吉野家が実施する客単価引き上げ策
かれこれ一ヶ月前のことでしょうか。ルミナリエで賑わう神戸・三宮でのこと。神戸にも多くの吉野家があるのですが、その中でもひときわ異彩を放つのが、JR三ノ宮駅の南東にある店舗。カウンターだけでなく、テーブル席を構え、グループ客(特に女性)の集客を目指している実験店のようにも見えます。
その店舗にとあるポスターが貼ってありました。それが、こちら。
吉野家がビールの販売に力を入れていることがわかります。中瓶を320円という格安価格で販売しているのです。ちなみに、競合するすき家では400円なので、その安さがわかります。
しかし、冷静に考えてみると、吉野家のメイン商材は280円の牛丼。一方、値下げ販売したとはいえ、ビール中瓶は320円。牛丼並よりも高いのです。ビールだけ注文しても、並だけの顧客よりも単価は高くなります。吉野家が、ビールの販売に力を入れることにより、客単価引き上げを目指していることがわかります。
吉野家の月次実績を見ればわかるのですが、吉野家の一番の課題は客単価の引き上げ。牛丼を280円に値下げしてから、客数は伸びているからです。牛丼で集めた来店客に、より単価の高いメニューを注文してもらったり、もう一品注文してもらったりして、客単価引き上げを目指しているのです。牛すき鍋膳の導入は前者、ビールの販売強化は後者に当たります。
さらに、ビールのポスターでは、おつまみとして牛皿を薦めています。牛皿の価格は240円。ビール中瓶と牛皿を注文しても、1000円以下で済みます。仕事帰りのちょっと一杯需要を取り込もうとしていることがわかります。1000円以下で済むなら、居酒屋などでよくある、アルコールと一品のセット「ほろ酔いセット」よりも安くなります。たいてい、1000円で提供しているからです。居酒屋から顧客を奪うことにより、客単価のみならず、客数増も目指していることがわかります。
☆今日のまとめ☆
吉野家は、ビール中瓶を320円という格安で提供することで、客単価引き上げを目指す。
さらに、牛皿をつまみにしても1000円未満で済むので、仕事帰りのちょっと一杯需要を取り込むことで、居酒屋から顧客を奪うこともできる。
客数のさらなる拡大も目指しているのだろう。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
客数減に悩むファストフードチェーンが多い中、吉野家の客数増がどこまで続くのかには、注目しています。