資生堂、ネット通販でリアル店舗への誘導も。

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今日の日経新聞に、資生堂のネット通販参入の記事が掲載されていました。抜粋すると、

 

資生堂は13日、インターネット通販への参入などを柱とする中期経営計画を発表した。国内では仮想商店街と店舗販売の特性を生かした新事業モデルを構築、 中国、米国でも通販を始める。「SHISEIDO」や「専科」など6ブランドについて、最終年度の2014年3月期までにそれぞれ500億~1千億円の世 界ブランドへと育成。期間中に売上高営業利益率を10%(11年3月期は6.6%)に高める。(日本経済新聞 2011年4月13日より)

 

この電子版の記事だけでは、単にネット通販を始めることしかわからないですが、紙面を読むと今回の参入には次のような特徴があるようです。

 

  1. ネット上で、顧客の質問に応じて、専門知識のある社員が動画配信などを通じて、商品の使用法を説明する。
  2. 専門店や百貨店の所在地や取扱商品などの情報を提供し、来店を促す。
  3. 化粧品に加えて、家電や食品など大手メーカー10社以上にサイトへの出店を募り、美容に関する商品を1カ所で購入できる仮想商店街とする。

 

1番目は、対面型店舗で行うサービスを、ネットで行うということです。対面型サービスは、臨機応変な対応ができる一方で、買わないといけないというプレッシャーを感じたり、いちいち店舗に出向く手間がかかるなどの欠点もあります。動画などを駆使して、ネット上でユーザーの質問に答えることは、この欠点を克服することになります。

 

私が注目したいのは、2番目。化粧品大手の資生堂ならば、すでにネット通販を行っていたかと思っていましたが、資生堂の商品を扱う小売店に配慮して、ネット通販に消極的だったようです。しかし、ネットでの化粧品販売が伸び、資生堂の売上にも影響を及ぼしたのでしょう。資生堂も重い腰を上げたのです。

 

ただ、単にネットでの販売を始めただけでは、小売店の売上を奪うことになります。これでは、販売ルート別の売上に変動があるだけで、売上総数(総額)が増えたことにはなりません。そこで、資生堂は、ネット上で販売店情報を流すことにより、これまで販売店で購入していた顧客には店舗へ誘導することにしました。この店舗との共存は、顧客データの共有することでより、より強いものとなります。

 

資生堂は、

◎これまで店舗で購入していた顧客→ネット上で詳しい商品情報と販売店情報を提供し、店舗へ誘導する。店舗に行けない顧客には、ネットで購入できるようにし、販売ロスを無くす。

◎これまで通販で購入していた消費者→ネット上で詳しい商品情報を提供し、また商品を比較検討できるようにして、他社の化粧品からの切り替えを促す。

ということを、今回のネット通販参入で狙っているのだと思います。

 

ネット通販の一番のネックは、送料です。送料が別途かかることで、欲しい商品でも買うのを止めることになりかねません。送料がかかる際に、サイト上で販売店情報があり近くのお店で売っていることがわかれば、そのお店で買う可能性は高いのではないでしょうか。これで、送料による販売ロスを防ぐことができます。商品をリアル店舗でも販売している企業ならば、ネットで売れようが店舗で売れようが、どちらでもいいのです。資生堂の場合も、単価の低い化粧品では送料が別途かかります。(日経の記事では、ネット通販で販売する化粧品単価は、1000円~1万円とされています。)この送料問題を、販売店情報を提供し販売店へと誘導することで、克服できるのです。

 

資生堂のこのやり方がうまくいけば、今後メーカーの通販サイトで、販売店の情報が提供されるかもしれません。消費者にとって、利便性が高まることになります。また、ネット通販から店舗への誘導ができることになれば、単価の低い商品を製造販売するメーカーが、こぞってネット通販に参入するかもしれません。送料の問題はあるものの、販売店が近くにない消費者にとっては、商品を手に入れられることになり、これでも利便性が高まることになります。

 

3番目については、少しだけ考察しておきます。資生堂は、美容に興味のある顧客に、自社商品だけでなく他のカテゴリーの商品を販売することにより、「美容なら資生堂の通販」という認識を作ろうとしています。自社商品しかなければ、消費者は他のサイトに行かなければならず、サイト移動の際に競合商品に心を奪われるかもしれません。他カテゴリーの美容関連商品を取り揃えることにより、そのような販売機会のロスを無くそうとしているのでしょう。

 

資生堂のホームページはこちら。

 

☆今日のまとめ☆

資生堂はネット通販に参入することによって、単にネットで自社商品を販売するだけではなく、販売店への誘導も行う予定である。

販売店をサイト上に掲載することにより、送料を払うのが嫌で買うのをためらう顧客を、販売店に誘導することができる。

これにより、送料による販売ロスを防ぐことができる。

資生堂の施策がうまくいけば、通販サイト上で販売店情報を提供する企業が増えることだろう。

 

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☆今日のこぼれ話☆

資生堂の記事を取り上げたのは、その内容が面白いこともありますが、私自身資生堂の株主でもあるからです。

ただ、含み損を抱えていますが・・・

 

☆昨日の目標→その結果☆

◎朝6時に起きる→☓

◎毎日情報を発信する→◯

◎毎日仕事以外の人に話掛ける→◯

◎腕立て・腹筋30回→〇

◎自宅のある12階まで歩いて登る→〇

 

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