カジュアルダイニングのきちり、プラットフォーム戦略という新事業とは?
今日は、カジュアルダイニングを他店舗展開する株式会社きちりについて。図書館で見たベンチャー通信という雑誌に、きちりの特集がありました。この特集を見るまでは、きちりについてはほとんど知りませんでした。神戸や大阪の主要駅前にKICHIRIというおしゃれな居酒屋があり、それを運営しているというほどの知識しかありませんでした。ただ、この会社、とてもおもしろい試みをしています。
平川昌紀さんという社長が、インタビューに応えているのですが、単なる飲食チェーンではなく、プラットフォームを提供することを目指しているという。そのプラットフォームとは、
- バックオフィス:管理部門・人材採用・デザインなど
- バックヤード:調達・一時加工・物流など
- バックアップ企業:取引先企業
で構成されています。簡単に言うと、
多店舗展開するなかで築き上げたインフラを、他社に外板する。
ということになります。
多店舗展開すると、大量にモノを調達します。その恩恵として、安く仕入れることができます。一方、これから飲食店を開こうとする企業は、大量にモノを仕入れることはできません。この大量調達機能を代行し、そこから収益を上げることになります。同じことが、アルバイトスタッフの採用・育成、立地選定やデザインなどの店舗開発、給与計算などの経理業務でも、行うことができます。
そして、このきちりの機能を調達するのが、3の取引先企業。第一号は、健康器具のタニタ。そう、最近丸の内に出店した丸の内タニタ食堂です。この飲食店のバックオフィス機能・バックヤード機能は、きちりが提供しています。タニタには、飲食店の運営ノウハウはないために、専業のきちりの機能を使えることは、大きなメリットです。もちろん、きちりは、このプラットフォーム提供により、収益を上げることができます。
さらに、きちりにはメリットがあります。それは、
多店舗展開による陳腐化リスクを小さくできる
ということです。カジュアルダイニングKICHIRIを大量出店すると、いずれ消費者に飽きられてきます。その結果、業績は必ず悪化します。かといって、業績を向上させるには、既存店だけでは限界があり、新規出店を行う必要があります。新しい業態を開発するにも、コストがかかり、成功したブランドの多店舗展開よりも大きな失敗リスクに直面します。
一方、タニタのようなある程度ブランド力のある企業と提携すれば、業態開発のハードルは一気に低くなります。それは、すでに浸透したブランドを利用できるから。さらに、ブランドを利用するがゆえに、ある程度の集客は期待でき、失敗リスクを小さくすることができます。
単純に考えれば、きちりのプラットフォーム戦略は、
自社の経営資源を再認識し、活用する
ということに他なりません。当たり前と言えば当たり前ですが、きちりの経営資源は、一店舗一店舗を積み重ねていった賜物です。成功した飲食店ブランドを活用するといえば、FCが真っ先に思いつきますが、FCで多店舗展開すれば店舗の陳腐化は免れません。一方、きちりのプラットフォーム戦略は、自社ブランドを陳腐化させることなく、自社の経営資源を活用できます。きちりのこの戦略が成功すれば、飲食店チェーンが参入できる新事業のお手本になるかもしれません。
☆今日のまとめ☆
カジュアルダイニングを展開するきちりは、多店舗展開がゆえに獲得した経営資源をプラットフォームとして提供する新事業を始めている。
プラットフォームの要素は、バックオフィス・バックヤード・バック企業である。
この戦略は、自社の経営戦略を再認識し、活用することにほかならない。
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☆ 今日のこぼれ話☆
KICHIRIには、まだ行ったことがありません。
まぁ、F1層がターゲットなので、行ったことがないのも納得ですね。
既存店売上はプラスを維持できているのでしょうか。
気になるところです。(IRページを見ましたが、既存店のデータは見つけられませんでした。)
☆昨日の目標→その結果☆
◎朝6時に起きる→◯
◎毎日情報を発信する→◯
◎毎日仕事以外の人に話掛ける→☓
◎腕立て・腹筋30回→◯
◎自宅のある12階まで歩いて登る、または自転車を30分以上漕ぐ→☓
◎部屋や家の掃除をする→☓
◎営業日誌を付ける→☓