既存店売上が唯一プラスの松屋、本当に牛丼チェーンなのか?
4月の既存店売上高の発表が始まりました。牛丼チェーンでは、松屋・すき家が発表済み。吉野家はまだなのですが、大幅値上げの影響と消費増税後の反転の綱引きになるものの、マイナスは免れないと思います。大幅値上げでしたから。すき家は、大幅値上げの影響で客数が約15%減少し、既存店売上高も96%に沈みました。
唯一(吉野家はまだですが)プラスだったのが、松屋。詳しく見ると、
客単価110%
客数 94.3%
で、客数減を客単価の引き上げで補うことに成功したことがわかります。
吉野家・すき家の牛丼価格の値上げを報じたマスコミによると、先頭を切って値上げしたのが松屋とのことですが、実はそうではありません。プレミアム牛丼の導入で値上げをしたように見えますが、レギュラー版の牛丼も販売しています。(恐らく、一部の店舗のもプレミアム牛丼を販売しているのでしょう)よって、現在牛丼が一番安いチェーンは、松屋になります。松屋は、値上げした吉野家・すき家から顧客を奪っていることと思われます。
ならば、客数が伸びる一方で客単価は下がってもいいもの。実際には、逆のことが起きています。人口減少特にサラリーマン・学生の減少がボディーブローのように効いているために、客数が恒常的に減少していると容易に想像できます。また、牛丼から他の業態に顧客がシフトしているかもしれません。いずれにしても、客数は減少しています。
では、なぜ客単価が伸びているのか?その理由は、松屋の店舗・公式サイトを見れば、一目瞭然。松屋が本当に売りたい商品は、
定食
なのです。牛丼チェーンのように見えますが、実態は定食チェーンと言う方が正しいかもしれません。その価格を見れば、客単価が伸びていることも理解できます。総じて、牛丼単品よりも高い。牛丼にサイドメニューを追加したとしても、定食の方が高く付きます。
【松屋のメニュー価格】
牛めし並 290円
卵 60円
お新香 80円
→上記3品合計で 430円
ブラウンソースハンバーグ定食(新メニュー)630円
うまトマハンバーグ定食(復活メニュー)630円
豚バラ焼肉定食(最安値の定食) 550円
※松屋の場合は、牛丼を「牛めし」と呼ぶ
牛丼にサイドメニューをプラスした価格よりも、最安値の定食価格の方が高いことがわかります。店舗入口には、ブラウンソースハンバーグ定食やうまトマハンバーグ定食など、食欲がそそるメニューを大きな写真付きで告知。これを見れば、牛丼を食べにきた来店客も、ついつい630円の定食を注文するのではないでしょうか。いわば、牛丼で集客し、定食で収益を得るというビジネスモデルなのです。
このように考えれば、松屋は牛丼チェーンというよりも、手軽に食べられる定食チェーンと言えるのではないでしょうか。吉野家・すき家は、もはや競合と言えないかもしれません。
☆今日のまとめ☆
松屋のビジネスモデルは、業界一安い牛丼で集客し、定食で収益を得るという形ではないか。
ならば、松屋はもはや牛丼チェーンではなく、定食チェーンと呼んだ方がいいかもしれない。
WSJを読むには、基本的な英単語を知っていなければなりません
- 今日のこぼれ話☆
ちなみに、松屋の既存店売上高には、牛丼以外のとんかつチェーンなども含まれているので、吉野家・すき家と比較すること自体間違いかもしれません。
ただし、松屋フーズの総店舗の約9割が松屋なので、松屋単体でもプラスであること予想できます。