マクドナルド4月既存店売上が示す深刻な販売不振とその要因

海外のマクドナルド看板

 By blondinrikard

日本マクドナルドの4月実績が発表されました。数字だけを見ると、次のようになります。

 

【マクドナルドの2013年4月既存店実績】

[2013年4月]売上3.7%減少、客数2.7%増加、客単価6.2%減少

[2013年3月]売上3.5%減少、客数5.8%増加、客単価8.9%減少

 

参考のために、3月の実績を掲載しましたが、3月と比較する限り、さほど変化がなかったように思えます。しかし、実態は全く異なるのです。比較対象の2012年実績を見ると、4月実績の深刻さがわかるかと思います。

 

【マクドナルドの2012年3月・4月既存店実績】

[2012年4月]売上3.5%減少、客数6.4%減少、客単価3.0%増加

[2012年3月]売上6.0%増加、客数6.7%増加、客単価0.7%減少

 

2013年3月は、2012年の既存店売上が好調なことの反動として、既存店売上高が減少しました。一方、2013年4月は、前年4月の既存店売上もマイナスで、二年連続のマイナスなのです。つまり、実数としての既存店売上金額が、縮小していることになります。

 

5月2日の決算発表では、執行役員が次のように述べていました。

 

 13年12月期は純利益で前期比10%増の141億円とする従来予想を変えなかった。「4~6月期以降は既存店売上高がプラスに転じる」(今村朗執行役員)と見込む。(2013年5月3日付 日経新聞朝刊)

 

つまり、今年4月の既存店売上はプラスに転じると予測していたのです。しかし、実態はマイナス。この数字を見て、マクドナルド幹部は背筋が凍りついたことでしょう。

 

では、なぜ4月の既存店売上が予想に反して振るわなかったのか。その理由を考えてみました。

 

【マクドナルド2013年4月既存店売上が予想に反して減少した理由】

[1]      高単価商品(てりたまセットなど)が売れなかったから→客単価の下落

[2]      「マックは高い」という印象根付いてしまったから→客数増加は小幅

[3]      広告費削減により優良顧客の来店動機が減ったから→客数増加は小幅・客単価の下落

 

1について、客単価の下落からわかるのは、高単価商品が売れなかったこと。4月には、春恒例の期間限定商品「てりたま」「チーズてりたま」を導入しました。セット価格は600円台。てりたまのセットが売れることで客単価は上昇する、とマクドナルド側は期待したのでしょう。しかし、これに反して、客単価は下落。おそらく、てりたまセットはさほど売れなかったように思えます。一方で、100円マックや120円商品の売上が伸びたことにより、客単価が下落に転じたのだと思います。

 

2について、4/18にバリューピックス導入を発表しています。その実態は、売れ筋(?)商品であるハンバーガーとチーズバーガーの値上げ。この発表により、「マックは高い」という印象が、消費者の中で深く刻み込まれたのではないでしょうか。これが、客離れを導き、思ったほど客数が伸びない結果になったのだと思います。

 

最後に3について。これは、決算発表でも述べられています。

 

同社は昨年後半から新商品投入や値下げなどを抑制。「ビッグマック」など定番商品を中心に利益を稼ぐ方針に転換した。
このため広告宣伝費は減ったが、円安で牛肉などの輸入コストが上昇。経常利益は55%減の33億円だった。(同日付 日経新聞朝刊)

 

広告宣伝費の削減は、テレビCMが減ったことで実感しています。昔は、新商品が発売されれば、テレビCMが放映されたもの。このCMがマックに足を運ぶきっかけになったのではないでしょうか。一方、今では新商品の発売を抑制し、それに伴いテレビCMも大きく削減したのだと思います。これまでなら、テレビCMを見ることで、「マックにでも行こうか」と思っていた元顧客が、テレビCMを目にしないことにより、マックの存在を忘れがちになっても不思議ではありません。また、新商品のCMを見てマックに行っていた人なら、比較的単価の高い新商品を注文していたはず。この優良顧客を失うことは、客数減少のみならず、客単価の下落にもつながります。

 

もともと低価格で販売していたマクドナルドだけに、アベノミクスの資産効果も期待できません。このまま今の戦略を続けている限り、2013年5月既存店売上も好転どころか減少を継続するように思えます。

 

☆今日のまとめ☆

マクドナルドの4月既存店売上は、前月の既存店売上と大差ないように見えるが、その実態は異なる。

前年3月は好調だった一方で、前年4月は既存店売上がマイナスに転じているので、二年連続のマイナスとなり、これは深刻な結果と言える。

このようになった理由は、高単価商品の販売不振や「マックは高い」という印象の定着、それに、宣伝広告を見て来店していた優良顧客の来店動機が減ったからではないか。

 

 

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☆    今日のこぼれ話☆

マクドナルドの新商品「バーベキュービーフ」「バーベキューチキン」はとても気になっていたので、食べたいと思ったのですが、5/6までの期間限定商品のようです。

4/26からなので、あまりにも短い。

GWに旅行に行く人が多いことを考えると、この販売期間の短さも機会損失のように思えますね。

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