【備忘録】日経POS情報セミナー、ひきわり納豆が売れた本当の理由
by courtesy of Shinya ICHINOHE
ひきわり納豆が売れていることに気づいたのは、納豆売場でひきわり納豆だけが少なくなっていたからです。そして調べてみると、思った通り、マスコミでひきわり納豆が取り上げられたことが、ひきわり納豆の売上急上昇につながったのでした。
【ひきわり納豆が急激に売上を伸ばした理由】
[1]「みんなの家庭の医学」で取り上げられたから。骨粗しょう症の予防や改善に効果があるとされるビタミンKを多く含む。
[2]「主治医が見つかる診療所」で取り上げられたから。納豆に含まれる納豆菌は腸内の善玉菌を増やす。粒の大豆よりひきわり大豆の方が表面積が広いため、増殖する納豆菌も多いといわれる。
つまり、健康にいいとマスコミで報じられたから、ひきわり納豆の売上が急激に伸びたわけですが。その背景には、人口の高齢化があるのです。骨粗しょう症に掛かると、老後寝たきりになる危険があるので、掛かった本人の生活は大変なことになります。そして、その影響は、その子供にまで及ぶので、子供も親の骨粗しょう症リスクを考えるようになるのです。
【骨粗しょう症に敏感になる理由】
日本人の幅広い層が我が身の問題として感じるテーマで、身近で切実な不安だから。
ならば、骨粗しょう症予防につながる商品は、今後売れる可能性が高いということになります。しかし、実際、そのような商品は価格が高いことが多く、なかなか手が出ません。このハードルをクリアしたのが、ひきわり納豆なのです。
【骨粗しょう症予防でひきわり納豆が売れた理由】
安価で手軽な食材だから
価格が低いだけでなく、大抵のスーパーで販売されているので、手に入れやすいのです。つまり、プラス・チャネルの面でアクセスしやすいために、骨粗しょう症予防商品として、ひきわり納豆が売れたことになります。
ただ、納豆という商品自体のハードルがここで浮上します。そのハードルとは、その匂いのキツさであり、粘っこさ。つまり、食べにくいのです。納豆は、健康には良いと、これまでにも取り上げられてきました。健康にいいから納豆を食べる、という人もいるほどです。しかし、それでも納豆はその食べにくさが大きなハードルとなり、なかなか顧客層が広がりませんでした。だから、骨粗しょう症予防に効くと言っても、従来同様に納豆ユーザー以外に広がらない可能性はあるのです。では、なぜひきわり納豆の売上が急激に伸びたのか。その理由は、その商品力の向上にあります。
【骨粗しょう症予防でひきわり納豆が売れた理由】
商品改良が進み、においの軽減など食べやすくなったため
商品改良により、食べにくいというハードルをクリアしたからこそ、納豆ユーザー以外にも購入層が広がり、ひきわり納豆はヒットしたのです。この商品改良こそが、マスコミが付けた炎を、大きな火に発展させたのではないでしょうか。
ひきわり納豆が急激に売上を伸ばしたのは、単にマスコミが火を付けただけでなく、安価ですぐに手に入れられるというアクセスのしやすさ、食べにくいという課題を解決した商品改良の賜物なのです。
☆今日のまとめ☆
ひきわり納豆の売上が急増したのは、マスコミが報じたからだけではない。
価格・購入面でのアクセスのしやすさ、商品改良により改善された食べやすさが、その本当の理由ではないか。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
通常の納豆が100円を切る価格競争に巻き込まれている中、ひきわり納豆は、少々高くても売れています。
価格競争から抜け出すヒントを学べるかもしれません。