【推測】八天堂のクリームパンが閉店前に売り切れる理由
6月下旬頃、JR三ノ宮駅にあるエキマルスイーツに、クリームパンの八天堂が出店していました。エキマルスイーツとは、期間限定のスイーツショップ。2週間ほどで出店者が変わる仕組みで、デパ地下で最近よく見られる販売手法。「限定」という言葉に誘われ、ついつい買ってしまうという人間の心理で売上を伸ばそうというものです。また、主催者(この場合はJR)にとっては、テナントの失敗リスクを最小限に抑えられ、出店者にとっては、低コストで好立地での販売ができるというメリットがあります。
で、6月下旬は八天堂が出店したのですが、その売上が凄まじいようでした。通常、閉店前には、売上を最後まで獲得しようと値引き販売などラストスパートを掛けるものですが、八天堂には既に在庫は無し。店員は閉店準備に掛かっています。3度ほど閉店時間に八天堂の前を通りましたが、いずれの日も営業は終了していました。一方、隣の金時芋のスイーツを販売する店舗は、ラストスパートを掛けています。対照的に、こちらはかなりの在庫がショーケースに残っていました。
閉店前に売り切れる八天堂となかなか売れないその他スイーツ。その違いを、考えてみました。
【八天堂のクリームパンが閉店前に売り切れる理由】
[商品1]「クリームパン」という知名度抜群のシンプルなスイーツだから
[商品2]クリームパンの明確な競合ブランドがないから
[商品3]冷たくして食べられ、夏に合うから
[価格]200円前後というスイーツしては割安な価格設定だから
[客層]熱烈なファンがいるから
商品1について、これは金時芋を使ったスイーツを比較すれば、わかりやすいと思います。「クリームパン」と聞いて、その明確なイメージが湧く人がほとんどでしょう。一方、金時芋を使ったスイーツと聞いても、あまりピンときません。このシンプルさが、ターゲット層を広げ、通行客の多い駅にピッタリなのではないでしょうか。
商品2について、クリームパンで有名な八天堂ですが、他のクリームパンブランドは頭に浮かびません。あるとしても、八天堂ほど有名ではないはずでしょう。だから、「クリームパンなら八天堂」となり、購入確率を引き上げるのではないでしょうか。その結果、閉店前に完売するのです。
商品3について、駅前にあるスイーツショップの中で、冷たい商品を扱うお店は意外にありません。JR三ノ宮駅の常設スイーツショップでも、人気のワッフルやシュークリームは冷たいというイメージはないもの。一方の八天堂は、冷やして食べるクリームパンで売っているため、夏にはぴったりなのです。販売時期もよかったのではないでしょうか。
価格について、駅前のスイーツショップをいろいろ観察すると、集客に成功している店舗の共通点が何となくわかってきます。その共通点とは、単価が低いということです。例えば、ベルギーワッフルのマネケンのワッフルは、150円程から。単価が低いゆえに、手軽な手土産にぴったりとなり、多くの来店客で賑わうのです。八天堂のクリームパンは、一個210円。200円を超えますが、ワッフルやエクレアなどお手軽スイーツよりもボリュームがあるので、決して割高感はありません。この手頃な価格設定が、買い易さにつながっているのではないでしょうか。
最後の客層について。八天堂のホームページを見ると、その素朴さと実直さを感じます。このブランドイメージは、華やかなスイーツ業界の中では珍しい。よって、熱烈なファンが生まれやすくなっています。可能性は低そうですが、期間限定ショップなので、少数の熱烈なファンが我先にと買っているとも考えられます。
特に、「割安な単価」と「シンプルな商品」は、八天堂の強みであり、駅前スイーツの売れる要素と言えるのではないでしょうか。
☆今日のまとめ☆
八天堂の期間限定ショップで閉店前に完売したのは、「知名度抜群のシンプルな商品」「明確な競合が不在」「冷たく夏にぴったり」「割安な単価」「熱烈なファンの生まれ易さ」が要因なのではないか。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
地下鉄御堂筋線梅田駅に出来たエキモにも、八天堂があります。
こちらは百貨店に挟まれているということもあり、そう混んでいるというイメージはありません。