パン屋(ベーカリー)のオペレーションに潜む、2つの無駄とは?
たいていのパン屋(ベーカリー)は、ガラスの窓が大きいため、外からでも中の様子がよくわかります。だから、よく観察するのですが、そこでオペレーションに潜む無駄を発見しました。
【パン屋(ベーカリー)のオペレーションに潜む無駄】
[1]パンを一つずつナイロン袋に入れる作業
[2]外観からパンの名称を判別、その価格をレジに打ち込む作業
無駄というのは、少し言い過ぎかもしれません。しかし、上記の作業を軽減しても、顧客満足度にはさほど影響しないと思うのです。
まず1について、商品を1つずつナイロン袋に入れるのは、別のパンの匂いや付着物(チョコレートやアーモンドなど)がつかないようにするためです。しかし、冷静に考えてみると、別々に入れるサービスは少しやりすぎと言えないでもないです。
同じようなパターンとして、ドーナツがあります。ドーナツの場合は、1つずつ袋に入れることはまずしないでしょう。たいていは、紙のようなシートを挟み、できるだけ別のドーナツの味がつかないようにするだけ。そして、紙に挟んだドーナツは、一つの箱に入れられます。その中で、別のドーナツと接触することは十分ありえます。かと言って、個別包装するのは過剰サービスと考えているのでしょうか、紙に挟むのみ。そして、ユーザーもこれを当然と受け入れています。
パンを1つずつナイロン袋に入れる作業は、当然オペレーション時間を長くするわけで、繁忙期にはこのために行列ができていると言っても過言ではありません。行列に並ばないのと個別包装するのとどちらを選ぶかと言われれば、前者を取るユーザーも多いかもしれません。
2も、オペレーション時間の長期化につながりますが、それ以上に従業員教育に時間を要することになります。パン屋で販売しているパンの多くは、売場に値札があるだけで、商品に商品名称は記載されていません。(当然ですが)そのためレジ係は、パンを見て、そのパンがどのパンかを識別する必要があります。この暗記することが、レジ係に求められるスキルであり、そのために教育が施されます。このスキルをマスターしないと、パンの名称がわからずに右往左往することになるので、マスターが必須となるわけです。このスキルマスターに、コストが掛かっているのではないでしょうか。もし、パンに何かしら識別できるマークなどがあれば、マスターする難易度はかなり下がると同時に、これによりユーザーの満足度が下がることはありません。逆に、オペレーションの簡素化につながれば、行列ができにくくなることから、喜ばれるかもしれないのです。
では、どうするか?今のところ、いい案は思いつきません。ただ、人口減少により人材獲得が難しくなることを考えると、今の大変なオペレーションを簡単にマスターできる人材はなかなか見つけられなくなることでしょう。さらに、若者の耐性が下がっていることを考えれば、せっかく教えても業務の難しさからすぐに辞めてしまうかもしれません。いずれ、オペレーションの簡素化が求められるようになるのではないでしょうか。
もちろん、これはパン業界だけに当てはまることではなく、すべての業界でオペレーション・作業の簡素化へのニーズが高まるように感じます。
☆今日のまとめ☆
パン屋のオペレーションにおいて、パンを1つずつ袋に入れる作業や、パンを見て名称を識別しレジに打ち込む作業は、無駄とは言えないか。
簡素化しても、顧客満足を下げることにはならないどころか、逆に満足が増幅可能性さえある。
また、レジ係に識別するスキルを必須とするために、募集や人材の定着が難しくなるかもしれない。
パン屋だけではなく、あらゆる業界でオペレーションの簡素化へのニーズは高まるのではないか。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
特に、パン屋のアルバイト募集を見ると、時給が比較的低いように感じます。
競争も激しく、単価引き上げも難しい業界なので、時給を上げることも難しいでしょう。