見た目はイタリア田舎の家庭の素朴なおやつのイメージ
[8] ナッツなカリッとした軽快な食感で香ばしさが口いっぱいに広がる
[9] 香ばしいナッツとなめらかなガナッシュのバランスが絶妙
[10] 濃厚なクリームとナッツの香ばしさが相まって、ふくよかな旨味が広がる
これらの特徴が、他商品と比べてどうなのかについての情報は、全くありません。例えば、
5層構造を作るのは手間が掛かり、他商品にはなかなか見られない
純度の高いチョコレートを使っているために、通常のチョコよりもコクがある
かどうかは、これらを見る限りわかりません。
相対評価した以上、他との比較はあってしかるべきだと思います。それがないということは、単に紙面スペースの問題なのか、それとも他の理由があるのかもしれません。少なくとも、
デパ地下での売上金額順位
通販での期間売上総数
リピート率
などの数字があれば、もっと信憑性の高いランキングになったかと思います。
逆に言えば、他商品との比較をさほどしなくても、日経プラスワンのランキング掲載は、売上に大きく影響を与えるということかもしれません。
☆ 今日のまとめ☆
日経プラスワンのランキングと言えども、その選定方法を見ると、対象商品の狭さ・選定方法の曖昧さなど問題があることがわかる。
マーケティング・ビジネスのヒントに関するブログも書いています
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
決して、ノッチェラートの1位を否定しているわけではありません。
正直、写真と説明・コメント見て、食べたくなったほどですから、人気のある美味しい商品なのでしょう。
ただ、逆に掲載されていないからといって、その商品が劣っているということではありません。
まぁ、嗜好性の高いスイーツなので、厳密に言えば人それぞれなんですよね。
☆サムシンググッド創業者 坂本桂一さんの言葉☆
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