消費激増のワイン、本当に売れている場所とは?
本日(2/15)の日経新聞朝刊消費欄に、ワインに関する記事が掲載されていました。
ワイン人気が復活してきた。2012年の国内市場は14年ぶりの高水準となったもようだ。立ち飲みや ワンコインで気軽に楽しめる専門酒場の登場で裾野が拡大。3000円ほどの予算で満足できるため、女性や20代の支持を集める。昨秋までの円高で輸入品の 価格低下が進み、自宅で味わう「家飲み」派も急増。ワインを預けて熟成させるレンタルセラーなど、関連消費も勢いづいている。(2013年2月15日付 日経新聞朝刊)
ワインが何となく売れているというのは、肌感覚で分かります。まず、小売店での露出が増えました。近くのグルメシティ(ダイエー系スーパー)では、1年前より倍ほどの売場面積になったと思います。セブン-イレブンは、ワインに力を入れているコンビニの筆頭格。だいたい30種類ぐらい置いている店舗が多いですね。セブンであの品揃えだと、「深夜にワイン買う→セブン」という公式が成立してしまうかもしれません。飲食店でもワインの種類を増やすお店が増えたと思います。バル人気も、ワイン人気に由来しているのでしょう。
実際に、国税庁のサイトで、果実酒の課税数量を調べてみると、どれぐらい増えているのかがはっきりわかります。
【ワイン人気を裏付ける課税数量】
[1]2012年4~11月→累計で前年同期比19.9%増
[2]5月から7ヶ月連続プラス
[3]11月以外15~40%近くの増
これらの数字から、ワイン消費量の激増ぶりが理解できるかと思います。ただ、気になるのが、実際にどこで売れているか、ということです。
そこで、ワインに力を入れていそうな小売店・飲食店経営の上場企業のIRデータを調べてみました。調査したのは、イオン・セブン&アイグループ・ワタミです。
【IRが示すワインが売れている場所】
[イオン]販売状況に関する言及なし。GMS改革における専門店化のみ。
[セブン]販売状況に関する言及なし。
[ワタミ]販売状況に関する言及なし。バル業態であるGOHAN・旨い屋の紹介のみ。
どの企業も、「ワインの売れ行きが業績にプラスに働いた」などという説明はありませんでした。まぁ、考えてみれば、ワインの売上自体がスーパーや飲食店の中では小さなものなので、仮に国税庁データ以上に伸びたとしても、業績に大きな影響はないかもしれません。
ただ、モノがなかなか売れない中で、国税庁データが示すワインの伸びは大きなものです。この将来性のある商材に力を入れても不思議ではありません。だからこそ、セブンは販売するワインのアイテム数を増やしたのであり、ワタミはワインで集客できるバル業態に力を入れているのでしょう。
一方、イオンはどうなのか。イオンリカーを2010年12月に酒類専門店として独立させるなど、ワイン販売には力を入れているのは確かです。ただ、そのイオンリカーに関するニュースをあまり耳にしません。そこで、イオン・イオンリテール・イオンリカーのサイトから、イオンリカーに関する情報を探してみました。すると、思わぬことがわかりました。それは、
2010年以降にイオンリカーの新規出店に関する情報が全く無い
ということです。これから酒の販売に力を入れようとして、酒専門店を独立させたイオン。しかし、その出店はほとんど行われていません。イオンリカーの売上が、計画ほど上がっていないからではないでしょうか。思ったほど、イオンリカーではワインが売れていないのではないか、と予測しています。ちなみに、同じように独立させた自転車販売店のイオンバイクは、順調に出店を進めています。
ということは、実際にワインが売れているのは飲食店とコンビニであって、スーパーではないということになります。あくまで予測ですが、日経の記事からもそんな感じがします。記事の中心はワイン酒場についてであり、スーパーなど小売店に言及している部分はほとんどありません。さらに、「家飲み」で売れているワインとして紹介されているのは、ペットボトル入りのワイン。しかも、そのメーカー名は伏せられています。飲食店で紹介されている店舗・企業は、その名称がすべて明記されているので、この差は歴然。スーパーでは思ったほど販売が伸びていないのではないでしょうか。
☆ 今日のまとめ☆
イオンリカーの出店がストップしているところを見ると、スーパーでのワイン販売は思ったほど伸びていないのではないか。
一方、飲食店やコンビニ(特にセブン-イレブン)が、ワインの購入先として選ばれているようだ。
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WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
スーパーに足を踏み入れると、ワイン売り場は必ず見るようにしています。
ただ、お客さんが本当に少ないんですよ。
たまにいても、結局買わない人が多いように感じます。
実際、ワインってどこで売れているんでしょうね。
気になるところです。
☆経営コンサルタント 石原明さんの言葉☆
「「儲かるしくみ」は工夫しだいでいくらでも応用できるのです。そしてその実例は、一歩街に出ればそのへんにごろごろ転がっているのです。それをすかさず拾ってよく見て、その裏にある成功法則を見つけ出し、自分で考えて使えるようにならばいいのです。」
(『気絶するほど儲かる絶対法則 売れるしかけと勝てるしくみの作り方』より)
※ポッドキャストでいつもお世話になっています。この番組は本当に勉強になります。
※創業者・経営者・コンサルタントの心に残る言葉、元気になる言葉を紹介しています。