チルド総菜に期待できる、まとめ買いという消費創造
30日以上保存できるチルド総菜の開発・生産に力を入れる食品メーカーが、増えているようです。
食品大手が賞味期限を30~50日近くに延ばしたチルド(冷蔵)食品の開発に力を入れる。マルハニ チロは仏大手と提携して2015年春から本格販売。フジッコは今秋から増産し売上高を約3倍に引き上げる。コンビニエンスストアがプライベートブランド (PB=自主企画)で得意としてきた分野だが、働く女性やシニアの需要が拡大。食品メーカーの技術力と販路を生かし巻き返す。(2014年6月25日付 日経新聞朝刊)
このタイプのチルド総菜を一気に普及させたのは、コンビニ。今では、大手コンビニチェーンの弁当売り場近くに行けば、多種多様なチルド総菜が並んでいます。そして、このチルド総菜が、コンビニの売上・利益双方の拡大に大きく寄与しているようです。その理由は、賞味期限が長いために廃棄ロスを減らせるからに他なりません。
ただ、それ以外にも、次のような収益貢献理由があります。
【チルド総菜の収益貢献理由】
[1]宅配ニーズの獲得=宅配弁当市場の売上を奪ったから
[2]まとめ買いにより消費量が増えやすくなるから
1・2とも、賞味期限が長いために、まとめ買いを起こさせることに起因しています。足腰が悪いために毎日コンビに行けないシニア層は、チルド総菜をまとめ買いすれば、割高な宅配弁当を購入しなくて済みます。その結果、コンビニのチルド総菜は、宅配弁当市場の売上を奪うことになり、収益にプラス効果を及ぼします。
2は、消費増税前の駆け込み需要でも起こりました。駆け込み需要の反動が想定よりも小さい要因として、まとめ買いした商品の消費量が増えたことがあります。例えば、買いだめしたビールが自宅にたくさんあれば、普段1缶しか飲まないものの、2缶飲むかもしれません。大量に醤油があれば、ついつい使いすぎるというのと同じ理屈です。チルド総菜でも、まとめ買いをして自宅にたくさんあれば、小腹が空いた時につい食べてしまうかもしれません。まとめ買いしたチルド総菜がなければ、空腹を我慢していたかもしれません。ならば、まとめ買いが消費を創造したことになります。まとめ買いできる賞味期限の長いチルド総菜は、消費を作り出す潜在力があるのです。
人口減少でなかなか売上を伸ばせない食品メーカーがチルド総菜に力を入れるのは、この消費を創造する力に期待しているからかもしれません。
☆今日のまとめ☆
まとめ買いをした商品は、ついつい使ってしまうもの。
この消費創造の力が、まとめ買いができるチルド総菜にはある。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
コンビニのチルド総菜は以前食べましたが、結構美味しいですよ。
私が食べたのは、豆の煮付けとポテトサラダ。
添加物が気になりますが。