ヤマダ電機40店一斉閉鎖が示すのは地方の消費不振だけではない
ヤマダ電機の大量閉鎖に関する記事が、日経一面に掲載されていました。日本は平和のようです。
家 電量販店最大手のヤマダ電機は5月末までに全国約40店を一斉閉鎖する。消費増税の影響や顧客をひ きつける商品の不在などで販売が苦戦する中、低収益の地方店の整理を急ぐ。年内をめどにJR東京駅の八重洲側に戦略店を開業するなど出店は都市部重視にシ フトする。約40店に及ぶ閉鎖を一気に進めるのは異例だ。店舗拡大が原動力だった家電量販店の戦略が転換期を迎えている。(2015年5月24日付 日経 朝刊)
記事によると、ヤマダ電機が閉鎖するのは地方の郊外店。今後の出店は、都市部に集中するようです。この出店戦略からわかるのは、
地方の郊外店の売上が相当悪い
ということです。裏返せば、それだけ地方の消費は弱いということ。ただし、ヤマダ電機独自の理由もあるように思われます。というのも、既存店売上だけを比較すると、都市部・郊外両方に出店するヤマダ電機と郊外メインのケーズデンキは、そう大差ないからです。ヤマダの都市部の店舗が比較的売上堅調だとすると、ヤマダの郊外の店舗は、相当悪く、だからこそ、郊外メインのケーズと同程度になっているものと思われます。
ヤマダ都市部堅調+ヤマダ郊外悪い=ケーズ郊外普通
あ くまで主観ですが、ヤマダとケーズの一番大きな違いは、接客の有無。ヤマダはこちらから相談しない限り、接客をほとんどしないのに対し、ケーズは積極的に 声がけしてきます。価格で売るヤマダと営業力で売るケーズと言えばいいでしょうか。営業力で売るケーズの方が支持を得ているからこそ、郊外メインのケーズ は郊外のヤマダほど売上が悪くないのです。逆を言えば、
消費者は接客してくれる店舗を選んでいる
ということになります。価格だけで購買を決定する人は、ネット通販に流れており、接客を受けて納得して買いたい層が家電量販店に残ったのかもしれません。ネット通販が普及したからこそ、ネットにはない接客が実店舗小売の強みになるのでしょうか。
また、
家電量販店自体の集客力が落ちている
の かもしれません。そう感じるのは、比較的新しいイオンモール昆陽に家電量販店がないからです。そこで最近オープンしたイオンモールのテナントを調べてみる と、沖縄のイオンモールには、コジマ・ビックが出店していたものの、旭川駅前のイオンモールには家電量販店はなし。家電量販店をテナントとして入れないの は、その集客力が衰えてきたからではなでしょうか。家電量販店の売れ筋が、デジタル家電から白物家電に移れば、購入頻度は落ちるでしょう。これが、集客力 の低下の要因かもしれません。
さらに、家電の購入先が、家電量販店から雑貨店にシフトしているのかもしれません。そのように思うのは、神戸大丸などの百貨店が、家電製品が雑貨として販売しているから。消費者にとって、
家電製品は、機能を求める商品からファッション性・デザインを求める商品に変わった
のかもしれません。ならば、その購入先は、種類の多い家電量販店から、デザイン性の高い商品を売る百貨店や雑貨店に変わっても不思議ではありません。見た目重視の消費者ニーズが、消費者の家電量販店離れを引き起こしているのかもしれません。
☆今日のまとめ☆
ヤマダの郊外の店舗を大量閉鎖するのは、消費者が実店舗に接客を求めるからであり、また家電量販店自体に魅力が無くなったからであり、さらに言えば、家電がファッションアイテムになったからではないか。
単に、地方の消費不振だけが要因ではないだろう。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
- 今日のこぼれ話☆
三宮のヤマダ電機は、駅前の都市部の店舗だけあって、比較的賑わっています。
外国人が相当多いようですが。
家電量販店は、いかにインバウンド需要を取り込むかが今後の勝負のようです。
だから、競合はドン・キホーテなのかもしれません。