天然とんこつjラーメン専門店・一蘭の面白い戦略とは?
全国的に有名なお店ですが、初めて一蘭でラーメンを食べました。たまたま梅田で昼時にお店を発見したので入ったのですが、梅田にあったのですね。てっきり、大阪は道頓堀にしかないかと思っていました。
知ってはいましたが、各席に隣席と隔離する敷居があるのは、結構特殊な体験です。目の前には、一蘭の説明が詳しく書いてあるので、一人でも特に手持ち無沙汰とは思わないのですが、来店客がみんな敷居で区切られた席で食べる風景はかなり異様。
そして、店員との接触もほとんどありません。正確には、券売機で買った券を席から向こうの店員に渡すのですが、すだれのようなものが垂れてあり、店員の顔はほとんどわかりません。ラーメンを食べることに特化した店作りと言えるでしょうか。
このような特殊な空間が、一蘭の客層戦略に合致しています。その客層戦略とは、
一人でゆっくり食べたい男性客
誰の目も気兼ねなくラーメンを食べたい一人の女性客
に他なりません。一言で言えば一人客なのですが、男性・女性によりそのニーズは異なります。男性一人客は、ゆっくり食べたいというニーズ。一方の女性一人客は、一人でラーメンを食べたいというニーズ。女性の場合には、女性一人でラーメン店に入ることは、少し気恥ずかしいという前提があります。一風堂のようなカフェ風のラーメン店も登場していますが、いまだ女性一人でラーメン店に入ることに躊躇する人もいるはず。そのニーズを、一蘭の特殊な空間は解決しているのです。ただし、券売機で買うこと自体が嫌だという女性も、いるかと思いますが・・・
さらに、券売機で注文するメニューを決めてから、席でラーメンの硬さやスープの濃さなどを指定しなければなりません。「しなければなりません。」と書いたのは、カスタマイズしたい来店客だけがするのではなく、みんな好みに◯を付けた紙を提出しなければならないのです。そう、一蘭は、カスタマイズニーズにも対応しているのです。もしかしたら、
一人客はラーメンのこだわりが複数客よりも強い
のかもしれません。客層戦略が、注文方法(販売戦略)にも影響しているのです。この記入して渡すという方法は、追加メニューでも同様。箸袋に追加メニューが印刷されてあり、それに◯を付けて提出することによって、店員に注文内容を話さずに注文することができます。これなら、替え玉をしたい女性も、恥ずかしい思いをせずに、替え玉できます。
一蘭の一人でラーメンを食べられる空間の提供は、かなり特殊は販売手法と言え、そこにニーズを持つ消費者層はさほど大きくないと思われます。でも、そんなニッチな層を狙ったにも関わらず、ここまで全国的なラーメンチェーンになれたということは、ターゲット層は細かく絞った方がいいという好例と言えるでしょうか。もちろん、ラーメンが美味しいというのは、必要条件ですが。
☆今日のまとめ☆
一人でラーメンを食べられるという空間を作って、一躍有名になった一蘭。
この背景には、一人の男性客・女性客がターゲットであるという客層戦略がある。
特に、女性の場合は、一人でラーメン店に入ることを気恥ずかしく思うことが多いので、その強いギャップに商機を見出したと言えるでしょう。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
- 今日のこぼれ話☆
とんこつラーメンを食べたのですが、ラーメン自体はとても美味しかったです。
自分で味の濃さを設定できるのが、いいですね。
ただし、一人一人区切られた空間で食べるのは、少し寂しい。
やはり、飲食店はある程度の賑やかさが欲しいと私は思います。