ホーチミン食品ミッション3日目(10/25)エースコックベトナム、期待できる新ビジネス。

vina acecook

3日目も、行事が目白押し。まるで、ベルトコンベアーに乗っているかのうなあわただしい一日でした。この日の行事は、以下の通り。

1)エースコックベトナム工場見学

2)高級日本食料理店でランチ・料理長インタビュー

3)ベトナム一般消費者との試食・意見交換会

4)ファミリーマート幹部による説明・店舗視察

5)高級ベトナム料理店でのディナー


この中で一番興味深いのは、

3)ベトナム一般消費者との試食・意見交換会

だと思います。5人の女性(一人が主婦)が5つのグループに分かれて、各社が質問・試食を行うスタイルでした。ある程度のベトナム人消費スタイルがわかるのですが、各自好みが違うのも事実。この試食会で好評を得たからといって、売れるという保証はありません。さらに、価格という大きなハードルもあります。


この価格という大きなハードルをクリアする方法として、エースコックベトナムの事例が参考になるでしょう。エースコックベトナムは、日本の即席めん大手企業子会社ながら、現地の即席めん市場ではトップシェアを握っています。これだけ見ると、

◎     日本の技術力が受け入れられた

という短絡的な分析だけで終わるのですが、実際は思った以上に市場参入は大変だったようです。初めの5年間は全く利益が出なかったからというから、その忍耐力には頭が下がります。これを中小企業で行うとなると、

◎     日本国内でトップシェアを持っている。

◎     日本国内で高い利益率を誇っている。

など、国内市場で大きな成功を収めた中小企業でないと、5年間投資続けることは無理。エースコックという大企業だから出来た成功ストーリーかもしれません。ちなみに、私の心に残ったエースコック成功の秘密とは、

1)現地風にする

2)業のイロハから教育する

3)現地の原料・資材メーカーと一緒に商品開発を行った

という3点。1)は日本でも頭を悩ませるマーケティング上の問題ですが、2)・3)は国内では特に問題にならない部分。新興国で現地生産をすることは、この当たり前のことが整っていないという現実を受け入れることから始まるように思えます。


エースコックベトナムでは、参入当時から現在までの概要と現在抱える問題を聞くことが出来ました。そこで上がった課題の一つとして、

◎     即席めんの価格をその価値と見合ったものにする

がありました。この課題を簡単に言うと、

◎     今の価格は低すぎるから、単価を引き上げる

ということになります。この課題から推測されるのは、エースコックベトナムの収益性。「高いシェアを取ったはいいが、実際に儲かる商売をしているのか?」という疑問です。実際、ベトナムで販売されている即席めんのトップブランドHao Haoはだいたい11円ほど。いくら物価が低いと言っても、低価格なのは事実。商品単価を引き上げるために、フォーを発売したり麺だけの大容量商品を開発したり、商品開発を活発にしているようです。


しかしながら、エースコックベトナムを一つのビジネスと見た時に注目したいのは、これからの商品開発よりも、その販路とベトナムでの生産能力。昔ながらの食料品店(いわゆるパパママストア)が多く、流通経路が複雑なベトナムでは、販路を築くのが大変難しい。だから、売れるかどうかは、商品力よりも販売力が決めると言うこともできます。その点で、エースコックベトナムの販路とその販路を通じた販売力は、大きな強みです。この強みを活かして、即席めんのみならず多種多様な食品を販売すれば、収益面で大きなプラスになります。実際、キリンと合弁会社を設立し、ペットボトル入りの緑茶を販売。エースコックベトナムも、総合食品メーカーを目指しているようです。生産面では、ベトナムの安い人件費を使って大規模工場で生産することにより、低コストで生産することが可能になります。この強みを活かせるのは、輸出。特に、今後大きな経済発展が見込まれる中国や東南アジア諸国への輸出です。ベトナムも今後成長する消費市場ですが、その周りにはベトナムに勝るとも劣らない市場が存在します。その市場に、低コストの商品を短い輸送経路で輸出できることは、エースコックベトナムにとって大きな強み。うまくいけば、今の売上・利益を何倍にも押し上げるかもしれません。


新興国での現地生産・現地販売を成功させると、その途中で獲得した販路や生産能力が次のビジネスを生み出す。エースコックベトナムの事例から学べる大きな点です。


※     ベトナム食品市場についてのレポートは、後日限定公開する予定です。


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