ブックオフ大幅減益からわかる、中古販売のビジネスモデル

ブックオフ店舗

by courtesy of Thord Daniel Hedengren

先日、日経新聞の四半期決算データを見て、驚いた企業がありました。それは、ブックオフコーポレーション。増収増益企業が増える中、営業利益が大幅に減少しているからです。

ブックオフコーポレーションは、2014年3月をめどに不振の「ブックオフ」 直営店約20店を閉鎖する。主力のコミックやゲームソフトの販売が不振で、客数・売り上げとも落ち込んでいるため。一方でスマートフォン(スマホ)などは 販売が好調であることから、今後、新たな商材の取り扱いを進める。新しい店舗の開発を急ぎ、年度内に新型の実験店を出店する方針だ。(2013年11月4日付 日経MJ)

売上は伸びているので、原価や販管費などが売上以上に増加したことが、大幅減益の要因として考えられます。実際、既存店売上高は大幅に減少し、店舗増で売上を伸ばしています。店舗を増やせば、スタッフの人件費や光熱費・家賃などが増えるもの。既存店の売上減を店舗増でまかなったものの、新たに販管費が増加したのです。原価に関しては、売上ほどではないにしても、売上総利益も増加しているので、大きな原価増加は無かった模様。ブックオフの場合、原価は買取価格になります。買取はスムーズに進んだようです。

ブックオフコーポレーションには、ブックオフ以外にも事業があり、各事業別の収益を見ると、四半期決算の内容をもう少し詳しく見ることが出来ます。全社収益に占める割合が最大なのは、ブックオフ事業。このブックオフ事業の収益悪化が、全社の営業利益大幅減の要因になっています。ただ、それでも営業利益を計上しています。今でも稼ぎ頭なのです。一方、リユース事業は、依然赤字のまま。リユース事業とは、本やCDなどのメディア以外のアパレル・雑貨などの中古販売事業。この事業が、営業赤字なのです。

ただ、その営業赤字は、縮小傾向にあります。その原動力は、売上の大幅増。中古品販売は、もともと粗利益率の高い=限界利益率の高い商売なので、売上が伸びると、利益率は大きく改善します。それでもまだ赤字ということは、それだけ固定費が高いビジネスである証拠。ブックオフが新店で売上を稼いでも、既存店で失った利益を稼げないのは、これも高い固定費に起因します。

ブックオフの四半期決算からわかるのは、限界利益率が高い一方で固定費も高く付くという、中古販売特有のビジネスモデル。だからこそ、ブックオフは収益改善のために、売上不振店舗の閉店を大幅に行うのです。

 

☆今日のまとめ☆

ブックオフの大幅減益の要因は、ブックオフ事業の既存店売上の減少。

それでも営業黒字であるが、規模がまだ小さいリユース事業は営業赤字のまま。

中古販売事業とは、限界利益率が高い一方で固定費も高く付くビジネスモデルである、と言えるだろう。

 

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☆  今日のこぼれ話☆

ブックオフ不振は、中古販売店同士の競争激化も要因。

特に、アマゾンマーケットプレイス(中古販売)は、ブックオフの店舗売上を大きく奪っていることが想像できます。

少々高くても、ネットで簡単に探せるという利便性が優先されるからでしょう。

 

 

 

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