よなよなエールのヤッホーブルーイングと提携したキリンの凄さとしたたかさ(その2)
前回に引き続き、キリンとヤッホーブルーイングの提携に関して。キリンがプレミアムビールではなく地ビールに食指を動かしたのにも、理由があります。もともと、この提携が行われる前から、キリンは地ビール市場への参入を決めていました。
市場規模が普通のビールと比べると小さいとは言え、プレミアムビール市場はプレモルの成功で大きく拡大しています。販売小売店数の違いから考えると、地ビール市場よりもずっと大きいでしょう。キリンが、市場規模がより大きなプレミアムビールではなく地ビールを選んだのは、
地ビールの棚面積が拡大しているから
ではないでしょうか。棚面積とは、小売店における地ビール販売コーナーの面積。地ビールが置いてある場所の面積です。これが、拡大しているのです。
実際の数字を調べたわけではないですが、地ビールを取り扱う小売店が増えているのは事実。特に、都市部のスーパーでは、地ビールの取り扱いを増やす動きが活発化しています。普通のビールよりも高い地ビールを売ることで、客単価の向上が見込め、売上を拡大できるからです。コンビニでは、ローソンが積極的に地ビールの導入を進めています。
一方、プレミアムビールも販売面積を増やしているものの、その犠牲となっているのは普通のビールやビール系飲料(発泡酒・第三のビールなど)。プレミアムビールを新たに販売すれば、既存のビールの棚面積が縮小される可能性が高いのです。例えば、キリンがプレミアムビールを販売すれば、一番搾りの棚が削れる可能性があります。棚面積は販売数量に比例するので、プレミアムビールを販売することで一番搾りの売上が減少するなら、何をやっているのかわかりません。
地ビールも同じではないか?イエス。しかし、プレミアムビールの棚面積はほぼ一定であるのに対し、地ビールの棚面積は拡大傾向にあります。つまり、成長している地ビール市場に乗れば、普通のビールやプレミアムビールのような激しい競争をせずに、売上を増やせるのです。
棚面積が増加傾向にあれば、棚確保もしやすいはず。キリンは、棚確保競争の激しさという観点から、プレミアムビールではなく地ビールを選んだのかもしれません。成長するものの競争の激しいプレミアムビール市場に後追いしたアサヒとは違い、実にしたたかです。
☆今日のまとめ☆
キリンが、プレミアムビールではなく、地ビール企業との提携・参入を決めたのは、棚面積が拡大しており、棚確保競争が激しくないからではないか。
しかも、成長市場なので、その波に乗れば、より容易に売上を伸ばすことができる。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
- 今日のこぼれ話☆
今のうちに、キリンの株を買っておけばいいかもしれません。
今の株価は少し高いですが。