セブンのドーナツ市場本格参入でもミスドはさほど大きな影響を受けないと考える理由

mister doughnut

 

セブンが、カウンターフードとしてドーナツ販売に力を入れるようです。

 

セブン―イレブン・ジャパンはレジ横に専用のケースを設置してドーナツの販売を始める。2015年度中に全1万7千店に導入する計画で、年間販売個数は約6億個と国内トップ級に躍り出る見通しだ。1杯100円のいれたてコーヒーなどで次々に市場の勢力図を塗り替えたセブンが、圧倒的な販売力を武器に新分野を開拓する。ミスタードーナツなど既存の専門店の戦略にも影響を与えそうだ。(2014年11月20日付 日経新聞朝刊)

 

この記事が掲載された当日、ネット上では「ミスドは壊滅的な打撃を受けるのでは?」という意見が多く見受けられました。そこで、改めてミスタードーナツの収益性・事業性について、運営するダスキンのIR資料を調べてみると、思わぬ事実に遭遇しました。

 

それは、

 

ダスキンのフード事業は営業赤字に陥っている

 

ということです。ダスキンのフード事業の大部分はミスドなので、ミスドは利益を上げていないのが実態です。

 

収益をもう少し詳しく見ると、14年3月期(前期)の売上は、10年3月期と比べて約11%減少。売上≒支持率と考えると、ミスドの支持率は減少しいているのです。営業利益の減少は、売上以上にも及び、前期にはついに営業赤字に転落。支持率が落ちているどころか、赤字を垂れ流す事業になったことがわかります。

 

ミスドが営業赤字に陥った要因を考える上で、ミスドの売上を、

 

テイクアウト売上

イートイン売上

 

に二分します。座席の制約を受けないのが、前者のテイクアウト売上であり、座席を必要としない点で、イートイン売上よりも利益率は高くなります。あくまで私の予測ですが、ミスドの収益を支えていたテイクアウト売上が大きく激減したために、ミスドは営業赤字に転落したのではないでしょうか。

 

そのテイクアウト売上を奪ったのは、コンビニスイーツやその他スイーツ店。つまり、ミスドは、もともとセブン-イレブンなどのコンビニにテイクアウト売上を奪われているのです。コンビニには、出来たてではないもののドーナツは既に販売されています。ドーナツだけではなく、ドーナツを代替しうるスイーツも品揃え豊か。一方のミスドで販売されているスイーツは、ほぼドーナツだけ。さらに、コンビニの方が便利となれば、コンビニに軍配が上がるのは当然です。

 

セブンが出来たてドーナツを100円で売ることで、影響を受けるのは、ミスドの100円セールの売上が落ちるというぐらいでしょうか。すでに売上が落ち込んでいるミスドにとっては、少し売上が下がるだけで、致命傷にはならないと予想しています。逆に、100円セールへの依存を止める良いチャンスになるかもしれません。

 

☆今日のまとめ☆

もともと、コンビニや他のスイーツ店に収益性の高いテイクアウト売上を奪われ、営業赤字のミスドにとって、セブンのドーナツ本格販売はそう痛いことではないだろう。

 

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  • 今日のこぼれ話☆

とは言うものの、実際にセブンのドーナツを食べてみなければ分からないのは本音でしょうか。

ミスドと同等の美味しさで新商品を随時投入できるとなれば、来年のヒット商品番付に登場するかもしれません。

 

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