ケンタッキーフライドチキン(KFC)が新業態・ROUTE(ルート)25を出店した理由とは?
先日の日経MJに、ケンタッキーフライドチキン(KFC)の新型店舗・ROUTE25が取り上げられていました。
日本ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)の新業態店「ROUTE(ルート)25」が好調だ。若者の街、東京・下北沢に開業して約1年。夜間にアル コール類を提供し、新しい客層の掘り起こしに成功している。売り上げは想定を2割ほど上回っており、多店舗化も視野に入ってきた。(2013年6月24日付 日経MJ)
KFCが、プロントのようなアルコールを提供する店舗を東京でオープンしたようです。このROUTE25(ルート)25という名前のお店ですが、この店舗が流行っているようです。下北沢という学生街に出店し、学生をターゲットにしたにもかかわらず、蓋を開けてみれば、会社帰りのサラリーマン(特に1人)利用が多いとのこと。アルコールを提供するお店で、サラリーマンが利用するとなれば、競合は居酒屋や立ち飲み屋になります。
そこで、KFCが、アルコール提供の新業態を開発した理由を考えてみました。そのヒントは、既存店売上高にあります。日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社のIR資料を見たところ、月次の既存店売上高は以下のような結果になっていました。
【KFCの月次既存店売上高】
[既存店売上高]6月・9月のみ前年同月比プラス
[客数]6月・8月・9月のみ前年同月比プラス
[客単価]6月・9月・10月・5月のみ前年同月比プラス
※ 2012年6月~2013年5月の月次実績
要は、売れ行きがあまり芳しくないようです。12ヶ月のうち10ヶ月間で既存店売上高がマイナスということは、かなり苦しんでいると言っても過言でないでしょう。その主な要因は、客数の減少。つまり、顧客離れが起きているということです。客単価も前年割れの月が多いものの、客数よりもマシな数字になっています。
KFCの客数が減少しているのは、競争激化というのもありますが、それ以上にKFCの
主要ターゲット自体の減少
があるのではないでしょうか。KFCの主要ターゲットと言えば、若者。特に、20代~30代がその中心。20代~30代の人口自体が減少していれば、KFCがこれまでと同じメニュー・サービスを提供していても、客数は減ってしまうわけです。
ターゲット層自体が減少している中で、客数を増やすには、来店頻度を引き上げるしかありません。しかし、KFCを利用するのは、主にランチとディナーで、これ以上来店機会を増やすのには限度があります。朝食メニューを拡充することもできますが、朝食市場は他ファストフードやコンビニが狙う激戦区。ならば、これまで放置していた飲む機会を掘り起こせばいい。だからこそ、アルコールを出すルート25を開発したのではないでしょうか。
ファストフードの利用目的=食べること≠飲むこと
となるので、ルート25を出店しても、KFCとカニバリすることはありません。
このように、日本ケンタッキー・フライド・チキンがルート25を開発・出店したのは、KFCの客数が頭打ちになったからだと、推測します。客単価もさほど高くなく、ちょっと飲めるお店はそれほど多くありません。この「ちょい飲み業態」への参入は、増えるのではないでしょうか。
☆今日のまとめ☆
KFCがルート25を開発・出店したのは、KFCの客数減に歯止めがかからなくなったから。
主要ターゲット層自体の縮小に直面している。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
梅田のプロントは、本当に流行っています。
ちょっと飲みたい時には便利です。