売上が伸びるアメリカのショッピングモールに学べる点
1月最後のWSJメルマガで、アメリカのショッピングモールを取り上げました。ネット通販が伸びるアメリカだから、さぞかしショッピングモールは売上減に悩んでいると思いきや、現実はその逆。金融危機による景気後退期以降、毎年着実に売上が伸びているようです。(全体のデータ)
ただし、その単位は、単位面積あたりの売上。(平方フィートあたりの売上金額)分母の売り場面積が減少していれば、総売上が伸びなくても単位面積あたりの売上は増加します。しかし、ネットで調べる限り、アメリカのショッピングモールの売り場面積が減少しているという情報はなく、恐らく、売り場面積以上に売上金額が伸びているのでしょう。ともあれ、アメリカのショッピングモールの販売効率が上昇していることは、間違いありません。
その要因は、
高単価・高集客力のテナントを増やしているから
です。そのテナントとは、アップル・マイクロソフト・テスラモーターズなどのハイテク特化テナント。より一般的なアパレル・雑貨小売店もあるものの、より目立つ場所にはハイテク小売店を入れているのです。
単価と集客数は、本来両立しにくいもの。本当にハイテクテナントは、両立できているのか。恐らく、できていないでしょう。ハイテクテナントの客数は、そう多くないと思われます。しかし、少ない客数を補う以上に単価が高いので、売り場面積あたりの売上金額は、トップレベルなのです。
では、集客力の高さとは何か。それは、ショッピングモール自体への集客力の高さです。パソコンや自動車は単価が高いので、そう頻繁に買えるものではありません。しかし、その売場に行けば、実物をいじって楽しめます。この楽しめる店が、アパレルショップ・雑貨店などの他テナントにはないのです。
実物を体験できる楽しさは、ネット通販対策にもなります。ネット通販大国のアメリカで、実店舗小売店が抱える一番の問題は、集客。客数の減少に悩む小売企業が多いのです。恐らく、ショッピングモールも同じ悩みを抱えているはず。その解決策として、楽しさで集客できるハイテクテナントを誘致しているのです。
ハイテクテナントには、もう一つ重大な特徴があります。それは、
値崩れしにくい商品を販売している
ということです。これは、家電量販店との一番の違い。家電量販店にも、商品そのものを体験できる利点があります。しかし、同じ商品が他の実店舗のみならず、ネット通販でも販売されているので、実際に購入する時には価格競争にさらされるのです。
ここまでをまとめると、ネット通販に市場を奪われてもおかしくないショッピングモールが好調なのは、
総売上よりも販売効率を優先したから
単価・集客力が高く、値崩れにしにくい商品を販売するハイテク小売店を誘致したから
ということになります。
日本のショッピングモールを見ると、「○○初出店」という目新しさはあるものの、販売商品の多くは、アパレル・雑貨・食・飲食サービス・その他サービスです。ブランドは違えぞ、どこもよく似ています。そして、単価もそう高くなく、どちらかというと値下げ圧力にさらされている商品群が多いように感じます。そこには、売り場効率という考えが希薄のようです。
今後、SC建設コスト・維持コストが上昇すれば、販売効率を考えたモール設計が必要になるのではないでしょうか。その時、アメリカのように、ハイテク小売店が当たり前のようにモールに出店しているかもしれません。販売効率への関心は、他の店舗ビジネスでも高まるかもしれません。
☆今日のまとめ☆
アメリカのモールが好調なのは、販売効率の良いテナントを増やしているから。
それは、単価・集客力とも高く、値崩れしにくい商品を販売するハイテク小売店である。
日本でも、販売効率重視のモール設計・実店舗設計が増えるかもしれない。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
- 今日のこぼれ話☆
民主党の代表は、岡田さんに決まりました。
本当に民主党の再生を図るなら、最年少の細野さんの方がよかったかなぁ、と思います。
ベストは、政策が一貫した40代・50代で選挙に強い人ですが。
気になるのは、岡田さんが左派に遠慮しすぎないかということ。
民主党政権時代はいろんな失敗がありましたが、是非とも再チャレンジしてもらいたいものです。
そう言えば、安倍さんも昔「再チャレンジ」と言っていましたね。