将来の卸売企業はコンサルティングサービスで生き残る?

先日、図書館で大変興味深い書籍を見つけた。

それは、

◎流通の新たな機能を担え!卸売が先進企業になる法

というタイトルの本。

昔一世を風靡した「問屋不要論」が論じられた古い本かと思ったのですが、中身を見ると2008年5月初版の本なので、卸に関する本としては大変新しい。

前職で卸売企業と取引していたのですが、その関わりから今の卸売企業の限界を感じていたので、ビジネスコーナーでこの本を見つけるや、迷わず借りることにしました。

私が限界を感じていたのは、

◎仕事量が多すぎて、本来卸売がやるべき仕事ができていないから。

私の見る限り、卸店(=卸売企業)のセールスは、

◎商品の選定

◎商品マスターの作成

◎小売店バイヤーとメーカー同席商談の段取り

◎小売店の棚割提案と作成

◎小売店の特売提案と作成

など多岐に渡ります。

これに加えて、毎日お店を回ってお店の担当者と商談もしなくちゃならない。

だから、売れる商品や販促方法を調査・研究する時間をほとんど取ることができません。

その結果、

◎相当売れ行きが悪い商品を除けば、小売店の取り扱い商品・メーカーはほぼ固定する。

◎競合店舗に負けないために、価格ばかりを意識した販促方法がほとんど。(いわゆる、安売りということです。)

という事態を招くことになります。

この結果

◎できるだけ多くの情報を通じて、できるだけ多様な商品の中から自分が望む商品を選びたい

という消費者ニーズがないがしろにされ、消費者も価格ばかりを見て商品選択をすることになります。

まさに、泥沼の価格競争です。

さらに、一つの小売店が取引先の卸売企業を集約した結果、卸売企業は非常に多くのメーカーを受け持つことになります。(通常食品業界では、メーカーが小売店に商品を販売する場合、指定された卸売企業=問屋を通じて取引します。)

その結果、同じカテゴリー(例えばカレー)で競合するメーカー(例えば、ハウスとグリコ食品)を一つの問屋が受け持つという現象が発生します。

すると、メーカーは、問屋任せでは販売してもらえないかもしれない。

だから、メーカーが、問屋の同席(または同意)のもと小売店バイヤーとの商談を行うことになるのです。

メーカーが取引しているのは卸店だから、本来ならば小売店との商談は卸店がします。

この小売店との商談にメーカーのセールスが参加しなければモノが売れないのだから、メーカーにとっては大きな負担になります。(ただ、現実には、すべてのメーカーが小売店バイヤーとの商談に参加できるわけではないので、参加できることは大きなチャンスです。)

その結果、卸店セールスに商品知識が身につかず、卸店の提案力が劣ってしまいます。

そうなると、

◎卸店の役割=メーカーから受け取った商品を小分けして小売店に運ぶ

ということになり、労働集約型のビジネスになります。

それが、問屋の利益率低下の大きな一因なのだ、とこの書籍では論じています。

私もこの意見には全く同意。

ならば、卸店は不要かというとそうではありません。

◎卸売企業の利益の源泉=小売店の利益

と考えれば、卸売企業は小売店が儲かるようなサービスを行う必要があります。

これは、まさにコンサルティングサービス。

メーカーからのいろんな提案を取りまとめ、そしてその小売店の利益拡大のために最適な販売方法を提案する。

これぞ卸売企業の役割であり、これが実現できれば、配送機能は外部に委託しても全く問題ないのではないでしょうか。

この書籍によると、私が考える卸のコンサルティングサービスは、サービスマーチャンダイザー機能(=メーカーの営業代行+商品棚全体の管理)として提案されています。

ただ、利益に苦しむ小売店が今後取引先の卸売企業を増やすことは考えづらく、メーカーの営業代行まで卸が行うことは大変難しい。

となると、卸の機能は、「商品棚全体の管理」に集約されることになります。

その結果、もしかしたらメーカーと小売店が直接取引をし、卸店は小売店にそのコンサルティングサービスに対するそのフィーを請求するような流通システムの方がシンプルかもしれません。(食品の卸企業のほとんどが総合商社の傘下に入っていることを考えれば、卸企業が商流から外れることは考えにくい。)

もちろん、卸店がこのようなサービスを提供する前提として、ITが食品流通にさらに活用される必要があります。

どんな商流になるにしろ、現状の食品流通システムでは卸の低利益率は改善されず、かといって合従連衡を行うだけで打開されもしない。

卸売業が食品流通内でどのようなベネフィットを提供できるか、再考する必要があるだろう。

☆ 今日のま とめ☆

卸売業が低利益率に悩むのは、そのベネフィットが薄れているからだ。

小売店の利益拡大を支援するコンサルティングサービスが、メーカーや小売にできない卸のベネフィットと言える。

☆5/23の目標☆
1  プライベートブログの更新 ◯
2  午前7時起床 ×
3  毎朝、鏡の前で笑顔の練習 〇
4 腕立て・腹筋を各30回 ◯
5  部屋・事務所などの掃除をする ◯
6 手帳に今日の反省の明 日の希望を書く。◯
7  読書(書籍・雑誌)をする ◯
8 毎朝、ツイッターでつぶやく ×

(今 日のこぼれ話)

今日の雨はすごかったですね。

姫路まで仕事で行ったのですが、JRが途中運転を見合わせていたため、阪神電車の振替輸送を利用しました。

生まれて初めて振替輸送を利用しましたが、JRの切符を見せると証明書を発行してくれて、スムーズに改札を通り抜けることができました。

普段競争しているJRと私鉄でも、どちらかにトラブルが発生すれば協力できる体制が整っていることの証明です。

このような協力体制は、政治の世界にも必要に思えます。

(今 日の言葉)
「組織の各階層では、それぞれの部下は上司の指示に従う。最初は「手足」として働き、そのうち徐々に「頭脳」に昇進していくという構図。」
(ファー ストリテイリング社長柳井正 「一 勝九敗 (新潮文庫) 」よ り)
※ 当分、私 の好きな書籍「一 勝九敗 (新潮文庫) 」から引用します。

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