【470号】ウィンテックス、濃縮詰換え用洗剤が売れなかった理由とは?

Windex

◎本日のニュース

1)見出し
Little Package, Small Problem

【出典】
http://goo.gl/pgFS0

2)要約
アメリカの洗剤ウィンデックスは、
水に薄めて使う濃縮用詰め替え商品を発売したが、
思うように売れないでいる。

ウィンデックスを製造するSCジョンソンアンドソン社は、
ウィンデックスの大部分が水分だという点に注目して、
水で薄める濃縮タイプを開発した。
この商品は、コスト削減・保管のしやすさ・ゴミ削減の点で、
企業・消費者・環境どれにとっても好まれる特質を持っていた。

このような濃縮型ウィンデックスの販売が苦戦するのは、
水に薄めて使うという点が面倒であり、
さらに通販のみで販売されているために
送料が掛かるという点で価格メリットが小さいので、
消費者にとって魅力が少ないからである。

3)キーとなる英文
The company acknowledges that the home chemistry
project of pouring cleaners like Windex into
narrow spray bottles and then adding water can be taxing.

4)キーとなる英文の和訳
その企業は、家庭でウィンデックスのような洗剤を
口の狭いスプレーボトルに流しこみ、
その上水を加えることが負担になりかねないことを認識している。

5)気になる単語・表現
taxing  形容詞     負担になる

6)今日のヒント
記事によると、ウィンデックス(Windex)の
濃縮型タイプが開発されたきっかけは、
SCジョンソンアンドソン(S.C. Johnson & Son Inc.)の
コスト削減にあるという。
原材料価格やガソリン価格の上昇により、
ウィンデックスの製造コスト・輸送コストが上昇した。
この上昇分を既存商品へ価格転嫁することを避けるために、
水で薄める濃縮タイプが開発された。濃縮タイプは、
1.商品が小さい→表面積小さくなるので、
パッケージの原材料コストが下がる。
2.水分が少ない→水の分だけ
小さくまた軽くなるので、輸送コストが下がる。
というコストメリットを発揮する。
さらに、付随するメリットとして、
3.利用可能回数が多い→ブランドスイッチしにくくなる。
も挙げられる。これらはすべて、
製造メーカーにとってメリットである。
さらに、消費者・環境の視点から見ると、
1.商品が小さい→保管スペースを取らない。
ゴミを減らせる。
というメリットが浮上する。このように考えれば、
「消費者ニーズ・環境ニーズに合致する商品だから、
売れるだろう。」となるので、高い期待を抱いてしまう。

しかし、
2.水分が少ない→水で薄める手間がかかる。
というデメリットが大きかった。
水で薄めるという行為は、
これまでの洗剤では必要のなかった行為である。
この新たな行為をしなければならない点が、
消費者には大きな負担となり、購入に二の足を踏むことになった。

さらに、小売店での販売でも問題があった。それは、
◯詰め替え商品を棚に並べるには、
新たに販売棚のスペースを確保する必要がある。
という点である。詰め替えタイプを売るために、
スプレーが付いたレギュラータイプが棚から外されれば、
詰め替えタイプが売れなくなる。
だからといって、限られた棚スペースを
同業社と競っているので、
新たなスペースを確保することは相当難しい。
この問題のために、ウィンデックス濃縮タイプは、
ネット販売限定を余儀なくされたのであろう。
記事には書かれていないが、

棚スペースを確保できなかったと思われる。

また、詰め替えタイプは、
レギュラータイプと同じようなデザインの
スタンディングパウチであることが多いため、
棚から落ちやすい。
これは、小売店にとってメンテナンスコストとして
跳ね返ってくる。
だから、詰め替えタイプのアイテム数を増やしたくない、
というのが小売店側の本音だろう。
これも、ウィンデックス濃縮タイプには逆風となった。

さらに、ネット通販限定商品のため、
送料がかかり、消費者にとって濃縮タイプを買う価格メリットが
小さくなったのも見逃せない。
記事によると、濃縮タイプでない詰め替え用ボトル26オンスが
2.9ドル~3.5ドルなのに対し、
濃縮タイプ3袋で7.5ドル+送料かかる。
濃縮タイプはこれに、加える水代がかかる。
水を入れる手間を考えなければ、
濃縮タイプの方が安くなる。
しかし、水を加えるという
これまでしたことのない作業をする面倒くささを考えれば、
少し高くても単純詰め替えタイプを手に取ってしまうだろう。
また、濃縮タイプを買うために、
わざわざ通販サイトにアクセスするのも
面倒に思う消費者も多いだろう。
単純詰め替えタイプなら、
食料品を買出しに行った時にスーパーで買えばいい。

このように、ウィンデックス濃縮タイプが売れなかった要因は、
1.わざわざ水を加える面倒さ
2.わざわざネット通販で買わなければならない面倒さ
3.面倒な割に小さな価格メリット
になるだろう。さらに、
4.具体的な環境への良い点がわかりにくい
ということも、環境面でアピールするためには
必要になるだろう。

逆に考えれば、
1.簡単に水を加える方法を説明
2.近くのスーパーで買える
3.価格メリットについて数字を使って説明
4.環境にプラスな点について数字を使って説明
ができれば、これらのハードルを乗り越えることができる。
商品開発をする際、
「利便性の高さ」とその商品特徴を
「数字を使って具体的に説明する」ことの2点が、
重要であることがよくわかる。

ウィンデックス http://www.windex.com/

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《今回のヒントのまとめ》

1)水を加えて使うウィンデックス濃縮タイプは、
企業・消費者・環境すべてにとってメリットのある
商品のように思われる。しかし、それほど売れていない。

2)企業にとっては、原材料コスト・輸送コストの削減などで
メリットがあるが、消費者にとっては、
水を加えるという面倒な作業をしなければならないという
デメリットがある。
これまでなかった行為を行わなければならないというのは、
大きなハードルである。

3)また、ネット通販限定商品なので、
わざわざネットで買わなくてはならない。
食料品の購入時に一緒に買うことはできない。

4)さらに、通販で買う際に送料がかかることや、
水を自分で加えるなど、価格メリットもわかりにくい。
ゴミが減るのはわかるが、環境にどの程度いいのかも
わかりにくい。

5)このように、面倒さやわかりにくさが、
販売の大きなハードルになっている。
逆に、商品に「利便性の高さ」があり、
また商品特徴を「数字を使って具体的に説明」できれば、
そのハードルを乗り越え、売れる確率が高くなる。

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編集後記
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