地方スーパー・平和堂、宅配サービスで至れり尽せりのサービスを行う理由とは?
先日、録画していたガイアの夜明けを見ました。ガイアの夜明けでは、消費の最先端やニッチな市場の内部事情を詳しく報じてくれるので、大変勉強になります。ただ、見る時間がなかなかないので、録画がどんどん溜まっていくのがネックですね。で、今回見たのは、代行サービスに関する回です。
その回に、滋賀県のスーパー・平和堂の宅配サービスが紹介されていました。ネットスーパーではなく宅配サービスなので、ターゲットは比較的高齢な消費者になります。受注は電話で受け、細かい商品の指定まで受け付けます。例えば、よく焼けた食パンや賞味期限が一定日以降のモノなど。これでも、なかなか出来ないサービスなのですが、それ以上に驚いたのが、
身の回りの不便を解消してくれるサービス
を行なっているということです。それは、単に食材を運ぶというサービスを超越しており、便利屋さんの域に達しています。
番組で取り上げられていたのは、
電球の取替え
屋根の修理
の二点。お客さんは、恐らく年金生活者だったと思います。電球の取替えサービスは無料で行なっていましたが、屋根の修理に関しては業者を紹介していました。(よって有料になります。)高齢者にとっては、どちらも面倒なこと。これらを代行してくれることは、大変助かるはずです。
一方で、平和堂にとっては、これらの代行業務は、配達効率の低下を招き、コストに跳ね返ります。よくよく考えてみれば、宅配サービス・ネットスーパーも、コストアップ要因です。
通常のスーパーマーケットの業務=陳列+決済
宅配サービス・ネットスーパーの業務=陳列(+受注)+ピックアップ+梱包+配達+決済+α
※ この場合の宅配サービス・ネットスーパーは、既存のスーパーが受注を受ける場合。受注が発生するのは、電話注文の場合。
これらの追加業務は、最低でも20分~30分は余分にかかるのではないでしょうか。時給800円のパートさんが行うとして、267円~400円ほどかかります。宅配料・年会費を別途徴収したとしても、ペイしているとは思えません。
損をしてまで、宅配サービス・ネットスーパーを行うのはなぜなのか。さらに、平和堂は、便利屋さんの如く代行サービスまで提供しています。一見すると収益に結びつかないサービスですが、実は収益に大きく貢献しているのだと思います。それは、
サービスを追加することにより、売上・利益を確保できるから
です。つまり、宅配サービスやネットスーパー、さらに付随サービスを提供することによって、その店舗は顧客満足を獲得します。その結果、顧客がリピートする確率は高まります。特に、高齢者の場合、至れり尽くせりのサービスを受けたら、浮気することはほぼないと言っても過言ではないでしょう。何度もその店舗を利用し、他のお店に浮気することがなくなると、そのスーパーは、その顧客の食料品に費やす予算を獲得することができます。
スーパーの売上を、常連客による売上と浮動客による売上に分けると、もっとわかりやすくなります。常連客とは、そのスーパーを定期的に利用する顧客。一方、浮動客とは、特売があった時など不定期にそのスーパーを利用する顧客。宅配やその他付随サービスの提供により、常連客を増やすことができ、その結果常連客の売上も増やすことができます。常連客の売上は、スーパーのベースとなる売上なので、これは大きなプラス。だから、宅配などのサービスを格安(または無償)で提供するのです。
スーパーがこのようにサービスを格安で提供するようになったのには、要因があります。それは、
1) 競争の激化により、浮動客の増加・常連客の減少。
2) 商圏内見込み客の減少傾向
という2つの要因。自社ではコントロールできない外部要因の変化です。
1は特に説明は不要でしょう。競合店の出現、価格競争の激化により、顧客の奪い合いが起こります。さらに、顧客側も、可処分所得が減少傾向なので、より価格の低いお店を選ぼうとします。その結果、常連客が減り、浮動客が増えることになります。スーパーにとっては、ベースとなる売上が減ることになり、大きな痛手になります。
2は、人口減少がその根本の原因です。商圏内の人口が減少する一方で、一人あたりの食費には大きな伸びは期待できません。胃袋の大きさには限度があるし、日常的に利用するスーパーでそこほど高価格な商品が売れることは期待できないからです。もちろん、懐事情も影響します。その結果、
商圏内の食費=商圏内の人口X一人あたりの食費
なので、商圏内の食費自体が減ることになります。パイが小さくなることゆえに、商圏内のスーパー1軒あたりの売上も減少傾向になります。
もちろん、競合他社よりも低価格を提示することで、売上を伸ばすことも可能です。ただ、それを行うには、
折込チラシの配布
値引き
などコストがかかります。恐らく、
宅配・代行などの付加サービスにかかるコスト<折込チラシ・値引きにかかるコスト
だから、宅配・代行などのサービスを提供しているのでしょう。その前提には、
既存顧客の維持コスト<新規顧客の獲得コスト
というのもあります。
◯今後のさらなる高齢化
◯高齢な人ほど常連客になりやすい
ということを考えると、スーパーが今後サービスに力を入れるようになるのではないでしょうか。平和堂のサービスは至れり尽くせりのサービスが、標準サービスになるかもしれません。
☆ 今日のまとめ☆
平和堂が顧客に至れり尽くせりのサービスを行うのは、常連客の確保・増加につながり、その結果ベースとなる売上を伸ばすことができるからである。
その背景には、競争激化による浮動客の増加・常連客の減少、商圏内見込み客の減少がある。
今後、平和堂のように付加サービスを提供するスーパーが増えることだろう。
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☆ 今日のこぼれ話☆
新規顧客の獲得が難しいのは、スーパーだけではありません。
飲食・アパレル・雑貨など、どの業界でも同じでしょう。
ただ、既存顧客を維持し、常連客に育てる仕組みを持ったお店はそれほど多くはありません。
ここに歪みを感じます。
最近こちらをよく飲むのですが、おつまみなしにこれだけを飲むと少し評価下がりました。
黒ビールとほとんど変わらない、と思ってましたが、やはり違います。
やはり、ギネスですね。
☆昨日の目標→その結果☆
◎朝6時に起きる→☓
◎毎日情報を発信する→◯
◎毎日仕事以外の人に話掛ける→◯
◎腕立て・腹筋30回→☓(とある事情により腕立ては中止しています)
◎自宅のある12階まで歩いて登る、または自転車を30分以上漕ぐ→☓
(とある事情により階段・自転車は中止しています)
◎部屋や家の掃除をする→☓
◎営業日誌を付ける→☓