日経サーベイ・スーパー売場から推測した、外食需要を奪った商品とは?

冷凍食品売場

 By merfam

今日(2/25)の日経新聞朝刊に、外食に関するアンケート結果が掲載されていました。これはサーベイという欄で、毎週月曜日に掲載されています。アンケートは消費者の心理がわかるものなので、毎週楽しみにしているコーナーです。

 

調査では1年前に比べた外食の回数を聞いてみた。「減った」+「どちらかといえば減った」との回答が42%を占め、「増えた」+「どちらかといえば増えた」の23%を大きく引き離した。年齢別では子どもの教育費などで支出がかさむ40代と50代で「減らした派」が目立つ。(2013年2月25日付 日経新聞朝刊)

 

まとめると次のようになります。

 

【日経サーベイの外食関連アンケート結果まとめ】

[1]      外食減らした人42%、増やした人23%

[2]      減らした店舗=ファミレス22%、ファストフード店19%、中高級レストラン13%

[3]      減らした理由=収入減43%、安さを感じなくなった17%

[4]      増やした食事=自宅での食事58%

 

インターネットによる調査なので、比較的支出に賢い層(=コスパ重視層)が多いと思います。減らした店舗の第一位はファミレス。これは意外でした。というのも、居酒屋だと思っていたからです。仕事帰りに同僚と飲みに行く機会が減り、自宅でひっそり飲む人が増えていると認識しています。ファミレスが1位ということは、回答者に主婦が多いということでしょうか。

 

興味深いのは、減らした理由の「安さを感じなくなった」というもの。安さとは相対的なものなので、別のより安く感じられる商品が登場したことになります。その候補として、以下のものが考えられます。

 

【外食よりも安く感じられる商品】

[1]      スーパーに売っている食材・加工食品

[2]      コンビニに売っているチルド惣菜・PB商品

 

多くのチェーンスーパーでは、昨年秋ごろから大幅値下げが行われました。これにより、外食よりもスーパーの商品の割安感が増したことが、外食利用の減少につながったのではないでしょうか。また、コンビニが販売に力を入れているチルド惣菜やPB商品を買えば、夜ご飯が500円でお釣りが出ます。特に、割安感が売りのファストフードが、スーパー・コンビニに食われているように感じます。

 

こんなことを思ったのは、先週ダイエーでとある光景を見たからです。それは、

 

大学生と思われる20代男性が冷凍パスタをまとめ買いをしていた

 

というもの。大学生と言えば、可処分所得は少ない方。よって、節約志向も高いかと思います。そんな彼が、200円ほどの冷凍パスタを、特に迷うこともなく即座に2個かごに入れていました。冷静に考えれば、パスタは100円以下で作ることができるメニュー。乾麺のパスタは、ディチェコを買っても1人前40円(100円)程度。後は、冷蔵庫の残り物を一緒に炒めれば、出来上がります。そんな割安メニューのパスタを、お金が無さそうな大学生が、割高な冷凍品を買っていたのです。

 

恐らく、彼の中では、

 

ファストフードで食べるよりも安い

 

という比較が行われたのでしょう。その結果、ファストフードよりも冷凍パスタの方が安く感じられるので、ファストフードを利用するのではなく、冷凍パスタを買ったことになります。この後、同じような比較が行われるのではないかと思い、別のスーパーで冷凍食品コーナーを観察していると、特に迷うことなく冷凍パスタをカゴに入れる20代後半女性を見かけました。

 

冷凍食品を販売する日清フーズの親会社・日清製粉グループ本社のIR資料を見てみました。第二四半期決算資料では、

 

重点的に拡販を図っている冷凍食品及び中食・惣菜は前年を大幅に上回る出荷を達成

 

と明記されています。さらに、日経新聞において「冷凍食品」に関する記事を探すと、次のようなものがありました。

 

冷食PB、イオン4割増、内食向け拡充、需要取り込む、セブン&アイ、5割増収狙う。

大手小売りがプライベートブランド(PB=自主企画)の冷凍食品の販売を強化する。イオンはご飯とおかずを組み合わせるなどした夕食向けの商品を今年度中に4割増やす。セブン&アイ・ホールディングスは今年度のPB冷食の売上高を前年度に比べ5割伸ばす。各社は高まる消費者の内食志向にいち早く対応。手ごろな価格を打ち出しながら利幅も確保できるPBの商品展開を急ぎ、収益を拡大する。(2012年10月6日付 日経新聞朝刊)

思えば、イオンは、トップバリュの冷凍パスタのCMを、テレビで放映しています。基本的に販促費を掛けないPB商品に、コストの掛かるCMを適応するのは、商品を知ってもらえれば買ってもらえると判断したからでしょう。それだけ、冷凍食品の市場は拡大しているのかもしれません。

 

これらのことから判断すると、冷凍食品が外食需要を奪っているのではないでしょうか。

 

☆     今日のまとめ☆

外食を減らした理由の第二位の「安さを感じなくなったから」は、他でより安く感じる商品が登場したことを物語る。

スーパーでの売場やPBの商品開発から推測すれば、冷凍食品の方が安く感じるので、外食を減らしたのではないか。

 

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☆     今日のこぼれ話☆

冷凍パスタ、実は食べたことがありません。

「パスタ=簡単な料理」という認識があり、冷凍品よりも自分で調理した方が安くて美味しいと思うからです。

冷凍パスタをよく食べる人がおられましたら、美味しい商品を教えてくれませんか?

今度チャレンジしたいと思います。

 

☆経営コンサルタント 石原明さんの言葉☆

「オープンマーケットに対する集客には2つのパターンがあります。それは、市場性と、「何を売るか」によってわかれるのです。具体的には、マーケットの中にお客さんの何%かに売ればいいという商品の場合と、あてはまるお客さんは少ないからその人たち全員に売りたい商品の場合によって異なるのです。」

『気絶するほど儲かる絶対法則 売れるしかけと勝てるしくみの作り方』より)

※ポッドキャストでいつもお世話になっています。この番組は本当に勉強になります。

※創業者・経営者・コンサルタントの心に残る言葉、元気になる言葉を紹介しています。

 

 

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