【推測】マクドナルドのクォーターパウンダーBLTが500円超の価格に設定された理由とは?

思わず食べたくなったクォーターパウンダーtoyohara

マクドナルドの高級バーガーが、マスコミ各社で大きく報じられています。

日本マクドナルドホールディングスは17日、これまでで最も価格設定が高いハンバーガー「クォーター パウンダー BLT」=写真(右)=を24日に売り出すと発表した。価格は地域によって異なるが520~570円。大きなハンバーグパティに野菜やベーコ ン3枚を加えた。景気回復の期待を追い風に外食チェーンでは価格が高めの商品を売り出す動きが広がっている。(2013年6月18日付 日経新聞朝刊)

4月に値上げを表明したことを考えれば、マクドナルドが低価格路線からの脱却を目指しているのは自明です。つまりマクドナルドは、客単価の向上を目的として、高級バーガーを導入したというわけです。

売上を伸ばす方法として、客単価を高める方法と客数を増やす方法があります。では、なぜマクドナルドは客単価を高める方法を採ったのか?なぜ客数を増やす方法を採らなかったのか?この疑問を解決するために、マクドナルドの既存店売上高と客数・客単価を調べてみました。

【マクドナルドの既存店売上高・客数・客単価】

[既存店売上高]5月のみプラス

[客数]6・7・8・9・10・3・4月がプラス

[客単価]5月のみプラス

※     2012年6月~2013年5月の1年間を調査

※     月次セールスレポートより

既存店売上高と客数・客単価を見ると、既存店売上高と客単価が同じ動きをしていることがわかるかと思います。一方、客数が前年同期比でプラスになった月はすべて、既存店売上高は同期比でマイナスになっています。これらの結果を踏まえて、マクドナルドは、

売上を伸ばすには、客数ではなく客単価を引き上げる必要がある

という結論に達したのではないでしょうか。つまり、高級バーガーの導入は、客単価引き上げにより売上を伸ばす苦肉の策とも言えるわけです。

マクドナルドの現在の顧客は、4月の値上げでも利用を止めなかったロイヤリティの高い顧客になります。100円マックが依然存在するにもかかわらず、5月の客単価が上がったということは、これまで100円マック目当てに来店していた顧客が離れてしまったことを示します。そして、マクドナルドから遠ざかった元顧客を低価格商品で再び獲得しても、既存店売上高が増えないことは、この1年で証明されました。だからこそ、既存店売上高を伸ばすためには、客単価を向上させるしか方法がなかったのです。

では、なぜ500円を超える価格に設定したのか?恐らく、5月の既存店売上高が0.5%しかプラスにならなかったことが影響しているのではないでしょうか。プラスにはなったものの、たった0.5%しかプラスにならなかったのは、4月価格改定による値上げ率が0.3%だったからでしょう。

一方、値上げ率が0.3%にもかかわらず、5月の客単価は3.7%も上昇しています。これは、従来低単価メニューを注文していた顧客が離れ、一方で残った顧客は値上げを受け入れたということを表します。CEOの原田さんは、値上げ率をもう少し高めれば、既存店売上高の増加率は一桁台になったのでは、と考えたのかもしれません。だからこそ、5月の日経MJの取材では、夏のプレミアムバーガーの価格を400円台と答えていたのにもかかわらず、500円超の価格に設定したのでしょう。

 「夏にはプレミアムハンバーガーを出す。なぜ今から言うかというと、低価格にばかり力を入れていると言われるからね。400円台というイメージで、今までのブランドの発展形だ」(2013年5月1日付 日経MJ)

もちろん、既存店売上高の増加を目指した高額プレミアムバーガーの導入ですが、これがうまくいくとは限りません。マクドナルド=割安ファストフードというイメージが強いだけに、500円出すならモスバーガーに行くという人も多いでしょう。しかし、ここまでマスコミで取り上げられれば、話題の500円バーガーを一度食べてみたいと思う人も多いはず。この人達がマクドナルドに押し寄せれば、客単価のみならず客数まで増加することになるので、マクドナルドを復活させた原田マジックが息を吹き返すかもしれません。個人的にも興味のある商品です。

☆今日のまとめ☆

マクドナルドが高単価の新商品・クォーターパウンダーBLTを導入したのは、既存店売上高をプラスにするには客単価の向上しかないと判断したからだろう。

さらに、500円超という高額に価格を設定したのは、5月の既存店売上高が辛うじてプラスになったことから、大幅に値上げしないと増加率が一桁台に達しないと判断したからかもしれない。

 

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☆    今日のこぼれ話☆

500円という価格は、平日のランチで基準になる価格。

ならば、単品で500円超というのは、とても思い切った値付けになります。

平日昼間限定で、ポテトなしのドリンクセットで500円というのもあるかもしれません。

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