サイゼリアとスーパーの共通点からわかる、サイゼリアの次の一手とは?
By TZA
先日の日経新聞の朝刊に、サイゼリヤの記事が掲載されていました。
ファミリーレストラン大手のサイゼリヤは2014年8月期から、出店数をここ数年の40~70店程度 の約2倍にあたる年100店前後に増やす。このほど50億円を投じて千葉市に最新鋭の食材加工工場を新設。食材製造や物流の効率化をテコに出店を加速し、 18年8月期にも総店舗数を現在の1・5倍の1500店にする。消費者の節約志向の強まりで外食業界は苦戦している。競合他社が出店を抑える中、拡大戦略 で生き残りをめざす。(日経新聞朝刊2013年1月26日より)
この記事を要約すると、次のようになります。
【サイゼリヤの方針】
[1] 小型店を中心に出店を加速させる
[2] 食材加工工場の自動化をさらに進める
2により、店舗への配送頻度を高くすることができるので、店舗在庫を少なくでき、1が可能となるようです。また、1には、家賃の下落も追い風とのこと。サイゼリアは、ビルの2階などもともと家賃の安い場所に出店するのを得意としていましたが、今では、
「地域によっては家賃が1~2割下落している」(堀埜一成社長)
とのこと。所謂立地のいい場所にも出店を進めるようです。
この記事を読んで思ったのは、
サイゼリヤと大手スーパーチェーン(イオンやセブン&アイグループなど)の戦略は同じではないか
ということ。この2つの共通点は、以下の通りです。
【サイゼリヤと大手スーパーチェーンの共通点】
[1] 出店の中心は小型店
[2] 製造から販売まで手がけること
1は、イオンで言えばマイバスケット、セブンで言えばセブンイレブンになるでしょう。サイゼリアも、
小型の新店を武器に、従来は難しかった都心の狭小地への出店を進める。
みたいです。なぜ、小型店に力を入れるのか。その理由は、
消費者にできるだけ近づきたいから
ではないでしょうか。その背景には、既存大型店の集客力が衰えたことがあるように思えます。簡単に言えば、消費者がわざわざ大型店まで足を運ぶのが、面倒に感じるようになったということです。そんな面倒なことをしなくても、駅前にはいっぱいお店があるし、駅にもコンビニや惣菜店(梅田のエキマルシェが好例)があります。しんどい思いしてお店に行くなら、こういう近いお店で買えばいい。それだけ消費者がズボラになったということではないでしょうか。この極めつけは、ネット通販。スマホを使うと、どこでも注文でき、後は家まで運んでくれます。これに慣れれば、お店にわざわざ行くことを、以前よりも面倒に感じるようになっても不思議ではありません。
2は言わずもがな、スーパーで言えばPBに当たります。今回の記事でも、サイゼリヤだけでなく、外食の大手企業で製造小売型に活路を見出している旨が書かれてあります。
2011年の外食の市場規模は23兆円とピークの1997年(29兆円)に比べ21%減った。縮小が止まらない市場を勝ち抜くカギは食材調達、加工、物流 まで一貫して手掛けることで、チェーン全体の運営効率を引き上げる経営ノウハウだ。「製造小売り」と呼ばれる手法で、ユニクロ、ニトリなどが成長の原動力 としてきた。
その最先端を走るのが、サイゼリヤ。そのサイゼリアは、製造小売型をさらに推し進めて、効率化・高品質化を進めるようです。
このように、サイゼリヤとスーパーの戦略が似ているのですが、ならば、サイゼリアの次の手が何となく予想できます。それは、
持ち帰り強化・宅配への進出
ではないでしょうか。スーパーで言えば、ネットスーパーですね。持ち帰り・宅配の売上がある程度見込めれば、店舗をより小型化できます。もっと言えば、持ち帰り専門店だって考えられるのです。そもそも、セントラルキッチンでの加工度の高いサイゼリヤだから、持ち帰り・宅配との親和性は高いかと思います。宅配ピザもうかうかしていられないですね。
☆ 今日のまとめ☆
サイゼリヤとスーパーの戦略は似ている。
というのは、小型店に力を注ぐと共に、製造小売型を志向しているからである。
ならば、ネットスーパーに力を入れるスーパーのように、サイゼリヤも持ち帰り・宅配に進出するのではないか。
マーケティング・ビジネスのヒントに関するブログも書いています
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
サイゼリヤは、人海戦術が取られやすい飲食業界において、科学的な手法を用いて差別化しています。
この目の付け所は、すごいと思いますね。
とはいいつつ、近くにお店がありながら、ここ数年本当にサイゼリヤで食べてないですね。
嫌いではないのですが・・・
今回気づきましたが、サイゼリヤは「ヤ」なんですね。
これまで「ア」と表記していたかと思います。
失礼いたしました。(この記事は修正済み)
☆サムシンググッド創業者 坂本桂一さんの言葉☆
「しかしながら、売りたいから売る、売れるなら売るべきだという姿勢は、ビジネスの世界においては必ずしも合理的ではないのである。まず必要なのは目指すべきゴールを設定すること、次が、どのようなゴールに到達すればいいかの仮説だ。その仮説のことを戦略という。ビジネスの成否は、ひとえにこの戦略が正しいかどうかにかかっているといっても過言ではない。」
(『頭の良い人が儲からない理由』より)
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