食品メーカーの品目絞込みとともに進む、スーパーの変化
by courtesy of Yuya Tamai
消費増税による節約志向の高まりを考え、品目を絞り込む食品メーカーが増えているようです。
食品や日用品の大手メーカーが商品数を削減する。伊藤ハムやエステーは数年内に4割減らすほか、ライオンなども絞り込んでいる。原材料費が高止まりしてい るが、来春の消費増税後は節約志向が強まる見通しで値上げは容易でない。広告費や生産の効率を高めて、売れ筋に経営資源を集中させることで、厳しい経営環 境を乗り切る。(2013年12月12日付 日経新聞朝刊)
簡単に言えば、消費増税により売上が減ると予想されるのだから、収益率を保つために、あまり数が売れない商品は製造を止めることで、コストを削減しようということです。あまり売れなくてもそれなりの販促・宣伝は必要であり、品目が増えるほど、販促費・宣伝費は膨らみがち。そこで、主要ブランドに絞り込むことで、販促・宣伝の効率を高めようとしているのです。
また、製造・保管する業務を考えれば、品目数の少ない方が、圧倒的に楽になります。資材の発注頻度も下がり、その在庫スペースも縮小することができます。その結果、管理コストが下がり、販促・宣伝コスト同様にコスト削減につながります。
消費増税による消費者の節約志向の高まり以外にも、要因はあります。それは、PBの拡充による売場確保がより難しくなっているからです。従来PBと言えば、NBよりも割安なことがその特徴としていましたが、今ではセブンゴールドのように高品質のPB商品も登場しています。単純に考えれば、PB商品の品目が従来の二倍になったのです。一方で、店舗あたりの売場は二倍になっていないので、売上の悪いNB商品が売場から弾かれることになります。ならば、将来性が低く、売場から弾かれがちな商品をやめてしまおう。そうメーカーは考えたわけです。
小売店側にとっても、品目の削減はいいことかもしれません。というのは、店舗の小型化を進めやすいからです。消費者の利便性へのニーズの高まりの結果が、コンビニ市場の拡大と捉えれば、スーパーも利便性を高める努力をする必要があります。その利便性の最たるものが、立地。品揃えよりも近くの店舗を選ぶ消費者が増えているのです。ならばスーパーも、商圏の広い巨大店舗を少数構えるよりも、商圏の狭い小型店舗を多数展開した方がいいに決まっています。小型店舗になれば、品揃えを集約せざるを得ず、主要NB商品とPB商品しか陳列できません。ならば、その主要NB商品に販促費と宣伝費を集中してもらった方が、スーパーにとっては売上拡大につながります。品目の絞込みは、スーパーにとっても好都合なのです。
この両社の思惑が合致した結果起こるのが、小型店の増加。好立地の小型スーパーは、今後さらに増えそうな予感です。
☆今日のまとめ☆
コスト削減のために、メーカーは品目絞込みを行うが、スーパーにとってもそれは好都合ではないか。
というのは、利便性の高い小型スーパーの多数出店のためには、主要NB商品しか販売できないからである。
この結果、好立地の小型スーパーは、今後さらに増えるだろう。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
喉の痛みが酷く、できるだけ外出を控えています。
マスクを常用しているのですが、マスクは本当に効きますね。