【539号】米高級百貨店ブルーミングデールズ、クレジット付き会員カードを廃止した理由とは?

ブルーミングデールズBy wallyg

 

◎本日のニュース

1)見出し
At Bloomies, Loyalty for All
【出典】
http://goo.gl/mIuAk

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2)要約
米高級百貨店のブルーミングデールズは、
クレジット機能なしの会員カードを発行する。
この会員カードには、各カードにバーコードが付いてあるので、
会員の購入履歴を記録でき、属性を絞った販促が可能になる。
また、カードを提示した購入者には、貯めれば金券に交換できる
ポイントを進呈する。

ブルーミングデールズの通販サイト利用者も、
会員カードを利用できる。通常、高級百貨店のロイヤリティプログラムは、
クレジット機能の付いた会員カードを発行する。
年間利用金額によって会員をいくつかの等級に区分し、
等級ごとに特典を提供する。

ブルーミングデールズがクレジット機能を廃止したのは、
会員数を増やすためである。また、これまで郵送で
送っていた特典を、店舗での即時発行やメールでの送付に
切り替えることにより、コストを削減できる。ただし、
これまでのクレジット会員は優遇し、ポイント付与率を高める。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
The tony department-store chain, acting more like a supermarket,
is launching a loyalty-card next week that doesn’t require
shoppers to sign up for a credit card.

4)キーとなる英文の和訳
そのオシャレな百貨店チェーンは、
よりスーパーマーケットに近い施策を行う予定である。
その施策とは、次週に始まるロイヤリティカードである。
そのカード会員になるのに、買い物客は
クレジットカード契約をする必要がない。

5)気になる単語・表現
tony形容詞かっこいい
act more like a supermarketのmoreは、like a supermarketを
比較級にしたもの。than other deparment storesが省略されている。

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
顧客ロイヤリティカードとは、ポイントカードなどの
小売企業が発行するカード。日本でも、
家電量販店や百貨店・スーパーなどで発行されている。
小売企業が顧客ロイヤリティカードを発行する理由は、
カード会員はその割合以上に売り上げ金額に貢献するからである。
記事では、
ストアブランドのクレジットカードやデビッドカードを持つ人は、
持たない人の2倍来店し、購入金額は3倍に達する
と書かれてある。いわゆる優良顧客であり、
継続して購入してくれるので、
小売企業はこの会員を増やすことに躍起になる。

高級百貨店のブルーミングデールズ(Bloomingdale’s)が、
顧客ロイヤリティカードからクレジット機能を廃止したことが、
記事として取り上げられている。その理由は、
高級百貨店の会員カードには、クレジット機能が付いているものだから。
クレジット機能を付けることにより、年間利用金額を把握でき、
利用金額に応じて会員を等級に分ける。その等級ごとに、
特典が異なる。例えば、ニーマンマーカス(Neiman Marcus Groups)では、
5つの等級がある。二番目の等級になるには、
年間2500ドル以上の買い物をする必要がある。
最上級の場合は、75000ドル以上とされる。
サックス(Saks, Inc.)では、プラチナとダイヤモンドという等級の会員は、
毛皮のコートを無料で預かってもらえるだけでなく、
無料のバレーパーキングサービスを受けることができる。

さらに、顧客ロイヤリティカードには、
優良顧客の囲い込みとは別の利点がある。
それは、購入履歴を記録することにより、
属性に応じた販促を打てることである。例えば、
男性用衣料を購入したことのない会員には、
男性用のイベント情報を送ることをしない。
費用対効果が低いからである。

さて、ブルーミングデールズの話に戻るが、
なぜブルーミングデールズが、顧客ロイヤリティカードから
クレジット機能を除去するのか。記事では、
一部しか説明されていない。だから、想像すると、
以下のようになる。

1.客数を増やすため。
2.コストを削減するため。
3.ターゲット販促を増やすため。

1については、記事に書かれてある。クレジット機能を廃止することにより、
会員を増やすことができる。それは、クレジットカードを持ちたくない人、
複数のカードを持ちたくない人がいるからである。
カード入会のハードルを低くすることによって、
会員を増やすことができ、それは客数増につながる。

では、なぜ客数を増やす必要があるのか。これは、
ブルーミングデールズの親会社、メイシーズ社(Macy’s Inc.)の
第四四半期決算をみると、想像できる。メイシーズ社の既存店売上は、

既存店売上金額(ネット通販含む)→5.2%増
ネット通販の売上金額→40%増

On a same-store basis, Macy’s, Inc.’s fourth quarter sales were up 5.2 percent.
Online sales (macys.com and bloomingdales.com combined) were
up 40.0 percent in the fourth quarter

で、ネット通販の売上増が既存店売上増に大きく寄与している。
(決算書によると、1.7%押し上げている。)
ネット通販でも使える会員カードを発行し、
その利用金額に応じてポイントを付与することにより、
ネット通販利用者を店舗に誘導しているのではないか。
店舗に誘導できれば、店舗の客数を増やすことができる。
また、これまでのクレジット会員には、
ポイント付与率を優遇することにより、
プログラム改変による店離れを防いでいる。

2について、特典をポイント付与に統一することで、
プログラムの運用コストが低くなる。さらに、
これまで郵送で送っていた特典証書を、
店舗での手渡しやメール添付に切り替え。
クレジット機能付きカードからバーコード付きカードへの変更。
これらも運用コスト削減につながる。ちなみに、四半期決算を見ると、
昨対比で売上金額が上昇しているのに、販管費率が27.2%から
26.6%に下がっている。メイシーズ社全体でコスト削減を
進めているのは、間違いない。

3について、ネット通販の普及に応じて、属性を絞った販促が多くなった。
そうなると、消費者にとって、自分に合った販促のありがたみが
薄れてくるので、販促の効果が低くなりかねない。そこで、
効果が低くなった分を数で補う必要がある。ブルーミングデールズは、
会員の裾野を広げることにより、ターゲット販促を行う機会を増やし、
販促の効果を維持・向上させようとしているのではないか。

このように、ブルーミングデールズは、クレジット機能付きから
バーコード付きのカードに変えることにより、
顧客ロイヤリティプログラムを簡素化し、
費用対効果を引き上げようとしているのである。

Bloomingdale’s  http://www1.bloomingdales.com/
Macy’s Inc.Reports http://goo.gl/xEmtU

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《今回のヒントのまとめ》
1)ブルーミングデールズの新顧客ロイヤリティプログラムでは、
会員カードにクレジット機能は付いていない。その代わり
、バーコードが付いている。

2)このような変更を行った理由には、客数を増やすため、
コスト削減のため、ターゲット販促を増やすためである。

3)会員カードは、成長著しいネット通販の利用でも
ポイントを付与するため、増加するネット通販利用者を
店舗へ誘導することができる。また、会員特典を
ポイントに統一し、特典の付与も店舗やメールで行うことにより、
運用コストを削減できる。ネット通販の普及により効果の
低くなったターゲット販促は、会員を増やし販促機会を
増やすことで、効果を維持・向上することができる。

4)このように、ブルーミングデールズは、
新顧客ロイヤリティプログラムを簡素化し、
その費用対効果を高めようとしている。

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編集後記
ブルーミングデールズのサイトをみると、びっくりしたことがありました。
それは、ポップアップで日本語が出てきたから。
それによると、日本語でさらに日本円で、購入できるようです。
ブルーミングデールズは、それほど日本で知名度が高いのですね。
勉強になりました。

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
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