BS11が日テレより2倍効率的に稼ぐ理由
Photo:Horse racing By Paolo Camera
先日、週刊東洋経済を読んでいたら、それは新規上場する日本BS放送についての記事。まずは、日本BS放送に関する日経の記事から。
日本BS放送(9414)
BSデジタルのハイビジョン放送チャンネル「BS11(イレブン)」を手掛ける。アニメや紀行物、競馬などで他のチャンネルと一線を画した番組編成を打ち出し、特定の視聴者層を囲い込む手法に定評がある。(2014年3月4日付 日経新聞朝刊)
この日経の記事は、新規株式公開企業の紹介するもの。今回はBS11というチャンネルを運営する日本BS放送です。普段あまり見ないチャンネルですが、見たことがないことはありません。マニアックというイメージ。番組作成や広告に資金が必要だから新規上場をするのでしょうが、日経の記事を読む限り、特別興味が湧く企業ではありませんでした。
しかし、週刊東洋経済の記事によると、日本BS放送の営業利益率は約20%。その高さは、他の上場テレビ局と比較すれば、歴然としています。
【上場テレビ局持株会社の営業利益率】
日本テレビ 10.9%
フジテレビ 6.0%
テレビ朝日 5.3%
TBS 4.8%
テレビ東京 1.5%
朝日放送 7.3%
日本BS放送の営業利益率は、一番効率的に稼ぐ日本テレビの2倍もあるのです。その理由に関して、東洋経済の記事をまとめると、次のようになります。
【日本BS放送の営業利益率が高い理由】
[1] 自社制作番組の比率が高く、5割以上あるから
[2] 広告単価が低い、広告主を集めやすいから
1については、製造から販売まで手がけるユニクロと同じSPAモデルと言えます。ユニクロ同様、だから営業利益率が高いのです。
2については、テレビCMにも価格競争の波が押し寄せているのかもしれません。娯楽がテレビからネットに移れば、テレビCMの広告効果が下がっても不思議ではないからです。ならば、単価の低い日本BS放送のCMは魅力的に映るはず。さらに、単価を低くすれば、これまで単価の高さから敬遠してきた中小企業まで顧客層を広げることも可能。カジュアル衣料を低価格で販売し、シニアまで顧客層を広げたユニクロと同じ戦術です。
さらに、日本BS放送のサイトを見れば、その強みを理解できます。
【日本BS放送の強み】
[1] 自由度の高いCM設定
[2] 絞った顧客層
[3] 自由度の高い番組設定
つまり、BS11を見る顧客層にマッチすれば、比較的自由にCMを流すことが可能になります。ちなみに、顧客層が絞られるのは特徴的な番組構成によるものであり、BS11は、競馬・韓国ドラマ・アニメ・通販番組を集中的に放映しています。
あくまで偏見ですが、これらの4つの番組カテゴリーの視聴者は、気に入れば継続して商品を購入するのではないでしょうか。いわば、ハマりやすい人達が多いように感じます。このような消費者層に集中的にCMを流し、一度気に入ってもらえば、長期間に渡る売上を期待できます。そのCM単価が安いとなると、これらの層をターゲットとする商品ならば、広告を打たない手はありません。
このように見てみると、日本BS放送の営業利益率が高い本当の理由は、そのターゲット設定にあるのではないでしょうか。ハマりやすい人をターゲットにすれば、継続的に起こる大きな売上を期待して、広告主が集まりやすくなるからです。この土台があるからこそ、自社制作番組によるコスト削減や低価格戦略が活きるのです。ターゲット設定の重要性を再認識できます。
☆今日のまとめ☆
日本BS放送の営業利益率が高いのは、ハマりやすい人をターゲットにした番組を、集中して放映しているからではないか。
ハマりやすい人に販売できれば、長期的な売上が期待できるので、広告主が集まりやすくなる。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
BS11といえば、確か田中康夫さんの番組があったように思えます。
今もやっているのかな?