アベノミクスなんて全く関係なかったKFCジャパン、その理由とは?

海外のKFC店舗

by courtesy of Ramesh NG

 

日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社(KFCジャパン)の第二四半期決算が発表されたのですが、その結果に驚きました。営業利益が半減したからです。

 

日本ケンタッキー・フライド・チキンの2013年4~9月期の連結営業利益は4億円弱と前年同期から5割以上減ったようだ。フライドチキンの店頭販売に力を入れるコンビニエンスストアなどとの競争が厳しく、客数の減少が続いた。人材難によるアルバイトなど人件費の増加も響いた。(2013年11月2日付  日経新聞朝刊)

 

その理由は、売上の大半を占めるKFCチェーンの既存店売上高が悪化したから他なりません。ただ、KFCの売上減少は、今に始まったことではありません。2009年あたりから一店舗あたりの売上金額は、減少しているのです。そこで、第二四半期(Q2)累積売上高を、2008年12月~2009年5月の41期から2013年3月~9月の45期までを比較しました。わかりやすくするため、41期の売上金額を100として、指数化しています。

 

 

上記グラフを見ればわかりますが、ここ5年間で、KFC一店舗あたりの売上高は、2割近く減少しています。この間、店舗数は約5%増加。店舗数を増やしても、平均売上高は減少を続けたということは、それだけ既存店売上高が大きく減少したことになります。

 

実際、2013年4月~10月までの既存店売上高は、すべてマイナス。昨年の10月から12ヶ月連続でマイナスです。つまり、KFCは、アベノミクスの影響を全く受けていないということになります。

 

売上金額を客数と客単価に因数分解して、既存店売上高の要因を調べると、驚くべきことがわかりました。それは、

 

客数のみならず、客単価もマイナスが続いている

 

ということです。最近、多くの外食チェーンで見られる共通の現象は、客数の減少を客単価の向上で賄いきれず、既存店売上高がマイナスということです。KFCにはこれが当てはまらずに、客単価もマイナスに転じており、客数の減少と合わせて、既存店売上高が大幅に減少するという結果になっています。

 

客数のみならず、客単価も下落するということは、大きな値下げをしなれば、購入点数が減少しているからに他なりません。そこでピンと来たのが、持ち帰り客の減少。KFCがマクドナルドなど他のファストフードチェーンと大きく違うのは、お土産やパーティー料理として、フライドチキンなどを持ち帰る来店客が多いということです。持ち帰り客は、家族や友人の分まで購入するために、客単価はイートイン客よりも高くなります。この持ち帰り客が減少すれば、客数のみならず客単価も下落するのです。

 

日経新聞にもあるように、持ち帰り客が減少したのは、コンビニやスーパーに顧客が奪われたからでしょう。コンビニやスーパーの方が、

 

割安さ

種類の多さ(フライドチキン以外の商品も販売)

セルフ・サービスによる気軽さ

近さ(特にコンビニ)

 

が優っているからです。

 

優良顧客である持ち帰り客をコンビニやスーパーに奪われた結果、KFCジャパンは既存店売上高の減少トレンドから抜け出せなくなったのです。そのために、売上が損益分岐点を下回り、不振店舗が増加。その結果、営業利益が半減したのでしょう。

 

☆今日のまとめ☆

KFCジャパンの第二四半期決算で、営業利益が半減したのは、優良顧客である持ち帰り客をコンビニやスーパーに奪われたからではないか。

その結果、客数のみならず客単価も下落し、既存店売上高はマイナスが続いている。

 

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☆  今日のこぼれ話☆

月次実績を見ると、7月をボトムに既存店売上高のマイナス率は縮小しています。

9月の30%オフセールで、顧客が戻ってきているのかもしれませんね。

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