消費増税法案可決翌日の日経各紙から読み取れる未来図とは?
By quinn.anya
先日、消費増税法案が、衆議院本会議で可決されました。
衆院は26日午後の本会議で消費増税法案(国税分)を可決した。有効投票総数459票、賛成は363票、反対は96票だった。同法案は消費税率を2014 年4月に8%、15年10月に10%に引き上げる内容で、社会保障と税の一体改革の柱となる法案。これにより一体改革関連8法案すべてが衆院を通過した。 直ちに参院に送付する。(日経新聞電子版より)
民主党内から大量に造反が出るなど、国会ではドラマがあったようですが、決まったものは決まったもの。自公の賛成が得られることを考えると、参議院での可決されること間違いないので、消費税率が引き上げられることがほぼ決まりました。
そこで、衆議院可決翌日の日経各紙を見ると、未来予想ができるような記事をいくつか発見。それらは、次のような記事です。
【2012年6月27日経新聞朝刊】
給付抑制策 置き去りに
消費増税関連法案が26日、衆院を通過し、消費税率の引き上げへ大きく前進した。財政の健全化への一歩だが、社会保障を 安定させる抜本的な対策は置き去りとなった。増税の環境を整えるための景気対策など歳出増加の圧力も忍び寄る。「際限のない増税」に陥る懸念は消えない。 本当の改革が求められるのは、これからだ。
【同日日経新聞朝刊】
ただ増税が家計や企業に負担増となるのは明らかだ。総務省の家計調査を基にした第一生命経済研究所の試算によると4人家族で給与所得者が1人の場合、消費 税率が10%に上がると年収400万~450万円世帯で年間の消費税負担がいまより10万1490円増える。年収700万~750万円世帯では年12万 5265円の負担増になる。
【同日日経新聞朝刊】
日本人の4人に1人が90歳まで生きる時代を迎え、資産形成の常識が変わりつつある。長い老後に備え50代以降も積極的に運用する人が目立ち始めた。標準的な会社員と主婦の夫婦が90歳まで生きる場合、必要な「自分年金」は4000万円。何ができるか。
(中略)
「自分年金」として4000万円を用意するのは簡単ではない。65歳まで働くと想定し積み立て投資をする場合、30歳から年5%の利回りで運用するなら、 毎月の積立額は約3万5000円だが、50歳からなら月約15万円(図表(3))。現在の低金利を織り込み利回り1%と想定すれば、積立額は月20万円に もなる。
【2012年6月27日日経MJ】
個人消費は回復基調にあるものの、ボーナス商戦は厳しそう――。日本経済新聞社が夏のボーナスの使い道を調べたところ、貯蓄が圧倒的に高かった。支給予定額は「減る」が「増える」を上回り、支出を減らす意識がより鮮明となった。
これらをまとめると次のようになります。
- 増税は今後も続く。
- 年収の平均2.5%が減る。(平成22年度の平均年収412万円、消費税率10%で計算)
- 老後を安心して暮らすためには資産運用が必要。
- ボーナスを貯蓄する人が多い。
これまでの20年間から考えると、給料の大きな増加は望み薄。それどころか、減少する確率の方が高いかもしれません。一方で、生活を一定に保っていても、可処分所得は増税分だけ少なくなります。しかし、日経も主張しているように、老後のための資産運用を怠ることはできません。そうなると、資産運用にまわす資金を減らすことができなくなります。つまり、
収入=一定または減少
収入=納税金額+税抜消費金額+資産運用金額
納税金額=増加
資産運用金額=一定
になるので、税抜消費金額が増税分だけ減ることになります。
税抜消費金額=購入量X単価
と単純化すれば、この結果は、次の二通りになります。
◯単価の低い商品に切り替える
◯購入する量を減らす
長期的に見れば、人口の高齢化により量が減りますが、2~3年の単位で見れば、購入量はほとんど変わらないかと思います。つまり、単価の低い商品に切り替える動きが強まるのでは、と予測します。
単価の低い商品への切り替えは、飲食店にも大きな影響を及ぼします。それは、単に低価格店を選択する消費者が増えるということだけではなく、外食機会そのものが減るという影響です。外食機会とは、来店頻度にあたるので、
売上金額=客数X客単価X来店回数(来店頻度)
と考えれば、売上減少につながることになります。
ここまでは暗い話のオンパレードでしたが、ここからは明るい話へ。
収入=納税金額+税抜消費金額+資産運用金額
の等式の中で、唯一減らない項目があります。それは、資産運用金額。老後の生活のために資産運用するのですが、この目的は老後に必要な金額を貯めることであり、目標金額を得られればいいということになります。決して、金額を最大化することが目的ではありません。
老後に必要な一定の金額=資産運用金額X(1+運用利回り)
という等式が成り立つので、
運用利回りを高くすれば、資産運用金額を減らすことができる
ことがわかります。そして、資産運用金額を減らせれば、今の税抜消費金額を今後も支払える可能性は高くなります。よって、今後、高い運用利回りが求められるように感じます。つまり、
金融機関(特に証券会社)による、投資商品の販売攻勢が強くなる
のではないでしょうか。特に、将来の年金への不安が強い30代・40代の社会人への勧誘が強くなるように感じます。金融機関にとっては大きなビジネスチャンスですが、勧誘を受ける側は、カモられないように注意する必要があります。
食関連業界の場合、節約志向の影響をモロに受けるので、既存顧客維持だけではジリ貧になる確率は高いと言えます。しかし、逆に言えば、新規顧客を獲得すればいいのです。例えば、
◯外国人観光客への販売を行う。
◯輸出をする。
◯これまでターゲットにしなかった層向けの商品を開発・販売する。(需要を創造する)
など。逆風は吹きますが、方法がないわけではありません。
☆ 今日のまとめ☆
年収の増加が見込めない中での消費増税は、可処分所得の減少を招き、低価格商品への切り替えにつながりかねない。
一方、将来の年金不安を追い風に、金融機関による運用利回り競争が起こるかもしれない。
食関連業界には逆風が吹くが、新規顧客獲得・需要創造による打開策がないわけでもない。
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☆ 今日のこぼれ話☆
民自公の連携により、難なく消費増税が決まりそうです。
そして、ほとんどのマスコミもこの増税路線を支持しています。
しかし、景気が大きく好転しない限り、この消費への悪影響は相当なものになるのでは、と危惧します。
☆昨日の目標→その結果☆
◎朝6時に起きる→◯
◎毎日情報を発信する→◯
◎毎日仕事以外の人に話掛ける→☓
◎腕立て・腹筋30回→◯
◎自宅のある12階まで歩いて登る、または自転車を30分以上漕ぐ→◯
◎部屋や家の掃除をする→◯
◎営業日誌を付ける→◯