5月スーパー売上、実は悪くはないと感じる理由とは?
5月のスーパー売上が発表されました。
日本チェーンストア協会が20日発表した5月の全国スーパー売上高は1兆492億円となり、既存店ベースで前年同月比1・2%減った。前年割れは2カ月連続。食品では相場安の影響もあり野菜の売上高が落ち込んだ。夏物衣料の販売も低迷した。(2013年6月21日付 日経新聞朝刊)
この記事だけ見ると、スーパーの売上は低迷しているように思えるかもしれません。しかし、全店ベースで見ると、その光景はガラッと変わります。というのも、全店ベースでは、プラス1.4%だからです。(発表データはこちら)また、食料品だけを見えると、既存店ではマイナス0.7%であるものの、こちらの全店ベースではプラス2.7%になります。
店舗商売の場合、本来比較すべきは既存店ベース。というのも、店舗さえ増やせば、売上は容易に増えるからです。しかし、日本チェーンストア協会が発表する全国スーパー売上を見ると、その常識が覆されることになります。過去1年間の全国スーパー売上をまとめると、次のようになります。
【全国スーパー売上まとめ】
[既存店ベース]2013年3月のみプラス
[全店ベース]2012年12月・2013年3月・4月・5月がプラス
※2012年6月~2013年5月を調査
この結果からわかるように、全店ベースの売上も既存店同様になかなかプラスになっていないのが、スーパーの現状なのです。さらに、このデータは、日本チェーンストア協会の会員企業という多店舗展開するスーパーのみのデータ。つまり、スーパー業界の中では、バイイングパワーの強い強者の集まりなのです。その強者の売上を集計した数字でさえ、全店ベースで昨年同月をなかなか上回れないのが、現実なのです。
恐らく、次のような環境変化が起きたのではないでしょうか。
【チェーンスーパーの競争環境の変化】
[従来]競合は地場の単独スーパー→市場を奪ってきた
[現在]競合はチェーンスーパー→市場の奪い合いが起きている
市場の奪い合いが起きる上に、商圏内の人口自体が減少しているので、商圏内の総店舗数が増えても総売上は減る、という状況に陥っていたのだと思います。だから、昨年11月以前は、既存店ベースのみならず全店ベースでも、売上は昨年比でプラスにならなかったのだと思います。ちなみに、同じ事がコンビニ業界でも起きていると考えれば、コンビニ業界の既存店売上高が減少しているからと言っても、別に悲観するべきことではないのかもしれません。
ならば、なぜ昨年12月からプラス基調に変わったのか、が気になるところ。これについては、食料品のみにクローズアップして、次回述べたいと思います。
☆今日のまとめ☆
スーパーの場合、既存店ベースだけでなく全店ベースでも売上減少が続いている。
この要因は、チェーンスーパー同志が顧客の奪い合いをしているからだろう。
ならば、3月から3ヶ月連続で続く全店ベースでのプラスは、喜ばしいことではないか。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
神戸市東灘区も、大手スーパーがどんどん進出しています。
阪神間は、昔はさほどスーパー数もなくて、価格競争も穏やかだったようです。
しかし、今は激戦区。
消費増税後には、撤退店舗も出てくるだろうと予測しています。