【日経トップリーダー】鳥貴族・大倉忠司の不況業界でも勝つ方法、まとめ
日経トップリーダーで、鳥貴族社長の大倉忠司による連載記事が掲載されています。記事というよりも、連続誌面講義ですね。タイトルは、「不況業界でも勝つ方法。」勇気の出るタイトルです。
今月号(2015年2月号)は、「やってはいけない効率化」と「やっていい効率化」について述べられています。以下、備忘録としてまとめておきます。
【鳥貴族の不況豪快でも勝つ方法まとめ】
- 商売する上で大事な2つの要素は、価格と付加価値。
- 低価格+高付加価値を実践するには、効率化が必要。
- やってはいけない効率化は、セントラルキッチンの採用とタレの外注
- やってはいい効率化は、炭火ではなく電動グリラーとメニューを増やさない
1は、至極当たり前なこと。価格と付加価値のこのバランスが、コスパの高低につながります。今、なぜコスパ・コスパと言われるかは、それだけ消費者の目が肥えてきたからであり、またコスパの高い商品がネット上で拡散されている影響も見逃せません。コスパのいい商品の存在を知ってしまえば、それと同等かそれ以上の商品を求めるのが人間ですから。
2は、これが一番の難しい。低価格で販売するには、低コストで製造しなければなりません。かと言って、品質が劣化すれば、たとえば超低価格でも売れません。最近、本当に品質についてはシビアになりました。以前から許容されていたレベルでも、今ではクレームものですから。品質を変えずに低コストで製造するには、生産性を上げなければなりません。生産性を上げるには、効率を高めるしかありません。その方法は、機械による省力化と無駄の削減です。
3は、かといって効率化を推し進めればいいものではありません。効率化することで、品質・価値が落ちれば、売れるモノも売れなくなりますから。そこで大倉社長は、セントラルキッチンとタレの外注という効率化を除外しました。焼き鳥については門外漢なのでよくわかりませんが、セントラルキッチンによる省力化をしなかったということは、それだけ鶏肉の鮮度が焼き鳥の品質(美味しさ)に影響を与えるということでしょう。また、タレも然り。ちなみに、タレの外注化とは、サードーパーティーの商品を使うことであり、タレの製造は、専用工場で行っているようです。各店舗で仕込んでいるわけではありません。タレは、鶏肉ほど鮮度を要求されないのでしょう。それ以上に、味のブレが重要なのかもしれません。
4について、かといって効率化をしなければ、低コスト・低価格を実現できません。そこで、炭火ではなく電動グリラーを採用するという効率化を行います。炭火の方が美味しいというのは、事実でしょう。ただし、炭火で提供するとなると、それなりの価格に設定するしかありません。ならば、ある程度の品質は我慢して、アルバイトでも焼ける電動グリラーを使うことによって、低コストを実現する方を選んだのです。
メニューを増やさないのも、効率化の一つ。ただし、これは何かを犠牲にするという性格のものでは、もうないかもしれません。というのも、前回取り上げたように、品揃えの豊富さが価値ではなくなりつつあるからです。より厳選された商品で十分。いや、厳選されて品揃えがコンパクトな方が、選ぶ苦痛を避けられる。こういう消費者の声が、聞こえてきそうです。
鳥貴族の既存店売上高(PDF)を見ると、驚きです。2013年8月以降の17ヶ月で前年を下回ったのは、たった2ヶ月間だけ。しかも、客数増による売上増を達成しているのです。単一価格の業態だから、値下げによる販促はほとんど無理。(増量キャンペーンはできますが)ファンが増えているしか考えられません。ただし、気になるのが、マイナス基調の客単価。鳥貴族のターゲット層の景況感は、まだまだ悪いと言えますでしょうか。
☆今日のまとめ☆
鳥貴族の低価格・高付加価値の秘密は、品質に悪影響を及ぼしかねない効率化を行っていないから。
一方、炭火不採用やメニュー絞り込みは、やってはいい効率化としている。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
- 今日のこぼれ話☆
決して立地のいい場所ではない立地の多い鳥貴族。
それでも客数が伸びているということは、ふらり一見さんというよりも利用動機の強い来店客が多いということですね。
単一価格業態でファンが付くというのは、いい意味で異常なことです。
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