【JR大阪三越伊勢丹の衝撃】消滅の危機に瀕した理由2

ISETANby courtesy of Choo Yut Shing

前回に引き続き、JR大阪三越伊勢丹が消滅の危機に瀕した要因について。2つ目の要因は、

立地が供給過剰の場所だったから

です。日経の記事にも、供給過剰状態について次にように説明されています。

JR大阪駅周辺では商業施設の集積が急速に進んだ。JR大阪三越伊勢丹の新設と前後し、大丸梅田店、阪急うめだ本店が大幅に増床。同地区だけで売り場面積は3年前の1・8倍の26万平方メートルまで拡大、東京・新宿の21万平方メートルを上回る極端な過当競争になっている。(2014年1月22日付 日経新聞朝刊)

つまりは、JR大阪三越伊勢丹が参入するのに、もともと無理があったということです。拡大が期待できる市場ならともかく、百貨店市場は昨年まで縮小しており、成熟した業態。この成熟市場において、既に店舗が密集した地域に、さらにもう一つ加えようとするのですから、そもそも条件が悪かったことになります。しかも、既存店が増床して、売り場面積が拡大するということが、JR大阪三越伊勢丹のオープン前からわかっていたのですから、初めからある程度負け試合を覚悟していたのかもしれません。

それでもオープンにこぎつけたのは、走りだした列車を止められなかったこともありますが、それ以上にJR大阪駅周辺に対する過剰な期待があったのかもしれません。JR各線はもちろん、地下鉄や私鉄まで乗り入れるターミナルの梅田地区に、一番大きな駅であるJR大阪駅を建て替えるのですから、さらなる大きな集客が期待できることは間違いありません。その期待が膨らみすぎたのでしょうか。既に大丸という百貨店がJR大阪駅にあるにもかかわらず、もう一つ建ててしまったわけです。駅を挟んでいるから商圏が異なると考えたのかもしれません。さらに、グランフロント大阪の開発で、阪急から北側に人の流れが変わると期待したのかもしれません。仮にそうだとしても、売り場面積が1.8倍にもなったら、いずれかの施設が倒れるのは予想できたことでしょう。

何が言いたいかというと、

[1]集客増加が見込める立地でも、供給過剰ならば生き残れない可能性がある

[2]      しかも、すでに強者のいる市場では、その可能性はさらに高まる

ということです。いくら伸びる市場でも、供給企業が過剰ならば、いずれ淘汰が起こるもの。市場拡大の恩恵をすべての企業が受けられるとは、限らないのです。特に、後発組は、とりわけ強いブランド力でもない限り、淘汰される側にまわる可能性は高まります。阪急ブランドの強い大阪キタでは、三越伊勢丹は弱者だったのです。

逆に、大きな市場拡大が見込めず、圧倒的な強者のいない市場の方が、ビッグビジネスに繋がる可能性は低いものの、後発組でも生き残れる可能性は高いと言えるのではないでしょうか。

 

☆今日のまとめ☆

集客増が見込める立地でも、供給過剰状態ならば、淘汰されるが側にリスクが生じる。

特に、ブランド力がさほど高くない後発組は、その可能性が高いだろう。

 

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☆    今日のこぼれ話☆

DKNYというブランドは、最近あまり見ないですが、JR大阪三越伊勢丹のメンズ売り場には入っています。

懐かしいブランドが多いイメージですね。

 

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