デパ地下にこだわるロック・フィールドが、柿安から学べることとは?
By Xin Li 88
2012年の百貨店売上は、16年ぶりに前年比プラスに転じたようです。ただ、プラスに大きく寄与した都市は、主要10都市のうち一部に過ぎません。
【2012年百貨店売上プラスに寄与した都市・地区】
仙台 プラス7.7%
東京 プラス2.1%(構成比27.4%)
横浜 プラス1.3%(同5.8%)
ちなみに、東京・横浜を取り上げたのは、百貨店全体の売上に占める割合が大きいから。これら以外の7都市は、微増または減少しているのです。つまり、一部の都市だけが、潤ったということになります。
あくまで推測ですが、これから、客数よりも客単価が売上増に寄与した、と読み取ることができます。客数が売上に比例しやすいデパ地下店舗にとっては、決して喜ばしいことではありません。
実際、大部分の店舗をデパ地下に出店しているロック・フィールドは、依然既存店売上高が昨年を下回っています。ロック・フィールドの今期は昨年5月からですが、5月からの8ヶ月すべてが、昨対比マイナスに沈んでいます。
ライバル企業である柿安のIR資料を見ると、面白いことが書かれてありました。それは、和菓子事業が百貨店から撤退したということです。かといって和菓子事業自体をやめたのではなく、出店先を百貨店からSC(ショッピングセンター)に転換しています。この出店戦略の転換が功を奏したのか、和菓子事業の売上は一番高くなっています。2012年12月単独では、既存店が昨対比11.25%増、2012年1月からの通期でも4.77%増になっています。
惣菜と和菓子という商材の違いもありますが、これらの2つの企業の業績を比較すると、
デパ地下のお店はかなり苦戦している
SCのお店は好調
ということがわかります。デパ地下の苦戦の一因は、百貨店の客数減が影響しているのではないでしょうか。
そう考えていると、目に飛び込んできたのが、WBSでのアウトレット特集。アウトレット市場も競争が激化しており、価格だけでなく各社魅力的なテナント集めに力を入れているようです。アウトレットの価格を見ると、百貨店で買うのが馬鹿らしくなる。こう感じても不思議ではありません。百貨店に行くのをやめて、アウトレットで買い物をする人も多いのでしょう。つまり、
アウトレットは百貨店から顧客を奪っている
と考えることができます。
このあおりを受けているのが、ロック・フィールド。ならば、ロック・フィールドも、アウトレットに出店すればいいのです。食品、しかも消費期限の短い総菜なので、アウトレット品を販売することが難しいかもしれませんが、それはアレンジでなんとでもなります。例えば、16種の野菜サラダなら、野菜を8種類に減らせばいいのです。
また、ロック・フィールドは、工場で大量生産した商品を、店舗内で混ぜて提供しているというスタイルを取っています。ということは、店舗での売上減は、工場の稼働率低下を招いていることでしょう。稼働率向上のためにも、ロック・フィールドにとってアウトレット出店はプラスに働くかと思います。
☆ 今日のまとめ☆
2012年の百貨店売上が前年比プラスになったといっても、一部の都市が潤っているだけであり、客数は減少している可能性は高い。
だからこそ、デパ地下出店がほとんどのロック・フィールドは苦戦しているのである。
アウトレットが百貨店の顧客を奪っているとすれば、ロック・フィールドもアウトレットに出店すればいいのではないか。
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☆ 今日のこぼれ話☆
アウトレットに行くと、その集客力に驚かされます。
若者だけでなく、シニア層もいっぱい。
消費する場所は、大きく変化しているのですね。
☆サムシンググッド創業者 坂本桂一さんの言葉☆
「世に出回っている安っぽい成功法則を無邪気に信じている人間がたくさんいるからこそ、自分の頭で考え努力する人間の成功する機会が増えるのだと。」
(『頭の良い人が儲からない理由』より)
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