無印・ユニクロなど値上げラッシュが起こるのは当然?
Photo:uniqlo By chinnian
ユニクロが初めての値上げを発表した翌日でしょうか、日経新聞に値上げの記事が掲載されていました。
ファーストリテイリングはカジュアル衣料品店「ユニクロ」で8月以降に売り出す商品の本体価格を上げる。上げ幅は5%前後になる見通し。ユニクロが新商品への切り替えに合わせて一斉に値上げするのは初めて。消費増税の3%分を販売価格に転嫁した4月以降も既存店売上高はプラスを維持している。個人消費の堅調は続くとみて、原材料高と円安の影響を本体価格に反映する。(2014年6月10日付 日経新聞朝刊)
ユニクロの値上げの記事が掲載されていたのは、なんと一面。割安な衣類販売で成長してきたユニクロの値上げは、確かに読者にとってインパクトがあります。しかし、これまでもユニクロでは「値上げ」がありました。カッコを付けたのは、同一商品の単純値上げではなく、新商品として機能をアップグレードした上での値上げだからです。例えば、ジーンズ。確か、1990円のジーンズが昔ユニクロで販売されていたと思います。それが2990円になり、今では2990円のジーンズも姿を消し、3990円がユニクロジーンズのメイン価格帯となっています。ヒートテックやエアリズム(昔のシルキードライ)も然り。ユニクロの値上げは、そう驚くべきことではないのです。
無印も同じ。どちらかというと、無印の値上げはさらに頻繁に行われています。昔の肌着は、確か3枚990円だったかと思います。それが、今は2枚1990円。品質やデザインはかなり向上しているので、単純に比較するのは適当ではないものの、単純に1枚あたりの価格を比べると、3倍ほどに上昇していることがわかります。だからといって、別に批判するつもりはありません。値上げしても、既存店売上を上昇させているのだから、それはすごいことなのです。
日経の記事を見ると、値上げの要因は原料高とのこと。繊維やチョコレートなど食材の値上がり傾向が止まる気配がなく、収益を確保するためにも、値上げに踏み切るというパターンです。ただ、それだけが原因かというと、そうでもないように思えます。
そう感じたのは、同じ日の日経新聞に掲載されていた連載記事「人手不足経営」を読んで、ピンと来たからです。人手不足から起こった人件費の高騰も、値上げ要因なのではないでしょうか。特に、実店舗での販売も手がけるユニクロや無印は、スタッフ時給の上昇ばかりか、正社員化まで行っています。これらは、人件費を含む販管費の上昇をもたらします。人手不足は生産年齢人口の減少という構造問題なので、値上げを発表したロッテや雪印メグミルクなどのメーカーにも当然及びます。もっと言えば、日本で営業するすべての企業が、人件費高騰による販管費の上昇に直面しているのです。この中で収益を維持するには、コスト上昇分を販売価格に上乗せするしか方法はありません。(企業活動の効率を上げるという方法もありますが)だから、値上げラッシュが起こるのは、当然なのです。
☆今日のまとめ☆
SPA型小売業やメーカーが値上げを表明したのは、原材料高だけが原因ではないだろう。
人手不足による人件費高騰も、大きな原因ではないか。
これは生産年齢人口の減少という構造的な問題なので、値上げが当然起こることであり、これからもそのラッシュは続くだろう。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
だからこそ、女性や高齢者を労働市場に入れて、実質的生産年齢人口を増やそうと政府はしているのでしょう。