エイベックス第二四半期決算からわかった、エンタメビジネスの真実とは?(その1)
日経新聞の決算欄を見ていたら、懐かしい企業の大幅減益決算が目に飛び込んできました。その企業とは、エイベックス・グループ・ホールディングス株式会社。なぜ懐かしいかというと、昔株主だったから。配当利回りの高さと優待のCD欲しさに株式を持っていました。ちなみに、株価急騰による配当利回りの低下により、既に売却済みです。
エイベックスの直近四半期決算は特に記事にもなっていなかったのですが、その大幅営業減益に目に止まりました。ちなみに、
30.1億円→17.1億円
という半減に近いほどの大きな減少です。エイベックスは、ヒット作有無が大きな影響を与える映画ではなく、根強いファンのいる音楽主体のエイターテイメント企業であるので、比較的安定しているというイメージがあります。しかも、最近は歌手だけではなくスポーツ選手まで幅広いマネージメント事業にも力を入れており、そう大きく収益がブレないという印象。だから、この大幅営業減益の原因は、気になるところ。
そこで、公式IRサイトから大幅減益の要因を調べてみました。(PDFに飛びます)すると、新調した本社建物の減価償却費が急増したとのこと。そのため、販管費のうちの一般経費が15億円ほど増えたために、営業利益が17億円減少したようです。
なるほど、と一瞬思ったのですが、念のため調べてみると、減価償却の増加よりも別の大きな原因を発見しました。それは、
売上原価の増加 +30億円
です。減価償却の二倍もの金額なので、原価上昇が最大の要因と言えます。もう少し掘り下げてみると、
音楽事業の原価 +14億円
映像事業の原価 +15億円
ということがわかりました。つまり、音楽と映像を仕入れ・制作するのにお金が掛かっているということになります。さらに掘り下げると、音楽事業ではヒットしたアナ雪の仕入れコスト、映像事業では動画配信コンテンツ仕入れ・制作コストが、大きく増加したものと思われます。
何がいいたいかというと、ネット・リアル双方のエンターテイメント事業では、コンテンツホルダー・製作者により大きなお金がまわるようになっているということです。つまり、エンターテイメントビジネスでは、コンテンツホルダーの力が強力になっているのです。だからこそ、エイベックスは、お金を掛けてコンテンツを仕入れ・制作せざるを得なかったのでしょう。
そういえば、アナ雪も元はディズニーが権利を持つ映画。エイベックスの払った版権コストはかなりの額になったのでしょうね。
☆今日のまとめ☆
エンターテイメントビジネスの力関係では、コンテンツホルダーがさらに強力になっている。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
エイベックスのIR資料からは、もう一つ面白いことがわかったので、それは次回に。