アベノミクス中の食品値上げ時こそ、客単価上昇の好機ではないか?
スーパーの裏側では、食品メーカーによる値上げ交渉が進められているようです。
マヨネーズ、パン、ハム……。多くの食品メーカーが出荷価格を引き上げると表明した7月を迎えた。来春の消費増税を控え、円安と原材料高によるコスト高を 転嫁できるのは今夏しかないと、背水の陣でのぞんだ小売店との交渉。キユーピーは経営トップ自らがスーパーに乗り込み、値上げはほぼ「浸透」しつつある。 製販攻防の現場を追った。(2013年7月5日付 日経MJ)
トップ自らが交渉現場に顔を出す調味料メーカーや、輸入品から値上げ交渉を進める冷凍食品メーカー、NB商品のみならずPB商品の値上げを強力に推し進める水産企業など、各社の交渉は、異なる模様。共通点は、いずれの企業も、値上げをしなければ収益悪化は避けられないということでしょうか。だからこそ、上場企業のトップ自らが、スーパーとの交渉の現場に表れるのです。
一方スーパーは、消費者の低価格志向が強いなか、メーカーの要望をそのまま受け入れることはできないようです。この背景には、
自社は値上げしても、競合店舗が従来価格で販売する懸念
があるからに他なりません。そして、低価格志向が強い中、自社だけが値上げをすれば、競合他社に顧客を奪われ兼ねないのです。これが怖くて、スーパーはなかなか値上げに踏み切れないのです。
しかし、もう少し視野を広げると、今は絶好の値上げ機会であるとも言えます。というのは、
アベノミクス効果で、消費者の気が緩んでいる
からです。食料品や日用品ではアベノミクス効果が出てきていないと言うものの、これまでほど低価格志向が強くなく、逆に気の緩みが出ているのは間違いないと思います。これを物語るのは、
です。日経MJの上半期ヒット商品番付にも、ノミネートされているほど。売れた理由は、以下の二点に集約できます。
【金の食パンが売れた理由】
[1] 中身が従来品と差別化されているから
[2] 見た目が従来品と差別化されているから
逆に言えば、この二点を満たす商品を提案できれば、単価が高くても売れる環境にあるのです。
もちろん、従来品を値上げしただけで、売れるわけではありません。渋々買う人がいるぐらいでしょう。しかし、この値上げ時に、中身と見た目に付加価値を付けた商品を発売すれば、それなりに売れる環境にあるのではないでしょうか。そして、この好機を、大手小売チェーンはPBのブランド向上の機会として、虎視眈々と狙っているように感じます。
☆今日のまとめ☆
アベノミクスを考えると、値上げ時こそ客単価上昇の好機と言えないか。
金の食パンのように、中身と見た目で差別化できれば、高単価商品は売れるのではないか。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
☆ 今日のこぼれ話☆
値上げは、メーカーにとっても単価引き上げのチャンスです。
従来品の値上げだけでなく、単価の高い高付加価値品を売ればいいのですから。
ただし、中身・見た目の差別化は必須ですね。