ワイン売場は本当に広ければいいのか?
By photonooner
先日、三田のプレミアウトレットに行った際に、となりのイオンモールを覗きました。その日は、イオン感謝デーでさらに改装セール最終日だったため、かなりの混み様。17時頃とあり、イオンの食品売場も多くの人で賑わっていました。
イオンに来た一つの目的として、酒類売場を見るというのがありました。イオンは、今お酒、特にワインの販売に力を入れています。イオンリカーという名称で、GMS内だけでなく独立店舗でも展開しています。
実際、GMS内のイオンリカーに行くと、ワインの品揃えはかなり豊富でした。GMSの入り口にいきなり、トップバリュブランドとイオン専属のインポーター・コルドンヴェール直輸入品がずらりと並んでいるほど。そこから、ワイン売り場がつながり、ビール・日本酒と続いていきます。
品揃えは凄いのですが、人はまばら。あれだけ食品売場に人がいるのに、目の前の口福堂(柿安が展開するおはぎ屋さん)には行列ができているのに、イオンリカーにはほとんどお客さんがいないのです。私を含めて5人以下だったかと思います。ワイン売り場には、全くお客さんはいませんでした。
あれだけ品揃え豊富なのに、集客できていないのには、何か理由があるはず。そこで、その理由を考えてみたところ、ピンと来たのが、
種類が多すぎて選べないから
という理由です。イオンも選び易いように、
価格帯別
ボルドー特集
メダル受賞商品売場
など、興味を引くようなカテゴリーを作っていました。しかし、そのカテゴリーには、お客さんは食いついていません。それでも、選べないからでしょう。ワイン売り場は二列にまたがっていたので、選ぶにはワイン売り場を歩く必要もあり、肉体的な手間もかかります。
このように考えると、
選択肢が多い=満足度が高い
が必ずしも成り立たないことがわかります。
ちなみにビール売場にも、お客さんはほとんどいなかったので、ビールの売れ行きも良くないと思っていました。しかし、実際には、ビールをカゴに入れている人を多数見ました。このギャップが起こるのは、食品売場内のビール売場で買っているからです。実際、食品売場内のビールの冷蔵ケースででは、二三のお客さんが品定めをしていました。これからわかることは、
一箇所で買える方が売れやすい
ということ。ワンストップショッピングへのニーズが、想像以上に強いのかもしれません。
イオンとしては、
特別な専門売場を展開
豊富な品揃え
により、消費者の満足度を高めようとしているのかもしれません。でも、実際には、
食品売場内の近い売場
選択肢が多すぎないこと
が、選好されているようです。思えば、コンビニには、
立地条件の良さ(近さ)
決済を早く済ませられる
取り扱い商品の種類が少ない
という特徴があります。スーパーよりもコンビニが売上を伸ばしていることを考えると、消費者は、
より近いこと
より選びやすいこと
を望んでいるのかもしれません。
☆ 今日のまとめ☆
イオンの酒類専門売場は、食品売場から独立した売場として、ワインの品揃えが豊富なことが特徴である。
しかし実際には、その売場には買い物客はあまりいない。
それは、より近い売場・選びやすいことを望んでいるからではないか。
専門性が高く選択肢が多いということは、必ずしも求められているわけではない。
マーケティング・ビジネスのヒントに関するブログも書いています
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
トップバリュのボルドーワインは知っていましたが、リゼルバがあることは今回初めて知りました。
PBワインはまだ飲んだことがないので、今度各社飲み比べてみたいと思います。
☆サムシンググッド創業者 坂本桂一さんの言葉☆
「相手の像をつくって自分の頭の中に住まわせろということになる。自分流に相手のシュミレーターを創るのだ。像さえできてしまえばあとは、何が欲しいかやどうしてほしいかは、その像に聞けばいい。そして、像の精度が高ければ高いほど、相手のツボを外さなくなるから、営業やプレゼンテーションの成功率も上がっていくというわけだ。」
(『頭の良い人が儲からない理由』より)
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