ネスレ日本さえ踏み切れない販売店掲載というタブー
先日の神戸ITフェスティバルで行われたネスレ日本のセミナーで、とある質問をしてみました。それは、
ウェブから販売店に誘導する工夫はしているのか?例えば、ネスプレッソの試飲販売の日時・場所をウェブ上で告知するなど。
という質問。
それに対する回答は、
試飲販売などは頻繁に実施しているため、掲載するとそのページ編集に時間が取られるためしていない。
また、ネスレ商品の販売店は膨大な数に上る。例えば、セブンイレブンとローソンで販売している場合、「セブンイレブンで販売しています。」と掲載すれば、ローソンから苦情が入る。なので、掲載していない。
というものでした。
ウェブの更新頻度が高まるのは仕方がないですが、ウェブとはそもそも更新コストの低い媒体であることを考えると、そのメリットを享受する方が得策のように思えます。(例えば、チラシで告知する場合、直近で決まったことを掲載できませんが、ウェブは常時更新可能なので、掲載できる。これは大きなメリット。)
後者についても、ならば「セブンイレブンとローソンで販売しています。」と掲載すれば、済む話。再度質問しようと思いましたが、時間と雰囲気が許さないように感じたので、やめました。
消費者が、メーカー品を小売店で購入する場合、小売店で扱っていることが前提となります。商品目当てにお店に出かけたにもかかわらず、商品がなかったとなると、その失望感は大きい。ある程度高価でどうしても欲しい商品ならば、他のお店に探しに行こうと思うでしょう。しかし、食品や日用品のように単価が低く、商品自体にそれほど大きな差別化がない場合は、お店で売っている商品を代わりに購入することが多いのではないでしょうか。代わりに買った商品が、意外に美味しかったり、便利だったりすると、代わりに買った商品をリピートすることになります。目当ての商品を製造する企業にとっては販売機会を失ったばかりではなく、その消費者を競合他社の顧客にさせることにもなります。これは大きな損失です。
この損失を回避するためには、できるだけ多くの店舗で取り扱ってもらうように営業努力をするか、事前に販売店を消費者に知らせる工夫が必要です。ほぼすべての食品メーカーは、前者の努力はしているものの、後者の工夫はしていません。だから、競合他社に消費者を奪われることが、意外に起こっているのではないか、と予測します。
販売店をウェブ上で掲載できれば、この販売ロスを小さくすることは可能ですが、ほとんどの企業はしていません。その本当の理由はわかりませんが、ネスレ日本の回答から推測すると、なんとなくわかります。その理由とは、取扱い店舗に掲載漏れが合った場合、取引上大きなトラブルになりかねないからではないでしょうか。取り扱っている店舗としては、なぜ自分だけが掲載されていないのか、という怒りにもつながりかねません。
ただ、この問題は、営業部門からの連絡をできるだけ漏れのないようにするとともに、万が一漏れが合った場合には、店舗からウェブ上から知らせてもらう仕組み(コンタクトフォームなど)があれば、解決するように思えます。問題が起こりかねないから、消費者が求める情報を公表しないというのは、消費者とのコミュニケーション(つながり)を軽視していることになります。
比較的多くの店舗で取り扱われている大手企業の場合は、それほどの大きな問題ではないでしょう。店舗に行ったら取り扱われていなかったという事態の起きる確率が、低いからです。取扱い店舗が限られる中小企業こそ、販売店の掲載が必要に思えます。これも大切な消費者コミュニケーションです。
☆今日のまとめ☆
販売店のウェブ公表に踏み切る食品メーカーはほとんどいない。
その理由は、販売漏れによる取扱店とのトラブルを危惧しているからか。
ただ、取扱い販売店こそ消費者が知りたい情報であり、販売店の告知は大切な消費者コミュニケーションである。
☆今日のこぼれ話☆
食品メーカーに、取扱い店舗についての電話問い合わせは意外に多いものです。
この問い合わせがあると、まずはその地域の担当セールスに連絡を入れて、販売店を調べてもらいます。
そして、問い合わせた消費者に電話で伝えることになります。
もし、ウェブで公表していたならば、このプロセスがすべて不要になります。
コストダウンにもつながるのです。
☆昨日の目標→その結果☆
◎朝6時に起きる→☓
◎毎日情報を発信する→×
◎毎日仕事以外の人に話掛ける→☓
◎腕立て・腹筋30回→〇
◎自宅のある12階まで歩いて登る→☓