【543号】米書店バーンズ&ノーブル、売上増に貢献した実店舗の企画とは?

バーンズ&ノーブルBy Melinda Taber

 

◎本日のニュース

1)見出し
Boutiques at Barnes & Noble
【出典】
http://goo.gl/541pI

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2)要約
全米最大手の書店バーンズ&ノーブルは、
昨秋導入したばかりのペンギン・ブックスの
本と関連グッズの売り場を、
既存店舗に広げる方針を示した。その理由は、
この売場の売上が好調だからである。

この小さな売場の特徴は、オンライン書店にはない
体験を提供できる点である。そのため、
これまで販売していたペンギン・ブックスの売上を
奪うことにはならず、売上のプラスの影響を与えている。
ペンギン・ブックスにとっても、全米最大手の店舗で
販売できるチャンスを得ることになる。

この販売手法は、従来の書籍や電子書籍を販売する
オンライン書店に対抗する措置として、採用された。
ペンギン・ブックスだけでなく、玩具・ゲームや
電子書籍端末のヌークの販売にも活用されている。
その結果、玩具・ゲームとヌークの販売は
大きく増加することになった。

ただ、ブランドごとの複数の売り場を展開する百貨店のように、
ペンギン・ブックスで成功した売り場をその他出版社に
広げる予定はない。それは、ペンギン・ブックスのような
品揃えができないからである。

◎キーセンテンスとその翻訳
3)キーとなる英文
Barnes & Noble Inc. is expanding a nascent effort
to install boutiques within its stores selling books
and other items associated with the Penguin publishing house,
the latest step by the retailer to boost store revenue
amid a shift toward e-books and sales of physical books online.

4)キーとなる英文の和訳
バーンズ&ノーブル社は、最近導入したばかりであるが、
ペンギン・ブックスの本と関連商品を販売する
売り場の店舗内設置を、広げる予定である。
この販売手法は、その書店が採用した最新の対策である。
この対策によって、電子書籍や従来の書籍を販売する
オンライン書店に対抗して、

実店舗での売上を伸ばそうとしている。

5)気になる単語・表現
nascent 形容詞 生まれようとする;発生期の;初期の
boutique 名詞 流行の婦人服・装身具などを売る小さな店
(コーナー);小規模専門店
associate 他動詞 ~を連想する;~を連合(関係)させる、
physical 形容詞 現実の、実際の;物質の、自然の;有形の

◎記事から読み取った今日のヒント
6)ビジネスのヒント
バーンズ&ノーブル社(Barns&Noble Inc.)が、
既存書店に導入したペンギン・ブックス売り場に関する記事。
この売場での売上が好調なので、導入店舗を広げようとしている。
昨年秋から導入を初め、今のところ10店舗まで導入が完了しいている。
今後25店舗追加するという。

この売場が消費者に受け入れられているのは、
単にモノを買えるだけでなく、体験できるから
である。ペンギン・ブックスの売場には、
ペンギン・ブックスが出版する書籍だけでなく、
ペンギン・ブックス関連のグッズ(トートバック、
ノート、マグカップなど)も販売している。よって、
この売場に行けば、ペンギン・ブックスが持つ世界観を体験できる。
これは、オンライン書店にはできないし、
棚や机など書店の通常売場でもできないことである。

同じ事は、電子書籍端末ヌーク売場や玩具・ゲーム売場でも成立している。
つまり、これらの売場に行けば、
ヌーク売場→ヌークを実際に使うことができ、その便利さを体感できる。
玩具・ゲーム売場→おもちゃ・ゲームを実際に使うことができ、
その面白さを体験できる。
ということができる。

つまり、バーンズ&ノーブルは、
1.商品を体験できる=ネット通販にない実店舗の持つ強み
2.モノだけでなくそのブランドの持つ世界観を表現=
総合売場にはない専用売場の強み
の2点を生かしたことになる。そして、その結果、
1.商品を体験できる→ネット通販から顧客を奪還
2.ブランドの世界観を体感できる→ブランドの既存顧客以外の
新規顧客の獲得
ということが起こり、売上増に結びついている。

この記事を読んで思い出したのが、日本の百貨店。
日本の百貨店も、バーンズ&ノーブルと同様、実店舗を持ち、
さらにブランドごとの売場を店舗内に展開している。しかし、
1.商品を体験できる→店員さんの売り込み臭を強く感じる、
そもそも買いたい商品が少ない
2.ブランドの世界観を体感できる→単にモノを陳列した売場で
独自性が小さい(ブランド路面店や他の百貨店と差別化がなされていない)
というのが実態ではないだろうか。その結果、15年間も連続して、
売上減少に陥ることになったのではないか。この二点を極めれば、
実店舗はその強みを発揮することによって、ネット通販に負けないだろう。

バーンズ&ノーブル http://www.barnesandnoble.com/
ペンギン・ブックス http://us.penguingroup.com/

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《今回のヒントのまとめ》
1)全米の書店最大手バーンズ&ノーブルが店舗内に設置した、
ペンギン・ブックスの売場は、好調な売上を記録している。
同じ事は、電子書籍端末ヌークや玩具・ゲーム売場にも当てはまる。

2)これらの店舗内売場が消費者に受けている理由は、二つある。
一つは、商品を体験できるからである。これは、
オンライン書店にはない強みである。その結果、
オンライン書店から顧客を奪還できる。

3)もう一つは、専門売場によりその世界観を体感できるからである。
オンライン書店にないだけでなく、書店の従来の売場にもない強みである。
その結果、売場が展開する商品にこれまで興味のなかった消費者を、
新たに獲得できる。

4)この結果、バーンズ&ノーブルは売上を伸ばすことができた。
今後、ペンギン・ブックス売場を既存店舗に広げる方針でいる。

5)商品を体験できること、そして専門売場により
その世界観を体験できることを極めれば、
実店舗はネット通販に負けないだろう。それが欠けているからこそ、
日本の百貨店は、15年間も売上が減少している。

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編集後記
百貨店を思い出したのは、今週の週刊ダイヤモンドで
特集記事があったから。
売上減少の底打ちはまだ先のようですが、これから
高齢者が増えることを考えると、百貨店へのニーズは
まだまだ存在する、と予測しています。
そのキーワードは、御用聞き。
信頼度の高さ、そのブランドを活用すれば、
百貨店が高齢者消費のハブになれるかもしれません。

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今日も長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。
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