サントリーが新商品・グランドライ(GRAN DRY)の告知に折込チラシを使った理由とは?

サントリー・グランドライのチラシ

 

先日、新聞折込チラシをチェックしていると、意外なチラシがありました。それは、サントリーのチラシです。このチラシの裏表にはそれぞれ1商品ずつ掲載され、いずれも新商品。サントリーは新商品の認知度を上げるために、折込チラシを利用したのです。

 

食品(飲料含む)・日常品メーカーが、折込チラシを発行するのは珍しいこと。記憶にあるのは、キューピーぐらい。キューピーは、ドレッシングやプレゼント企画で新聞折込チラシをよく利用します。通常、値下げをすることで、店頭に目立つ場所に陳列してもらい、商品の認知度・売上げアップを図るのが常套手段。その中で、新聞折込チラシを利用するキューピーは、かなり特殊な例に当たります。恐らく、値下げすることにより、ブランド価値が毀損されることを避けたいからでしょう。また、一時的な値下げにより、恒常的な利益率悪化を避けたいという理由もあるでしょう。同じ事は、今回のサントリーにも言えるかもしれません。

 

【サントリーが新商品の告知に折込チラシを利用した理由】

値下げによるブランド価値の毀損を避けるため

恒常的な利益率悪化を避けるため

 

サントリーのチラシに掲載されているのは、第三のビールのグランドライ(GRAN DRY)チューハイのストロングゼロドライ(STRONG ZERO DRY)。いずれも刺激の強さをその特徴に持ちます。暑い夏に向けての新商品であることは、間違いありません。ただ、ビール系飲料やチューハイが売れる時期だからこそ、各社こぞって販促を打つことは間違いありません。つまり、値段が下がりやすくなるのです。値段を下げれば売上を伸ばすことはできますが、利益率は悪化します。さらに、安物というイメージを消費者に抱かれる恐れもあります。サントリーは、この利益率悪化・ブランド価値毀損を避けるために、新聞折込チラシという変化球を使ったのかもしれません。

 

ストロングゼロドライのチラシ

 

そこで、ネット通販でのグランドライの価格を、サントリーの第三のビール・金麦と比較してみました。

 

【サントリー・グランドライと金麦の実売価格(350ml缶)】

カクヤス

グランドライ→1缶109円 1ケース2590円

金麦→1缶114円 1ケース2598円

楽天百姓屋

グランドライ→1缶108円 1ケース2592円

金麦→1缶108円 1ケース2592円

 

これらの事例から、グランドライの小売店納価は、恐らく金麦と同じだと思われます。よって、値下げによる利益率悪化やブランド価値毀損を、特に避けようという気はないようです。新聞折込チラシを利用したのは、他に理由がありそうです。

 

そこで、グランドライのターゲットを考えてみました。

 

【サントリー・グランドライのターゲット層(予測)】

30代以上

男性

グローバルに仕事をする会社員またはそういう仕事に憧れる人

 

30代以上としたのは、CMに渡辺謙さんを起用しているからです。30代以上なら、ラストサムライや独眼竜政宗など実力派俳優のイメージが強いはず。よって、渡辺謙が推すことで、グランドライの高品質・美味しさをアピールすることができます。

 

男性としたのも、渡辺謙さんから。あくまで予測ですが、女性よりも男性に人気のある俳優だからです。

 

グローバルに仕事をする会社員を想定したのは、CMから。CMでは英語が使われており、「国際派俳優の渡辺謙」が猛烈にアピールされています。そして、成功した彼の姿を強調することで、同じく世界相手に仕事をする人の心に届きやすくなります。

 

このようなターゲット層なら、新聞(特に日経新聞)を毎日読んでいても不思議ではないはず。だからこそ、新聞折込チラシという手法が用いられたのではないでしょうか。Twitterでのツイートによると、サークルKサンクスで無料引き換えクーポンを配布(抽選)しているようです。会社帰りにコンビニを利用する男性会社員を想定していることは、間違いありません。また、30代以上で世界相手に仕事をしていれば、多忙な日々を過ごしているはず。お金よりも時間の価値が高い傾向にあります。そのような層をターゲットにすることで、無用な値下げを避ける意向があるのかもしれません。

 

新聞折込チラシは、新聞購読者の減少に伴い、その効果が下がっているように思われがちです。しかし、あまり熱心に新聞を読まない層が去ったことで、逆に折込チラシの広告効果が上がる可能性があります。サントリーは、そこに賭けたのではないでしょうか。

 

☆    今日のまとめ☆

サントリーが新商品のグランドライの告知に新聞折込チラシを利用したのは、ターゲット層にリーチしやすいと考えたからではないか。

熱心に新聞を読む層だけが購読を続けていると考えれば、昔よりも折込チラシの効果は上がるかもしれない。

 

アメリカビジネスの最新事情メルマガはこちら

ワインを知れば、おもしろい

マーケティング・ビジネスのヒントに関するブログも書いています

WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません

日々気づいた雑感はTwitterで発信中

すいません、Facebookはほぼ引退しました

年5%で資産運用する方法はこちら

 

☆    今日のこぼれ話☆

26日発売なので、スーパーでも並んでいるかと思います。

先日セブン-イレブンで見たのですが、もしコンビニだけの先行発売なら、サントリーがターゲット層を強く意識しているのは間違いありません。

飲んだ人の感想を見ると、スーパードライに似ているようです。

 

☆経営コンサルタント 石原明さんの言葉☆

「自分で確かめもしないでイメージの中に勝手に天井を作ったり、枠をつくったりしてはいけないのです。自分の中のいろいろな枠をはずしてください。「うちの業界はそいういうものなんだ」ではダメ。」

『気絶するほど儲かる絶対法則 売れるしかけと勝てるしくみの作り方』より)

※ポッドキャストでいつもお世話になっています。この番組は本当に勉強になります。

※創業者・経営者・コンサルタントの心に残る言葉、元気になる言葉を紹介しています。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です